査読・編集担当で気をつけたいこと:JSET第34回全国大会チュートリアルセッション2を終えて


9月28日から30日まで日本教育工学会(JSET)第34回全国大会@東北大学が開催されました。朝から飛行機が遅れたり、急いで理事会に行き、チュートリアルセッション2のコーディネートと説明、SIG04「教育の情報化」セッションに参加、シンポジウムのコーディネーター・司会者、そしてSIG-03の運営参加と・・・こんだけ全日フルに参加するのは久しぶりでバタバタしてましたが、楽しかったです。

さて、今回、初めてJSETでは(主に)査読者向けのチュートリアルセッションを行いました。チュートリアルセッションは初めてJSET全国大会に参加した方を対象にしたものと論文編集委員会が受け持つものの2つがあります。私は後者の方のコーディネーターを担当しました。昨年までは論文書き方チュートリアルセッションをしていたのですが、今回は査読方針、査読時に気を受けてもらいたいなどを、現在査読を受け持って下さっている方々や潜在的になる先生方を主な対象として行いました(ですが、論文の書き方セッションでもあるといえばあるんですが)。加藤先生、山内先生といろいろネタを考えたのですが、いつもの論文の書き方ではなく、ちょっと違うものを・・・ということで。

編集委員長の加藤先生@放送大学より、論文の採否状況、傾向などのお話があり、副編集長の山内先生@東京大学より査読時に気をつけて頂きたいこと(査読条件における表現、修正の可能性がある場合はチャンスをつくる方向であること、倫理面の問題については厳しく対応して欲しいことなど)についてお話下さいました。最後に僭越ながら、私より、査読者に読んでもらえる条件対応(2nd round向け)について話しました。ご質問もいろいろありまして、編集委員としてもいろいろ考えなければならないこともありました。思った以上に盛況で、私が数えたところ、113名のご参加があり、立ち見の方々もいました(森下先生@信州大学のカウントでは131名とのことでした)。ご参加くださいましてありがとうございました。

そして本題ですが・・・———
これまで私は特集号の幹事団を合計4回しました。3回目は昨年のラーニングアナリティクス、4回目は2018年現在進行中のアクティブラーニングです。論文の査読は何本やったでしょうか。覚えていません。それだけやっているが故に編集委員をさせて頂いたり、特集号の幹事団としてもお声かけされるということだと思います。大変ありがたいことだと思っています(特集号はそろそろ卒業ですかね)。その経験の中でも、査読のお願いする立場でもあり査読をする立場でもある私は、ここ最近、「査読する」ということをいろいろ考えます。

教育工学は学際的な分野です。それぞれの研究者によって強みが違います。その強みをできるだけ踏まえた上で、査読をお願いしています(し、私自身も査読をします)が、基本的な考え方として「投稿された論文を良くして、広く読者の目に触れるようにしよう」という意識を共有することが重要だと思っています。やはり教育工学における研究知見の蓄積は研究領域と人材育成、その先にある社会の発展につながるので、その意識はとても重要だと思っています。とはいえ、投稿された論文のクオリティ、JSETの場合は査読回数の上限もあるので、査読を通じて、研究を良くしていくにも思うように進まないというのはよくありますし、査読者・編集担当者としても悩ましいところです(お悩みの査読者も多いように感じます)。それでも教育的に、どうすれば論文として(投稿種別変更も含めて)よくなるのか、上限に達して、残念ながら返戻という判断をしたとしても、再投稿して、掲載を目指すなら、「〜をしてください」など、研究デザインの在り方などフィードバックしたいものです。

またちょっと感じていることは、査読は査読者と著者間のPaper-Mediated Communicationだと思うのですが、ミスコミュニケーションもあるなあと。相互に誤解を生じている点もやはり見受けられます。このミスコミュニケーションを減らしていくことも重要かと思っています。査読者側としては、誤解されないように、明確に著者に対して修正指示を出すこと(「〜して下さい」と)が重要ですし、著者もそのメッセージを受け取って、誤解される表現は避け、査読者に明快に意図を理解してもらうためにも最大限に対応はすべきです(私は、師匠であります赤堀先生からは「誠意を示すことが大事だ。誠意は伝わるんだ」と教えられましたし、実際にそうだと思います)。

