九州大学 山田研究室

中原先生から経営学習論を頂いた!

2012年09月06日

「なりきりEnglish!!」でご一緒させて頂いた、中原先生@東京大学より、ご著書「経営学習論~人材育成を科学する」を頂きました。ありがとうございました。

中原さんが企業内人材育成の分野でご研究をされて、一区切りという意味合いで出されたご著書ということで、集大成という感じがしました。また中原研の学生さんたちの研究も引用されているのを見ると、元気いっぱいでがんばってられるんだなあと、研究室の良い雰囲気まで伝わってきますね。

企業内人材育成の中でも、教育工学・学習科学で学習する理論の関係性についても触れられていて、教育工学・学習科学から企業内人材育成を考える方向けにもわかりやすく、勉強になる本だと思います。組織社会化といった聞き慣れない言葉も出てきますが、読んでいくと、広く社会構成主義的学習観について一通りの理解があれば、すらっと入ってくる話ですし、わかりやすいかと思います。内定者に対するリアリティショックを与えることによる入社後の影響に関する研究とかおもしろいですね。

経験学習の章では中原研の学生さんたちの研究や中原さんのワークショップ実践の話も交えられています。Kolbの経験学習モデルのレビューもされていますし、調査研究も実際に数値データを使って、共分散モデルを使った分析もされていますし、興味深い内容になっています。上司による業務経験付与と部下の能力向上の重回帰分析なんておもしろいですよね。職場学習の章でも実際の数値データに基づいた記述がされています。OJTの内面に迫る話ですね。組織風土と他者(先輩等)からの学びの関係等について、分析データに基づいて説明されています。

組織再社会化の章もあります。これは中途採用者や異動、M&Aに関わる話かと思います。所属組織を離れ、別の組織において、再度社会化を行うことだと思います。企業やその部局の文化というのもありますし、いろいろ困難なことがあるのですが(私も企業時代はかなり雰囲気が変わったところに異動したので、実体験でよくわかります)、何が問題になるのか、こちらもちゃんとしっかりとデータに基づいて分析されています。越境学習の章も興味深いですね。従来のアイデアを越えた何かを発想するため、それを求めて、自分のいる枠を越えて、学びの場を求め、学習するスタイルですね。ソーシャルメディアが最近流行っていますが、そこでのつながりをもとに、様々な分野の方々がコラボレーションして、イベントされたりしていますよね。あれも一種の越境学習と言えると思います。越境学習について説明もされていますし、近年、話題になっているグローバル人材の育成に向けても触れられています。

この本、私が思うに、今の大学の上層部や実践的な力を身につけさせたいと考えている教員が読むと良いと思います。自分の授業で何を身につけさせれば良いのか、どう設計すれば良いのか、そのヒントが得られると思います。

いやあ、私が知らない方の研究が引用されている本を見るのは新鮮ですね。学習論と謳われている研究の場合、知っている方、先行研究が引用されているのですが、分野が異なるだけで、こんなにも違うのかと思いました。

非常に勉強になりました。ありがとうございました。

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