第1回シンポジウムを2023年1月に行いましたが、早々に第2回シンポジウム「生成系AIとラーニングアナリティクスによる新たな教育学習支
日本の教育機関では生成系AIのインパクト、強く受け止めているかと思います。大学では生成系AIの利用ルールについて様々な規定を設けて、発信していますし、文部科学省でも発信されています。しかし、もうそろそろ利用ルールはいいかなと、お腹いっぱいかなと思っていまして(おそらくはいろいろ見えてきている部分もあり、今後の状況でルーチン的にアップデートされる)、次のステップへ進むべく、具体的な利用について話し合う場が必要ということで、このシンポジウムが開催されました。
吉田先生からは全般的なAIのお話から、プロンプトによって返答が変わる具体例、利用についてAIに対して、どういう役割を持たせるかによって、活用方法が様々となること、利用上の注意点で、アメリカで実際に起こっている問題など挙げて、具体的にご説明くださり、非常にわかりやすかったです。大変実践知に満ちたご講演を下さりました。
合田先生からは、インストラクショナルデザイン研究・実践の老舗である熊本大学というところから、生成AIの特徴、インストラクショナルデザインからみたAIの活用、また生成AIを利用することを前提にすることではなく、どういうテクノロジーを利用するにせよ、学習目標に照らし合わせた授業デザイン、その授業目標を達成するためのテクノロジーであることなど、授業運営上、コアであるポイントにそってお話を下さりました。
それ以後の研究報告では情報基盤研究開発センターで、LAセンターではシステム運用部門長をされている殷先生から神戸大学でされていたDXのケース紹介、島田先生からは島田研でされている生成系AIを活用した研究事例紹介(非常におもしろかったです!さすがだなと思いました)、IQLabの学生さんからは学生視点での生成系AIの活用について、実際に行った調査結果から考えられることなど紹介を下さりました。
教育利用に対して非常に還元性の高いシンポジウムだったなと思います。聞いていて思ったのは、4つあります。
1. 生成AIはそのままでは教育、学習には使えない
2. 専門性と汎用性のバランスをどう考えるのか?
3. 2つめの点も含めて、教育・学習分野ではプロンプト開発にせよ、AIとのミドルウェアを開発するにせよ、勘所がわからないと研究するにも実践するにもきつい。でも、それを理解するには、普段の人間の行動やコミュニケーション、集団行動がヒントになりそう
4. 人間ってすごいよな…
の4点です。4点目は半分余談ですけど(人間のヒューリスティックな判断、状況認知ってすごい機能だなと)、3点目は特に重要で、まさにコミュニケーション系の学問諸領域を知ることが大事だと思います。これには数多くの先行研究があります。とても参考になると思いました。
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でね、私は今回は特に何もないから、聴講者席で勉強しようと思っていたら・・・急遽、開会挨拶をすることになってしまいまして・・・
「いや、それは島田先生が・・・」と言ったら、島田先生は報告、パネルに出られるし、殷先生も報告に加え、パネルに立たれるから、他に部門長レベルでお願いしやすいのが研究開発部門長をしてる私しかいないということとなり・・・たった5分なのに、緊張しました。慣れないですね。基幹時代に大変お世話になった野瀬先生が来られていて、「貫禄ついたね!」とお言葉を頂いたのですが、まだまだですね…
今回、企画、運営などは大久保先生がされました。大変お疲れ様でした。パネルディスカッションも見事な回し方でした。シンポジウム企画、実施はとても大変なんです。しかし、うまく運営されていて、とても良かったです。パネルの流れが特によかったです。
今後もLAセンターでは、ラーニングアナリティクスを中心に、みなさまへ還元性の高いシンポジウムを企画していきますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。