良い研究をすることと良い論文を書くことは必ずしも同義ではありません。論文執筆は研究デザイン・遂行能力とは別のテクニカルなものが求められます。研究デザイン・遂行能力、論文執筆、査読というのは密に関連しています。今後も編集委員である限りは研究者の育成に貢献できればと思っています。チュートリアルセッション2のフロアーからのご質問でも「査読者教育というのは学会としてやらないのか」という問いを頂きましたし、セッションの後に、加藤先生、山内先生とも、「今後もぜひこの企画は続けていった方がいいですね(30分じゃ短いので、1時間くらいいりますね」と話をしていました。

今後もできれば幸いです。

教育工学ができることを考える〜シンポジウム「EdTech:これからの教育を創る教育工学」を終えて


日本教育工学会第34回全国大会シンポジウム「EdTech:未来の教育を創る教育工学」が無事に終わりました。フロアーからの質問を十分に受け取ることができなかったのですが、引き続き、教育工学として考えていくべきテーマだと思いますので、議論の場になればと思い、本シンポジウム企画者・コーディネーターとして、考えたことをまとめたいと思います。

EdTechはEducationとTechnologyを掛け合わせることで、イノベーティブな教育・学習環境の創出、教科教育のみならず、その知識を踏まえた知識創出・行動力を身につけさせるものとして注目されています。この先、何十年先の日本社会を支える中で教育はまさに根本であり、文部科学省だけではなく、経済産業省や総務省も、それぞれの観点はあるものの、教育について変えていくという強い意思の現れと思います。まさに教育工学会として考えていくべきテーマだと思い、私の指導教員でありました赤堀先生@ICT CONNECT 21、山内先生@東京大学、合田先生@熊本大学、美馬先生@公立はこだて未来大学のご協力を得て、基調講演者として、浅野大介さん@経済産業省、パネラー講演者として佐藤昌宏先生@デジタルハリウッド大学大学院、斎藤俊則先生@星槎大学、島田敬士先生@九州大学にお願いすることができ、指定討論者として山内先生にお願いしました。

—シンポジウム概要—
浅野さんからはご自身の経験から、経済産業省におけるお仕事、それを通じた学び、学教教育から入省後における学びの楽しさの変容についてお話があり、これまでの前提やルールの再構築(そのプロセスにおける葛藤も学び)から、実際に社会の問題を解決し、広く展開していく、まさに生の社会解決プロジェクト(My Project)を通じた学びの重要性、それらをサポートできる教育・学習環境デザイン・開発・社会実装の推進ができる事業を進めていくお話がありました。
#懇親会でも浅野さんとお話し、これからの人材育成に対して、強いメッセージを受けました。

パネラー講演では佐藤先生から、EdTechの定義、考え方についてお話がありました。Educationにおいて、Technologyが使われることがこれまでもありましたが、EdTechでは、Education × Technologyによるイノベーションが見えることに重きが置かれること、それはTechnologyの進化は止まらず、薬にも毒にもなるが、それを教育においてうまく薬にしていく仕組みを作り上げていくことが重要であることをお話下さいました。進化は止まりませんが、技術的な新旧ではなく、自らの回りの問題の本質を捉え、Technologyによって状況を変えていけることがポイントであることです。佐藤先生が代表理事を務められています教育イノベーション協議会が主催のEdvation x Summit 2018でもこの点はよく見えるかと思います。

斎藤先生からはUNESCO、IFIPにおいて行われているDigital Agencyという概念についてお話下さいました。EdTechが推進されていくことで生まれるイノベーションはもちろん学習者のためであり、教育に広く関わる人たちのためでもあるわけですが、享受者に対して、より具体的に、何を目的とし、何ができることとなるのか、それはEdTechによるイノベーションによるものなのかなど、具体的な観点を与えてくれるものであるというお話がありました。
IFIP(International Federation For Information Processing): https://en.unesco.org/partnerships/non-governmental-organizations/international-federation-information-processing

島田先生からは具体的な研究事例として、島田先生の研究分野であるイメージ処理・パターン認識を教育・学習に適用したラーニングアナリティクス研究の紹介をして下さいました。九州大学内で動いている授業進行状況をリアルタイムでログ解析し、教員へフィードバックするリアルタイム分析(実時間分析)、小テストの回答状況を踏まえて、個別最適化した復習教材の自動生成システムのご紹介などありました。

