今、日本教育工学会第28回全国大会@長崎大学に参加しています。2日目ですが、台風が来ていて、どうなることやら・・・雨も降っていますね。明日、どうするのか・・・飛行機の欠航も今も出てきているようです。
今回、私はソーシャルメディアのセッションで「テキストCMC環境での議論における社会的存在感」というタイトルで発表しました。私の研究ではたびたび出てくる社会的存在感という用語ですが、誤解を恐れずに簡単に言うと、「バーチャルなコミュニケーションにおける参加者の存在感」です。バーチャルなので、もちろん、現実には自分の前に相手はいないのですが、バーチャルなのに、相手があたかも自分の目の前にいるような感覚とでも言いましょうか、そういう概念を社会的存在感と言っています。
しかし、この社会的存在感ですが、古くはShortらの研究(1976)から提唱され、スタートしているわけですが、情報技術の発展、研究分野の広がり、また研究者の立場で、捉え方が異なっています(再定義されていると思います)。社会的存在感はこのソーシャルメディア時代において、ソーシャルメディアにおける場の状況を把握するのに良い指標の1つと言えますが、研究とする場合、どの観点からの社会的存在感を踏まえて議論するのか、説明する必要があります。また、総合的に見るにしても、それぞれの社会的存在感がどういう関係になっているのか、世界的にもまだ研究はされていない状況です(そろそろ出てきそうな雰囲気はするけど・・・)。
そこで本研究は3つの立場で整理した社会的存在感がどういう関係になっているのか見ていこうと思っています。今回はその研究の中間報告という位置づけで報告を行いました。3人グループ(2人グループもありましたが)で、Twitterを使って議論を行ってもらい、その事前事後で質問紙によって、社会的存在感のデータを収集しております。そのデータに対して、因子分析を行い、その構成要素について検討を行っているというものです。
今後はより詳細な分析、発言ログと社会的存在感の関係について数値的に分析を進めていく予定です。今、共同研究者の北村先生@東京経済大学(今回も発表を見に来てくれました。ありがとうございました!)と一緒に発言のタグ付けを行っています。興味深い成果が出せるといいのですが。楽しみです。
当日の発表スライドを公開しますので、ソーシャルメディアのご研究、特に教育利用をされていて、その評価をし、研究を行いたい方、もしくは教育・学習向けのソーシャルメディアを開発されたい方などご参考にして頂ければと思います。最近、世界的に「社会的存在感」を評価する教育工学系の論文が増えてきているので、いろんな論文を読みながら、検討・研究を進めていきたいと思います。
社会的存在感を3つに整理した研究は山田・北村(2010)をお読み頂ければと思います。これを読まないとわからないことが多々あるかと思いますので。CiNiiで無料公開されていますので、そのリンクも張っておきます。
何かご質問などありましたら、お気軽にどうぞ。よろしくお願いします。昨日来て下さった方には、この論文で示した前提条件があまり共有できませんでした。こちらをお読み頂ければ、わかる部分があると思います。
山田政寛・北村智・松河秀哉・御園真史 (2012) テキストCMC環境での議論における社会的存在感, 日本教育工学会第28回全国大会講演論文集, pp.462-463, スライド
参考資料(これを読まないと前提条件はわからないと思いますので)
山田政寛・北村智 (2010) CSCL研究における「社会的存在感」概念に関する一検討, 日本教育工学会論文誌, 33(3), pp.353-362, こちら