昨日、戻ってきました。ハワイも暑かったですが、日本の暑さとはやはり質が違いますね。成田のジメっとした空気が「日本に戻ってきた」ということを実感させてくれます。金沢も暑いには暑いのですが、まだこちらは涼しい方ですね。
あとはインフルエンザにかかっていないことを願うばかりです。なんか、体のだるさがあるのですが、これは時差(飛行機の中で寝たので大丈夫だと思うのですが)の影響でしょうか。
ED-MEDIA2009で頭に残ったものを紹介します。
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Bower, M., Hedberg, J. Educational User Interface Design
認知心理学、認知負荷、マルチメディアラーニングの観点から教育システムのユーザーインターフェースについて検討を行い、システム開発・評価を行ったというものでした。認知心理学ではByrnes(2001)の人間の学習における7つのプロセス(注意、選択、統合、記憶など)、認知負荷についてはSweller(2005)の3つの認知負荷タイプ(Intrinsic cognitive load, Extraneous cognitive load, Germane Cognitive load)、Mayerのマルチメディアラーニング理論がありますが、それらを検討材料としたということでした。
そこに協調学習の要素も入れて、システムインターフェースの改善をAdobe Connectに対して再デザインを行うというプロセスでした。最初はテキストチャット、ビデオカンファレンス、教材など盛りだくさんのインターフェースだったのですが(そりゃ認知負荷高いでしょう)、改善後はコミュニケーション媒体については選択、教材表示画面は大きく、教材リストは削除された。システムは科学教育で利用され、評価を行ったところ、評価は高かったということでした(評価のところはちらっと見ただけで、他を見に行きました)
しかし、ちょっとわからないのは、いろんな理論を引っ張ってきてはいるのですが、人によって認知的側面だけではなく、コンピューターの習熟度なども異なるので、「これが最適なインターフェース」ということは主張しずらく、最終的には人に自分に合った機能やデザインを選択させるということにつながることにならないのか?と思ったのですが、違うのでしょうか?仮にそうだとするならば、それは何か違うなぁと思ったりもします。
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Weaver, B., McIntosh, P.C. Providing Feedback on Collaboration and Teamwork Amongst Off-Campus Student
オンラインの大学院には働いている人が多く所属しています。対面教育もないので、協調学習におけるチームワークを醸成することが難しいです。そのため、チームワークを醸成するためのコースを提供し、Wiki上の活動でチームワーク力を評価したということでした。Wikiにはチーム間・チーム内における情報交換を円滑化する効果があるということです(Goodnoe, 2005 cired in Minocha and Thomas, 2007)。その評価のために、評価基準を作成したというところがポイントでしょうか。その評価基準はグループメンバーと協調学習を行った形跡があること、一貫性のある結論が出るように個々人の活動を統合する、お互いの協調学習における活動を認め、歓迎することなどがあります。
この協調学習についてスタッフと学生からインタビュー(非公式的なものも含む)を行い、どのように協調学習が行われてきたのか評価をしたところ、最初の方は学習の成果物としてはあがってくるが、チームワークはそこまで活発的ではなかったということでした。しかし、時間が経つにつれ、学生が徐々に自らのプロジェクトを修正しようとするため、協調的な活動(ディスカッションなど)を行うようになってきたということでした。
これは実践研究ですね。対面講義が行われたないeラーニング上で協調学習を行うには確かに壁があることですし(文化差があると思いますが)、どう支援すればよいのかというのは世界でこのような実践をされている共通の悩みの1つだと思います。実践としていいものだと思いました。ただ、そのチームワークを育成するという意味でWikiでよいという根拠はなんだったのか、また評価基準を作成されていたので、その評価の観点から今回の実践はどうだったのかというところについては言及がなかったので、この点が気になりました。
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Ferrier, M. Simulation Video Games as a Business School Teaching Tool
ビジネスの流れを理解するために、公開されているフリーのシミュレーションゲームを使って講義を行った結果について報告がありました。
そのゲームはCapitalism2とMetacriticの評価が高いものを使用したものであるが、特にCapitalism2はスタンフォード大学のビジネススクールでも利用された実績があり、教育利用するための方法などについて記述されているとのことです。
Capitalism2の世界では株式市場が動いており、参加者は材料を購入し、製造業に販売する仕事、工場やアウトレットを経営することなどでビジネスのシミュレーションを行い、学習をしていく。また点数を与えるルールを作成し、実践を実施したということでしたが、私はあまり学術的にゲーム利用について説明されたものではなかったので、ここで出てしまいました。
プロシーディングスによるとほとんどの学習者がシミュレーションゲームは学習環境として適しているとのコメントがあったそうです。