パネルディスカッションでは、山内先生より、山内先生がこれまで取り組まれてきた産学官連携のEdTech研究の事例をご紹介下さった上で、ICTを活用した教育・学習研究を進めてきた経緯をご説明下さいました。その上で、EdTechという言葉を使う(使わない)意味、現場を巻き込む戦略をどうするのか、教育工学会への期待はどうかといったご質問がなされ、パネルディスカッションが行われました。
BEAT: https://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/archives/beat/
FLIT: http://flit.iii.u-tokyo.ac.jp/index.html
#MEETのアーカイブページがない・・・

パネルの流れにつきましてはTwitterのハッシュタグ、#jset34にシンポジウムの内容をご参照ください。重田先生@北海道大学、村上先生@京都外国語大学の両先生が整理されています。

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これまでのEdTechの記事や本シンポジウムの話を聞いて、私が感じたことは、教育・学習のとらえ方の広さ・狭さ(それは教育工学研究者が対象としているフィールドにも強く依存していると思います。特にフォーマル学習・インフォーマル学習など)や主として関わっている方々の背景の違いがあるものの、目指している方向は同じですし、それぞれ強みが違うのだろうと思っています。

EdTechはイノベーティブな教育・学習環境を広く社会実装がなされるものと思います。浅野さんや佐藤先生の言葉を使うと「学校だけ、または中心ではなく、地域での学習イベント、塾、図書館など様々なところで発生するMy Projectという学習資源に満ちた場・文脈をシームレスにつなぎ、社会としてLife long learners(もちろん子どもたちも含む)を支援する」ということだと思います。その実現のためには、問題の切り口の選定、実装スピード、強い意志を持ちながらも緩いコミュニティが必要かと思います。この前者2つはEdTechが強いところだと思います。
#経産省のEdTech事業。採択事業の様子が逐次、生の動きが見られるのはとてもいいです!!
https://www.learning-innovation.go.jp/

教育工学研究のアプローチは伝統的に「教育・学習環境で実際に起こっている諸問題に対する解決策を理論に基づいてデザイン・開発・評価し、解決をすること」です。現実の問題、ルール、状況に応じたProblem-Solution思考であることが主であろうと思います。
参照:教育工学の研究をしたい方へ
http://mark-lab.net/?page_id=854

しかし、教育工学研究が社会実装を考えていないかというとそんなことはありません。教育工学が「工学」と言われる所以は、さまざまな文脈で活用できる教育・学習に関するモデルを構築することにあります。たとえば教育工学研究における1つの大きな分野である教師教育研究は、授業デザインや進行は専門家の暗黙知が集約された職人芸という見方がありましたが、職人芸を職人芸でそのままにするのではなく、職人芸を広く展開していけるモデルを構築し、教師を適応的熟達者に育成していくことを1つのゴールにもしています。さまざまな教育・学習に関わる場におけるソリューションモデルを構築していく様々なノウハウを教育工学研究は持っています。インストラクショナルデザインはその最たるものだと思いますが、他にもModified Grounded Theory Approach(M-GTA)を用いて、質的データから仮説モデルを構築し、研究対象となっているフィールドにおける状況をモデル化する研究もされています。またデザイン・開発したソリューションがどのように現場に適用して、改善されていくのか、パフォーマンスをあげていくのか、デザイン研究(Design-based research)を適用して研究をしている研究チームもあります。その過程では、構築したモデル、ソリューションの効果を評価する必要もあります。技術的な面でも、近年ではラーニングアナリティクス研究が国内外で広がりを見せていますが、ラーニングアナリティクスに関する技術的要素もEdTechが推進されるフィールドに、まさにフィットするものと言えるでしょう。

以上のような点はEdTechが目指す教育・学習における大きな動き・変革のためには必要な要素のように思います。今回のシンポジウムにおいて、EdTechが目指していることと教育工学研究の接点の多くを見出すことができました。目指すべき教育・学習の考え方は省庁によっても違いがあるでしょうし、教育工学会における研究者でも研究分野によっても違いがあると思います。ただ、対立軸のように捉えるのではなく、目指すべき教育・学習環境の構築、その先にある人材像、国、世界を考え、My Projectが広がっていけばいいなと思います。

