皆さん、こんにちは。
今回はLAKの参加報告をさせて頂きます。
2024年3月20日〜22日に京都の国際会議場で開催されましたLearning Analytics and Knowledge(LAK)2024のメインカンファレンスに参加してきました。LAKは、学習分析研究、それに関わるシステム開発や学習データを活用した教育実践など、ラーニングアナリティクス研究に関する最も大規模な学会の1つで、2024年の現段階ではGoogle Scholar Metricsでも教育工学で20位以内に入る国際会議で、CORE RankingもAです。
私は今回、ポスター発表を行いました。LAKのポスター発表は、部屋の中にポスターがずらりと並んでいて、代表著者が各自のポスターの前に立って、参加者が自分のポスターに近づいた時に内容を説明するという形式です。本発表とは異なり、一度に複数の研究を知ることができ、参加者と深くディスカッションすることができるのがポスター発表の魅力だと感じました。私も発表者として、自分の研究に興味を持ってくれた参加者と深く議論できることがとても楽しかったです。1時間という時間はあっという間に感じました。
私が発表した内容は、「音声認識を使った英単語学習行動の分析」についてです。修士研究では音声認識を活用した英単語学習支援システムを開発し、2回の実験を通じて収集した学習ログをラグシーケンシャル分析をした結果を発表しました。
聞いて下さった方々と研究についてディスカッションすることができました。主に音声認識によるフィードバックの妥当性、事前・事後テストの結果、ラグシーケンシャル解析から明らかになった音声認識の有用性について話しました。特に、研究から得られた学習行動に基づく今後の学習環境の設計について関心を持ってくれた参加者が多かったように思います。私自身も参加者との議論を通じて、研究成果の活用方法について考える機会となりました。
自分の発表以外にも他の発表を聞きに行きました。全体的に、AIを利用した学習分析や実践に関する発表が目立ちました。特に興味を持ったのは、自動音声認識AIにより授業中のチューターの発言記録を解析し、ダッシュボードとして解析結果を表示することで授業改善に役立てるモデルを構築している研究です。教員を補佐する役割を果たすチューターは、時には教員の代わりに授業を担当することもありますが、必ずしも教えるための適切な発問力を持っているわけではありません。この研究では、授業中のチューターの発言を記録し、Talk Movesという発話分類に基づいて教員にフィードバックするモデルを提案していました。ダッシュボードを使う実験群と何も使わない統制群との比較の結果、ダッシュボードを使用した群、とりわけコースの途中からダッシュボードを使い始めた群の授業の質が向上したという結果を報告しており、興味深いと感じました。最近の自動音声認識は無料版のものでもとても認識率が高いと感じています。音声認識技術を使って授業中の発問を記録し、発問体系に落とし込んだ上でフィードバックする試みは、私自身も授業設計などで応用したいなと感じました。また、私が聴講した研究では日本の教育系非営利団体と協力し、人的リソースの確保や大規模なテストを実施する事例を報告している点も印象的でした。非営利セクターとの連携により実践的な文脈での学習ログの収集と柔軟な実験環境の確保につながる可能性を感じました。
(文責:平田沙希(山田研究室 修士2年)