九州大学 山田研究室

公立大学協会図書館協議会研修会が終わった

2012年09月12日

9月7日に京都で、公立大学協会図書館協議会主催の研修会が開催されました。私も事例報告の講師として立たせて頂きました。だいたい5,60名の方がいらしたでしょうか。北は北海道、南は沖縄まで公立大学の図書館職員さん、教員の方が参加されました。一部、関西の私立大学さんが参加されていました。

基調講演は天理大学の古賀崇先生で、日本の大学全体における図書館の意義を図書館情報学、情報政策の観点からお話をされ、古賀先生が京都大学の頃にされていらした、ライティングの授業等のご実践についてお話をされていました。しかし、古賀先生もされているような、学習支援、授業も、うまく図書館が学内に図書館の意義付けも合わせて広めていくかを考えて行かなくてはならないという問題点もご指摘されていました。

事例報告は私と同志社大学の井上真琴さんが担当しました。私は金沢大学の事例を報告するとともに、学習というものをもっと拡張して見ることも大事であることを説明し、大学の授業との連携が明示的にされていない現状があるのであれば、インフォーマルラーニングの支援、たとえば、図書館が得意としてきた情報リテラシーのコースを質的に拡充する他、ビブリオバトルのようなイベント支援、就職活動支援イベントのデザインを行うことも十分、大学の学習支援できていると言えることを説明しました。どこの大学図書館さんもライティング支援ということを強調されるのですが、ライティング支援をするためには、それだけ全学的な協力と意思の統一が必要だと私は感じています。香港やシンガポールの大学図書館のように、たとえば共通教育に対して、どう寄与していくのかということを明文化し、学内で承認を受けるといったことですね。日本の大学図書館ではなかなか難しいところがあると思います。大学教育センターのような学内部局と連携するというのも手ですが、最近の大学教育センターの業務ロードは激しいので、Win-Winの関係になるように連携していく必要があります。

また、もっと学生や教員の声を聞く必要もあるかと思います。現状分析のための全学調査をし、どういう学生がいるのか、どういうことが求められているのか、聞いても良いと思いますし、各部局の教育系の委員会にオブザーバーで最初は出して頂いて、各部局が目標としていること、課題を聞き、それに対して、「学びの場」としての図書館が何ができるのか、話し合っても良いのではないでしょうか。もちろん、「図書館なんて、1人で静かに学習する場でいいんだ!」と思っている教員は結構多いと思いますが、そういう声も聞きつつですね(多様な学生がいるはずなので、多様な学生を受け入れ、学ぶ場として、ラーニングコモンズと学習支援があり、何もそういう学生がいることを否定はしませんし、1人でモクモクと学習することができる場も必要なんですけど)。山内先生@東京大学が本学の図書館長 柴田先生と対談をされた時に、「洞窟のような、こもることができる空間も必要」といった旨をおっしゃったと思うのですが、まさにそういうことだと思います。

あと、最近、大学職員さんで大学院志望をされる方が増えてきていると聞きます。私も「先生、先生がされていることを研究する大学院ってどういうところがあるのですか?」とか「どういう研究領域で、先生がされていることを学ぶことができるんですか?」と聞かれることがあります。関心が高くなってきているんだなと実感します。そういう職員さん向けに、いくつかの大学院を紹介させて頂きました。まだ、現状では、そういう意識が高い職員さんたちをサポートする仕組みが大学にはないと思いますが、文部科学省も図書館職員さんたちの学習支援力の育成を重要視しているようなので、今後の展開で変わるのかもしれません。

井上さんは、元気ですね。職員さん目線でのお話で、うんうんと頷かれる職員さんも多かったです。同志社大学は元気ですからね。井上さんが精力的にされている、PBLの支援と普及、PBLを支援するためのラーニングコモンズの設計などされているそうです。かなりでかい、新しいラーニングコモンズが2013年にできるそうで、わくわくするようなものでした。井上さんのように学習理論を自学で学ばれ、それを活用した授業実践をされているスーパー職員さんはなかなかいないですが、確実にキーマンで、日本の図書館、さらには図書館職員さんたちの意識改革と元気づけをされていると思います。私も学ばせて頂きました。ありがとうございました。また議論、したいですね。

私自身も勉強になりました。古賀先生、井上さんに感謝します。また、ちょっと他の大学のラーニングコモンズ見学に行きたいですね。海外も含めてですが。香港、シンガポールはすごかった・・・圧倒されたという感じがしましたが。カナダとか見に行きたいですね。そして、関心のある教職員さん、学生さんと議論する機会があればと思っています。

同志社大学 井上真琴さんの記事(進研アド Between 2012年6・7月号)
http://shinken-ad.co.jp/between/backnumber/pdf/2012_06_tokubetsu01.pdf

金沢大学ラーニングコモンズでの対談がWebで公開されました
https://mark-lab.net/?p=270

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