私自身も微力ながら、経済産業省EdTech事業の一部に関わっております。その関わりを通じて、教育工学が貢献できることを発揮できればと思います。

#事前打ち合わせや懇親会の時に、浅野さんと佐藤先生とも少し話した
#のですが、こういう話を中高生や大学生と議論していくことが大事だと
#思います。2018年度前期の私の授業ではEdTechをテーマに議論した
#のですが、とてもいい議論になりました。EdTechについて大人だけで
#ではなく、子どもたちも考えていく機会を増やすことも重要ですね。

教育工学研究で出てきた用語や動向が説明されている文献について
EdTech

インストラクショナルデザイン
下記文献はわかりやすいと思います。

Modified Grounded Theory Approach(M-GTA)
M-GTA研究会
https://m-gta.jp/index.html

デザイン研究(Design-based research)
静岡大学RECLS:学習科学とは(軽くデザイン研究について説明されています)
下記文献も良いと思います

ラーニングアナリティクス
緒方広明「大学教育におけるラーニング・アナリティクスの導入と研究」, 日本教育工学会論文誌 41(3), 221-231
https://ci.nii.ac.jp/naid/130006337697
山田政寛「ラーニング・アナリティクス研究の現状と今後の方向性」, 日本教育工学会論文誌 41(3), 189-197
https://ci.nii.ac.jp/naid/130006337694

挑戦的研究(萌芽)が採択されました


大変ありがたいことに挑戦的研究(萌芽)が採択されました。正直、私自身が一番驚いています。まさか通るとは・・・いや、もちろん、通したいという気持ちで、良い研究だと信じて、申請書は書いているわけですが、あの採択率を見ると、通る気がしないといいますか、厳しい門になったなあというのが正直なところです。

まずは審査員の先生方に感謝を申し上げたいと思います。お忙しい中、大量の申請書の中から本研究について価値を見出して下さったことに感謝申し上げたいと思います。3年ですが、よい研究になるよう、頑張って参りたいと思います。

テーマとしては自己調整学習なのですが、学習ログに加え、教室内の座席位置に加え、行動データも組み合わせた自己調整学習のモデルを検討し、構築を目指すものです。まさに、なかなか「挑戦的」なテーマになっています。学習行動の類似性も関係してくるので、このあたりとうまく整理して、統合した自己調整学習モデルを構築できるといいなと思っています。

分担者は熊本大学の合田先生に加え、電気通信大学の江木先生とやっていくことになっています。合田先生にはインストラクショナルデザインから見た、教育評価、モデル構築、江木先生にはセンサーを活用したシステム開発、ログ関係のシステム開発をお願いすることになっています。

よい研究にしていきたいと思います。

図書館ゲームの論文が採録されました!!


やりました!!共著の論文が採録になりました。本学の図書館活用学習のためのゲーム開発・評価研究の論文が採録されました!!しかも、Journal of Academic Librarianshipに!!本当にうれしいです。金子先生、お疲れ様でした。

Kaneko, K., Saito, Y., Nohara, Y., Kudo, E.,Yamada, M.(to be appeared) Does physical activity enhance learning performance?: Learning Effectiveness of Game-based Experiential Learning for University Library Instruction, The Journal of Academic Librarianship (SSCI Impact factor 1.287) (accepted 2018.06.15)

まさに図書館と協業による研究成果です。図書館員のお3方がデザインをし、金子先生が開発・評価、私が土台となる理論とそれに基づくデザイン方針、ゲームの評価実験デザイン、評価を行いました。本当にすばらしい成果が出て、うれしいです。今でもいろいろ思い出します。斎藤さん、工藤さんがゲーム作りたいっていうので、図書館に呼ばれていって、いろいろディスカッションをしました。お2人はゲーム作成への熱意が熱く、「ゲーム開発、大変だよ」とか、「なんでそのタイプのゲームがいいと思うんですか?」とかいろいろ質問しましたが、その情熱で返されました・・・(汗)お2人の、その熱意に負けました(笑)そこからいろいろデザインが始まり、理論的な視点の整理、開発で金子先生に入って頂きました。

