ずいぶん前、コロナ前の実践になるのですが、福岡市内の高校で行ったラーニングアナリティクスを活用した授業実践において、収集したログを解析し、学習行動パターンから学習方略を見いだす研究論文がResearch and Practice in Technology Enhanced Learning (RPTEL)誌に採録されました!!まずは査読者の先生方、本論文の担当をしてくださった先生方に御礼を申し上げます。ありがとうございました。
これはSIP第2期で、京都大学の緒方先生、本学の島田先生とのコラボレーションで行った研究です。うちの学生、耿くん、がんばってくれました!博士論文の指導委員会にて、自分の博士論文構成を作り上げていく中、よくやってくれました!すばらしい。おめでとう!
Geng, X., Chen, L., Xu, Y., Ogata, H., Shimada, A. and Yamada, M. (2023). Learning behavioral patterns of students with varying performance in a high school mathematics course using an e-book system, Research and Practice in Technology Enhanced Learning, 19(11), https://doi.org/10.58459/rptel.2024.19011
高校の数学にて、成績上昇群、下降群、不変群(高ー高、中ー中、低ー低)に分けて、それぞれを分析しています。全体的にはリハーサル方略や様々な概念をつなげて自己説明しようとする学習方略が見られたのですが、群分けして分析すると、上昇群では様々な情報を統合する学習方略が見られました。他の群だとそれが見られなかったり、マーカーなどの1つの学習機能に焦点化して、繰り返し使うなど、学習行動として連続体を為さないというケースが見られたりもしています。結構、面白い結果になっていると思います。
日本の初等中等教育におけるラーニングアナリティクス研究にて、デジタル教科書など非常に細かい粒度のラーニングアナリティクスは緒方先生のところのチーム以外は東北大学の堀田先生のチーム、高校だけに限れば、九大くらいしかないのですが、こういった知見を提示して、学習データ活用型の授業デザインや改善の在り方を模索することはとても重要なことだと思います。
GIGAスクールが始まって、数年経ち、学校現場では教材提示装置、クイズなどのテスト提示で使うことがほとんどです。その次の段階をもう考えていかないとマズいだろうと思っています。そういう点は緒方先生や堀田先生、我々が行っている知見がうまく活用され、議論する場があればよいなと思います。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。