皆さん、こんにちは。山田研究室修士1年の平田です。あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。
年明け最初、英語論文ゼミの投稿になります。私が読んだ論文は下記です。
論文名:nStudy: Tracing and Supporting Self-Regulated Learning in the Internet
論文誌:International Handbook of Metacognition and Learning Technologies, 293–308
Springer International Handbooks of Education
著者:Philip H. Winne and Allyson F. Hadwin
発行年:2013
近年、インターネットを使った情報収集やレポート作成、学習が当たり前になっていますよね。
ネット上の情報源を使って学習を行うには、高い「自己調整学習能力」が必要であるとされています。自己調整学習とは、学習者が自分自身の学習活動を能動的に調整することです。学習内容について自分がどこまで理解しているかを把握し、何を学習すべきなのかを考えるためには、「自己調整学習能力」が必要で、ネット上の大量の情報を使った学習では必要不可欠な要素です。この論文では、学習者の自己調整学習スキルを向上させるために、nStudyというWeb学習アプリケーションが開発されました。
nStudyは、Chormeなどのウェブブラウザが学習用に拡張されたシステムで、学習者はHTMLコンテンツで学習を行います。拡張機能として、学んだ内容をメモできるノートツールや文章中のキーワードのタグ付け機能、他の学習者との共同学習機能が採用されました。また、システムの操作ログがミリ秒単位で記録され、そのデータを行動レベルに分析し学習者に提示することで、自己調整学習が支援されました。最後に、開発したnStudyシステムの今後の課題として、学習スキルを向上し、学習の自己調整を活性化させるフィードバック機能の追加があげられました。
ここからは、この論文を読んだときの、私の感想になります。本論文では、個人学習の場面における自己調整学習を想定しており、システムの設計においても、学習者がデータを基に自主的に学習を改善することを重視しています。自分の開発するシステムも、学習者が自ら学習を最適化するような設計を想定しているため、この点において、本論文は積極的に参考にしたいと思いました。
具体的には、ミリ秒単位で操作ログを収集し、その遷移パターンを基に、学習方法を学習者にフィードバックしたり、評価したりする仕組みは参考にしたいです。自分の研究では、外国語の音声を重視する学習方略の使用促進を目的としているので、このような細かい操作ログを用いた遷移グラフを活用し、学習方略の使用度合いの評価や、学習者へのフィードバックを行いたいと考えました。
一方で、わからなった点もあります。この論文では、システムでの学習における、効果的な学習方略について言及されておらず、どのような基準(データ)によって、学習者に学習方法に関するリコメンデーションを提示するのか分かりません。ネット上の情報を体系的にインプットする際の効果的な学習方法を明示した上で、それを促すようなリコメンデーションを検討する必要があると感じました。