図書館活用のためのゲームというのは、この2,3年でいろいろ出てきました。興味深いゲームも数多いです。ただ、参考にして、研究に発展させるためには、やはり論文として参照できることがとても大事だと私は感じています。本研究は身体性(動作など)を踏まえたゲームであり、それに関係させた評価をしています。パワーポイント教材と比較実験を行い、身体性を伴うゲームの方が実践1か月後の遅延テストでは完了できたタスクの数やスピードに有意差があることが示されました。一方で身体性が必要とされないタスクはパワーポイント教材の方が早かったです。

このような図書館活用ゲームを開発したい方々、研究したい方々に向けて、参考になればと思っています。ご関心があります方々は、デザインは図書館員の野原さん、斎藤さん、工藤さんへ、開発・ログを踏まえた学習評価にご関心がある方は金子先生、理論的バックボーン、能力評価に関してご興味のある方々は私へお問い合わせくださればと思います。

参考:図書館活用学習のためのゲーム型学習システムの開発・評価 2015-2016
http://mark-lab.net/?page_id=12

どうぞよろしくお願い致します。

年度末の研究成果


3月末に国際会議 the 29th annual conference of the Society for Information Technology and Teacher Education (SITE 2018)にて、4件の研究発表を行ってきました。

Ishige, Y. Goda, Y., Yamada, M. & Handa, J. (2018). Global Collaborative Learning Support System for the Better Understanding of Multiple Cultures, Proceedings of SITE 2018, 621-626. https://www.learntechlib.org/p/182592/ Link to this article
この発表は熊本大学 合田先生科研の研究発表で、多国間協調学習支援システム “GLoCL”において、Hofstedeの多文化理論において、6つのパターンに整理されているモデルがあるので、相手の国の学習者がどういう国民性を持っているのか、教員や授業設計者が参照できる機能を開発したというものです。他にもチャット、授業設計シート、発言の可視化機能なども含んでいる総合的な多国間協調学習支援システムになっています。

Yamada, M.,& Goda, Y. (2018).The Effects of Social Presence Visualization based on Community of Inquiry Framework, Proceedings of SITE 2018. pp. 1014-1019. http://www.learntechlib.org/p/182647/ Link to this article
この発表は私の科研で、社会的存在感を可視化する機能がついたスケジュール管理機能+チャットシステム “C4+SP”(仮称)の、社会的存在感可視化機能の心的な評価について発表したものです。今後はこの可視化する情報の範囲を広げることや、ログとの関係性分析をしていく計画です。また実践的な評価も行っていきます。

Chen, L., Umemura, H., Goda, Y., Okubo, F., Taniguchi, Y., Oi, M., Konomi, S., Ogata, H., & Yamada, M. (2018). Instructional Design and Evaluation of Science Education to Improve Collaborative Problem Solving Skills, Proceedings of SITE 2018, pp. 1364-1369. https://www.learntechlib.org/p/182705/ Link to this article
この発表は私の学生の発表です。緒方広明先生(京都大学)代表の基盤研究S関係の発表なのですが、ラーニングアナリティクスを高校の理科の授業、特に協調的問題解決型授業において適用したものです。この発表では協調学習の様相とのログとの関係は分析できていないのですが、次はその一部を行ったものを発表できたらと思っています。

「教育ビッグデータを用いた教育・学習支援のためのクラウド情報基盤」ウェブページ :http://eds.let.media.kyoto-u.ac.jp/

Goda, Y., Matsuda, T., Yamada, M., Kato, H., Saito, Y., & Miyagawa, H. (2018). Design of Learning Dashboard in “Self-regulator” to Support Planning for Distributed Online Learning, Proceedings of SITE 2018, 159-161. http://www.learntechlib.org/p/182518/ Link to this article
この発表は、青山学院大学 宮川先生が代表でされている科研に関する発表です。青学の科研では自己調整学習支援に関する研究をずっとやってきたのですが、自己調整学習の計画段階の支援をするシステムを開発し、それを評価するものです。今回はその自己調整学習の程度を可視化したダッシュボードの開発を行ったので、その成果を発表したものです。

新年度に入りましたが、いろいろ研究プロジェクトを抱えているので、少しずつ、成果にしていきたいと思います・・・とはいえ、もう科研最終年度のものもあるので、そうゆっくりもしてられないのですが。

