本当に久々なのですが、Computer-Assisted Language Learning(CALL)の国際会議であるEuroCALLに久々に参加してきました。前は結構CALLというか、CMCの言語教育利用研究をしていたので、よく参加していたのですが、あまり言語教育研究を私が主体で行うことが少なくなって、言語教育系の研究学会には足が遠のいていました。ポストコロナというところで、対面開催となり、参加してきました。
アイスランドで開催だったのですが、初めて来ました。さすがアイスランドですね。夏なのに、雪があります。あれは後ほど知ったのですが、氷河らしいです。
会場はアイスランド大学です。おしゃれですね。The Living Language Labというのが興味深かったです。言語の関係性、多様性、また現存している言語、消えゆく言語を可視化しているシステムなどあって、インタラクティブに表現していて、勉強になりました。
ヨーロッパのCALL系学会は他の地域と比べて、少数言語もあることから、その存続という意味を含めた言語教育、その文化的蓄積という意味も含めて、CALLをそのための1つの装置として捉えている感じがします。アメリカやアジアではあまりない発想かなと思っています。アイスランドでもそうですね、アイスランド語という存続という意味を強く感じるところがありました。
AIはやっぱり言語教育でもホットトピックですね。Keynoteも、AIに関するSIGですかね、そのセッションにも参加してみました。現状としては、「最近の生成AIの原理を知ろう」、「どんな感じで言語教育で使えそうか(使ったわけではない)」、「教員はどんな不安と期待を持っているか」という調査レベルというところでしょうか。ELIZAも懐かしいですね。前にELIZAを使った、論理的思考を引き出すChatbotを開発して、Chatbotで会話した後に、グループで英語の議論したら、グループ活動はどうなるのか?という研究をしていたことがあります。それを思い出しました。懐かしい・・・
Goda, Y., Yamada, M., Matsukawa, H., Hata, K., Yasunami, S., Conversation with a Chatbot Before an Online EFL Group Discussion and the Effects on Critical Thinking, The Journal of Information and Systems in Education, 13, 10.12937/ejsise.13.1, 2014年10月
Yamada, M., Goda, Y., Matsukawa, H., Hata,K. and Yasunami, S. , A Computer-Supported Collaborative Learning Design for Quality Interaction, IEEE Multimedia, 23, 10.1109/MMUL.2015.95, 2016年1月
言語教育は歴史的に情報通信技術が取り入れられるのは他の教科に比べて早い方です。AIもその1つになると思いますし、意味が通る翻訳(これはこれまでのサービス以上のものだと思います)も出来たり、学習言語で対話が出来たりと、言語教育にうまく取り入れやすいところだと思います。ただ、雑感として、それ以上のものが言語教育研究ではあまり出てこないな・・・というのがあります。ChatGPTを始め、生成AIは確かに優れたものだと思いますが、知能情報学の研究者とコラボレーションし、教育工学でも工学と教育学の真ん中にいる立場としては、「そのままで使えるケースは少ないな・・・」というのが感じているところです。プロンプトを工夫するなど、いろいろあると思いますが、学習目標に照らし合わせて、もう少しうまく使えないかな、もっと具体的に言うと、開発できないのかな?と思います。これまでのCALL研究の歴史を見て、もっと振り抜けた研究ってできないかな?と思ったりです。言語教育でも、そのままのAI利用というよりも、もっと言語教育でも、これまでに蓄積された研究知見に基づいて、どういうAI関係アプリを開発したらいいのか、その上のデザインをすればよいのか、などそういった研究発表が求められると思います。言語教育は様々な教育工学系国際会議でも扱われています。中には1つのセッションとしてテクノロジー活用の言語教育を設けている国際会議もあります。そういった国際会議との差別化を図るためにどうあるべきか、考えるのも、CALL系の国際会議には求められると思います。そういう発展性に満ちた場でないと、固定客化され、小さく、インパクトのない国際会議になってしまうかなと懸念します。
そろそろ生成AI熱も落ち着いてくるのかなと思っています。その後、AIというものが普通に使われるようになるところを見据えて、どういう研究ができそうか、考えてみたいです。
あと、私、私の学生も発表してきました。
Yamada, M., Goda, Y., Geng, X., Chen, L., Ogata, H., and Shimada, A.(2023). How do English teachers use learning logs for instructional design improvement? – A case study -, presented in EuroCALL 2023
Hirata, S., and Yamada, M. (2023). Automatic speech recognition system enhancing the use of vocalisation strategy, presented in EuroCALL 2023.
言語教育系の研究をしたい学生がちょっと続くので、CALL研究も再度、モニターし始めようかなと思っています。
しかし、これはEuroCALLに限らずですが、コロナのこともあって、国際会議がハイブリッドでの開催を維持しているところもありますが、対面のみとしているところも増えてきました。しかし、対面参加者数が少ないですね。EuroCALLもそうですが、7月のED-MEDIAもそうでした。国内イベントでもそうですね。対面参加者数は2,30、オンライン参加者は数百と。コロナ前の状況にはなかなか戻らないですね。また盛り上がる国際会議の場が復活するとうれしいです。