そういえばなのですが、私が初めて学生を受け入れてから、つまりは研究室が始まってから10年過ぎてました・・・2014年4月に初めての院生である江藤さん(現在、福岡市立小学校の養護教員をしながら、佐賀大学医学系大学院の博士後期課程で研究しています)が、その半年後に中国からの留学生 唐さん(現在、都内ゲーム会社?で勤務)が入り、その半年後に大学院入学、次に陳莉さん(現在、本学システム情報科学研究院助教)へと続いていきます。アイキャッチ画像は江藤さん、唐さんの修了式の時で、まだ箱崎の分室にいたときでした。江藤さんが研究院長賞でも最優秀賞を受賞したのでした。本務が伊都だったので、伊都に研究室があったのですが、学生指導は箱崎だったので、箱崎で共同研究室という形でお部屋を頂いていました。あの頃は箱崎では個室がもらえなかったんですよね。
この10年で8名の修了生(うち2名 博士号取得者)を出しました。9月にはもう1名の修了生、年度末までにはもう1名の修了生が出る予定です。理系のような講座制でもない、博士進学者はほとんどいない、さらに1学年1,2名程度の小規模研究室のわりに、プロジェクトを立てて、精一杯やってきたなと思っています。
教育工学がマイナーな九州大学で、研究室立ち上げができるのか?とか思っていました。2014年から数年、学部担当もしていましたが、当時の基幹教育院長から突然、学部担当を外れるように言われ、外れるようになってからは院生が来ないんじゃないか?と不安でしたが、サポートして下さった先生方のおかげもありまして、なんとかなったなと思っています。特に大きかったのは、緒方広明先生(現在、京都大学)が徳島大学からこちらに来られたことでした。緒方先生とは、私が修士学生の頃からのご縁で、双方のお師匠様がとても仲良かったことから、国際会議でよく顔を合わせていました。その後も国内では会わないのに、国際会議では会って、食事をするという不思議なご縁で、仲良くさせていただいておりました。着任されて、まさかの同じフロアー階で、ドアをノックされ、「九大にきました」とお声かけがあったのは懐かしい思い出です。そこからラーニングアナリティクスの研究、ラーニングアナリティクスセンターの立ち上げなどもさせていただいたのは大きなことで、かなり研究の発展があり、現在もその研究は続いています。
島田先生のAIP加速研究に「主たる研究分担者」として関わらせていただいたのも大きかったです。プロジェクトとして大きいものだったので、システム開発研究を大幅に進めることができ、さらにそこで開発したシステムは現在、本学の運用システムにも活用されています。
博士号取得者を出すところにあたっては、大学院人間環境学府教育システム専攻の先生方のご協力・ご理解も大きかったなと思います。教育工学はプロジェクトで行う研究が多いので、論文・国際会議原稿執筆も複数で担当することも普通にあります。そのため、連名になるのはよくあります。プロジェクトベースという理系の特色もあるのが教育工学です。その文化をご理解下さって、博士号取得の基準を明確化できたというのも大変大きなことでした。九州大学からも教育工学を専門とする研究者を輩出することができる環境や制度が整ったというのも非常にありがたいことでした。
しかし、以上を支えてくれたのは、学生でもあります。学生は自分の学位を取得するということもありますが、そのプロセスにおいて、精一杯研究を進めました。時には厳しいこと(厳しいことばかり???)を言ってきましたが、その基準を越えて、すばらしい成果を挙げてくれましたし、プロジェクトも大成功のうちに終わることができています。大変感謝しています。
まさにこの10年、多くの方々に支えられての研究室だったなと思います。もう既に11年目に入りましたが、これからも教育工学研究を精力的に進めていき、広く日本、そして国際社会の発展に貢献していきたいと思います。