新年度スタート: 2人の学生が入りました


新年度になりました。年度末もバタバタしてましたが、落ち着く間も無く新年度です。今年度もよろしくお願いします。

今年度から1人の修士学生と1人の研究生を迎えました。学部生の研究指導ができない私は内部進学者をとることは基本的にはかなり難しいので、外部からの進学者を受け入れることになるのですが、今回は山口大学の鷹岡先生のところを卒業した学生を受け入れました。ありがとうこざいました。ICTを活用した数学の学習環境の研究をしたいとのことです。

もう1人は中国からの研究生で日本語学習向けのVRやAR環境の研究をしたいとのことでした。

2人のニューカマーを入れて、教育工学研究の発展に寄与していける研究体制を作っていきたいと思います。学会などでお会いしましたら、ご指導のほどどうぞよろしくお願い致します。

ラーニング・アナリティクス特集号が日本教育工学会論文誌にて刊行されました


刊行が遅くなりましたが、日本教育工学会論文誌特集号「教育情報化時代のラーニングアナリティクス」が刊行されました。

永岡先生@早稲田大学を委員長に、松田先生@首都大学東京、森本先生@東京学芸大学のお2人の先生が副委員長、渡辺先生@東京工業大学、宮澤先生@東京学芸大学、私が幹事を担当しました。無事に刊行できたのも、ご投稿くださったみなさま、幹事団の先生方、特に12月最終週の年末まで幹事校正をしてくださった渡辺先生と宮澤先生には感謝を致します。

掲載論文・資料も、バラエティーに富んでおり、初等中等教育、高等教育、MOOCをフィールドにしたものから、入試データの分析、ログの分析など様々な観点でラーニング・アナリティクスに迫る論文が掲載されています。ラーニング・アナリティクスにご関心があります研究者・実践者のみなさまはぜひお読み下さりますと幸いに思います。

私は恐れ多くも、総説を担当致しました。ラーニング・アナリティクスの専門論文誌でありますJournal of Learning Analyticsを中心にレビューを行い、国内外のラーニング・アナリティクス研究の動向についてレビューを行いました。松田先生・渡辺先生は、近年、その重要性が増してきているIRの観点から、森本先生、稲垣先生@東北学院大学は初等中等教育におけるラーニング・アナリティクスの研究や実践動向について展望論文をまとめられています。これからデジタル教科書の導入、WiFi環境の整備、BYODの推進など進む中で、実践としても考慮すべき内容が含まれています。

ゲストとして緒方先生@京都大学にも展望論文のご執筆をお願い致しました。緒方先生は情報工学の観点からラーニング・アナリティクス研究の現状についてレビューをして下さいまして、九州大学におけるラーニング・アナリティクス研究の知見を中心にご紹介下さっています。

とりあえず、無事に刊行され、安心しております。

これで特集号の幹事団に入るのは3回目で、もうそろそろいいかなと思っていたのですが、次回の特集号「アクティブラーニングのデザイン・実践・評価」でも幹事団入りとなりました。もう新規投稿は締め切られ、原稿の差し替え期間となっています。こちらの方では副委員長を担当することとなりました。無事に刊行できるよう、いい論文誌になるようにがんばりたいと思います。

どうぞよろしくお願い致します。

連名の論文が採録されました


新年になり、立て続けにありがたく、おめでたいお話です。連名になっている論文が採録されたとのお知らせが来ました。

Yin, C.,Yamada, M., Oi,M., Shimada, A.,Okubo, F.,Kojima, K.,Ogata,H. (in printing). Exploring the Relationships between Reading Behavior Patterns and Learning Outcomes based on Log Data from e-books: A Human Factor Approach, International Journal of Human-Computer Interaction. (Impact factor: 1.118(2016))

殷先生@神戸大学が筆頭著者の論文で、私は第2著者になっています。殷先生が本学のラーニングアナリティクスセンターにいらした際にされていた研究で、中身を見ると懐かしい思いがします。長期戦でしたね。殷先生、お疲れ様でした。インパクトファクターつきで、すばらしい研究成果だと思います。内容としては、当時運用していたeBookビューアー上に蓄積された学習ログの可視化技術とそれからわかる学習スタイル、学習効果との関係性に関する研究で、学習者のeBook上の学習行動が見やすいインターフェースで表示されるシステム開発、そのインターフェースによって、前に戻って読む行為をする学習者がより良い学習成果を挙げている傾向にあるなどがわかるという、開発研究論文です。