やはり、なぜゲームがいいのか、動機付けだということだったのですが、やはりその根拠について理論的に触れてほしかったなと思います。教育工学系の学会は職人技を披露する場ではなく、学術的根拠を基に研究知見の水平展開を考える場と思うんですが。おもしろいゲームでしたし、興味はあったのですが、残念な部分もありました。
ちなみにCapitalism2のレビューがありました。
Capitalismの公式ページ
かなり難しそうです。社内人材の育成までも考えられたんですね。深いゲームです。
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Morrison, J., Addressing the Problems of Faculty Resistance to using Educational Media in Active Learning Instructional Strategies
アクティブラーニングが最近よく耳にします。私が前に所属しておりました東京大学でもKALSというアクティブラーニングを効果的に行うための学習空間が建設されておりますし、全国にこのような動きというものが広がっています。しかし、そういう空間、または通常教室であっても、アクティブラーニングに対して抵抗感がある教員がいます。なぜ教員はそういうことをやらないのかという点をみんなで考えましょうというような話でした。
そのアクティブラーニングの手法として、Problem-Based Learning, Inquiry-Based Learning, Project-Based Learning, Experiential Learningの4つがあるのですが、通常、講義を考えるとインストラクショナルデザイナー(日本ではほとんどないですが)がニーズ分析から教材の構造、内容検討をSMEやインストラクターと行い、実施しますし、講義をするという意味においてはそれだけで事足りるわけです。しかし、最近は動機付けから、基礎学力の向上、社会で求められる能力の育成の手法としてアクティブラーニングが行われているわけです。そういう方法をなぜほとんどの教員はやらないのだろうかという問い、それを広めるためには何をすればいいのかということです。
それを周りの人たちとグループを組んで、話し合うということだったのです。いろんな問題が出ていました。お金がかかる、仕事がなくなるかもしれない、時間がない、サポートがないなど。その問題解決についても教員にインセンティブをあげる、十分な授業サポート、専門の教員を雇うなどです。
このセッション自体がアクティブラーニングという形だったのですが、インバイトセッションとしてはかなり不満が残るものでした。ワークショップとか、授業相談会のような話ならわかるのですが。そういうのが理解を深めて、それぞれが持ち帰って考える機会になるんだという意見もあるかもしれませんが、それだったら、なぜその人がインバイトされたのか、なぜその人でなければならないのか、理由がありません。講演としては強く不満が残るものでしたが、西森先生@東京大学、松河先生@大阪大学とKALSを含めたアクティブラーニングの課題やこれからどうすればいいのかということについて意見交換ができたことは大変良かったと思います。
最後、部屋を出る時に松河先生より「学習者の満足度を上げるというレベルの授業改善であれば、普段使用しているパワーポイントの文字の大きさ、デザインを修正するとか、配布するとか、教育工学の観点に立って、地道にできることをすれば、結構よくなるのではないか?」という意見があり、それは真っ当な意見だと思いました。新しい授業技法とかツールとかありますが、それ以前に自分でできることはやったのか?ということだと思います。授業改善とか言っても、結構基本的なことを抜かしているのかもしれません。
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昨年と比べてWeb2.0という言葉はほとんど見られなくなりましたね。Web2.0的ツールの中でもソーシャルソフトウェアを中心にした研究が増えたように思います。Web2.0というのは概念でしかないので、その概念の中でもどこに絞るのか、選択した概念とツールの設計との関係性、期待されるアウトプットの関係を持った研究が増えたということだと思います。たぶん、Web2.0というものを全体的に捉えるのには無理があるということですね。一度整理するというのは意味がありますが、もうそういうことはきっとされているでしょう。
Web2.0と学習システム
コミュニケーションを中心にした学習やシステムに関するものが中心だったことと、学校外の学習について研究が増えてきている気がします。ソーシャルソフトウェアを扱うということは学校内外の学習支援をすることを期待することにもなりますから。ただ学校外というのはどういう場面なのか、またそれをどう評価するのかというところがポイントになりそうです。その場面に応じた設計をしたツールの研究などおもしろいと思いますね。箱だけ用意してもあまり意味はないということだと思います。学校外の学習については様々な要因が関係しますから。研究としておもしろくも、難しくもあります。
ゲームの研究もまだまだあります。「楽しさ」と「学習」の関係性について触れているものもあります。
そして今回は台湾の方が多く受賞されていました。
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しかし、今回はワシントンでがんばっている大浦くんと話ができたことはよかったです。やっぱ勉強していますね。刺激になりました。今、金沢でも勉強会をやっていますが、私自身でも勉強したいことがあるので、やりたいと思います。同じ方向で関心がある人が今周りにいないので、それが逆に難しいところではなるのですが、がんばりたいと思います。遠隔でもゼミに参加していますが、そういう機会も大事にしたいです。ゼミから離れると研究の勘が弱くなりますね。私は「実践」ではなく、「研究」を重視していますから。