査読者の先生方やChief Editorsのみなさまにはご指導を賜り、感謝を致します。ラーニングアナリティクス研究の発展に寄与する研究かと思います。ありがとうございました。刺激になりました。私もがんばってファーストの論文を出していきたいと思います。2018年始まったまだまもない!!なんて言ってると、もう1月最後なんですよね。がんばろっと。

Top 100 reviewersの1人になったらしいです


新年になって、メールが来たのですが、私、CALL誌(Impact factor 2.121(2016))のTop 100 reviewers in 2017の1人なったとのことでした。これがどれくらいすごいことなのかわかりません。ReviewerのMother numberもわかりません。

ただ、日本と違うのは、日本だとReviewというのが学術領域、学会の発展をさせるための貢献活動であり、ボランティアで行われ、個人の意思のみで支えられているところがありますが、海外ではどのジャーナルのReviewerをやっているのかという情報は研究者の評価にもつながります。その研究領域のトップランクジャーナルのReviwerであるということは、自分の研究能力を認められている1つの指標にもなるからです。とあるジャーナルでは、研究者からCheif Editorに対して「査読をさせてくれ」と言われることもあるようです。

そういう観点に立つと、今回のようにImpact factorつきの論文誌におけるReviewerとして、母数は知りませんが、Top 100としても評価されるというのは大変ありがたいことと思っています。どれくらいすごいのかもわかりませんが(100人中100位かもしれませんから)、とりあえず、「ありがたい」と素直に喜びたいと思います。

ちょっと最近、CALL系の研究が若干下火になっているようにも私個人は感じております。ICCEという国際会議で、Sub Conference groupsの1つでありますTELL(Technology-Enhanced Language Learning)グループのCo-chair, Executive Program chair、そしてTELL SIGのSIG Chairもさせて頂きましたが、だんだん元気がなくなってきているようにも思っております。SIG Chairの任期が終わりましたので、ICCEからはお役御免かなと思っておりましたが、2018年はTELL GroupのCo-chairをすることとなりました。何かTELLの発展につながることができればと思っております。

修了生の論文が採録されました!


大変ありがたいことに、山田研の修了生で、小学校の養護教員をしている先生の論文が、日本教育工学会論文誌の教育実践論文として採録となりました!!新年早々、よいお知らせでした。修士論文の1章分だったのですが、この章は絶対に論文化しなさい、データ収集にご協力して下さった先生方、校長先生のご助力に報いなければならないと言って、修了生ががんばって論文にしました。

江藤真美子・山田政寛 (2018) 健康教育と防災教育をつなぐヘルスリテラシー教育デザインとその効果, 日本教育工学会論文誌, 41(4)掲載予定

査読・担当をして下さった先生方におかれましては、採録に至るまでご指導を下さりまして大変感謝しております。ありがとうございました。おかげさまで、このデータによる分析結果が日の目を浴びることができました。また、この授業実践にご協力下さいました小学校の先生方、校長先生(現在はお辞めになられたのですが)に感謝致します。いろんな方に支えられてこの研究は成立しているものだと思います。

テーマとして、地域柄、自然災害が多くあり、その自然災害時の健康維持に繋がる、実質的な対策として、健康教育を取り入れ、それにゲーミフィケーションと知識構成型ジグソー法を取り入れた授業実践研究です。小学校、中学校ではなかなか健康教育に取り組む時間がなく、授業割り当ても1年に数時間しかありません。その限定された枠の中で、少しでも効果的な健康教育ができないかとがんばってきた修了生の成果だと思います。全国的にもなんとかしたいと思っている養護教員は多くいるようなので、本研究成果が日本の養護教員のみなさまのご実践の参考になればと思っています。

教育工学で防災関係の教育工学研究をやっているのは、東大の山内先生チームといくつかくらいしかなく、防災教育に対する教育工学研究の知見も出すことができたのではないかと思っています。

よかったです。