しいの木迎賓館のアクティブラーニング教室


しいの木迎賓館の3階はセミナーで利用できる階層になっています。3階のアクティブラーニング空間のコンセプト検討・作成、空間の一部設計、ここで行う学習形態の検討に関わらせて頂きました。

 

 

 

机が組合わさっているところを見ていないのですが、いい感じでした。机が結構軽く、グループが組みやすいですね。しいの木迎賓館ではおそらく、アクティブラーニングの支援が必要になるとは思うのですが、ICTの利用支援スタッフの方は常駐して下さっているのですが、大学内ではないですし、東京大学KALSのように、教育を専門とされるスタッフがずっと常駐されるわけではありません。ですので、グループワークなどの学習者中心の学習を促進する1つの仕掛けとして、いすの色を分けました。

この色分けに意味を感じて、動いて下さって、問題解決学習、プロジェクト学習など、学習者中心の学習形態を導入して頂ければと思います。非常に表層的で単純なことかもしれませんが、色というのは結構注目されるものですし、この教室の利用事例を簡単に説明すると、この色を使って工夫して下さる先生もいらっしゃるのではないかと思ったのです。同じ色のいすに座っている人でグループを組んでもらってもよいですし、その後に、各グループから1名ずつ集まって、情報共有するなどのグループを再編するというときにも使えます。また学習者の属性とこのいすの色を合わせて使ってもらっても良いかと思います。ホントにお恥ずかしい限りの小さなことなのですが、使えるかなと思いました。

 

あと3面ホワイトボード、スクリーンも備わっていて、いろんな形態の授業を組むことができますね。小さなホワイトボードも用意していますので、各グループでそのホワイトボードを利用してもらって、グループ内の学習を活発にやって頂ければ幸いです。みなさん、どのように利用されるのか、楽しみです。
もちろん、他の支援も必要になってくるのですが、ここも今後、考えていきたいと思います。

 しかし、このレストラン、すごいですね。ジャルダン ポール・ボキューズというレストランらしいです。フランス料理のレストランで、東京、大阪にもあるそうです。私のような貧乏教員にはなかなか入りづらいですね(笑)1階にもこのレストランのカフェがあるそうです。私はこのようなレストランが入ることは知りませんでした。タクシーの運転手から聞いてびっくりしましたよー!

 

高級そうだ。餃子の王将好きな私はなかなか縁がなさそうな感じ(笑)緊張して手がプルプルしそうだ・・・私みたいな人は行っちゃダメなんだろうね。

しいの木迎賓館は兼六園、21世紀美術館、金沢城に囲まれた大変いいところにありますし、香林坊にも近いので、空港バスにもすぐ乗ることができるので、交通の便は大変良いと思います。セミナーなど開催される時はぜひお使い頂ければと思います。2011年5月に私は金沢で日本教育工学会の研究会を開催しないといけないのですが、規模が小さければここでやってもいいかもなんて思ったりもしますが、会場料金もありますし、もう1つの教室は講義型の教室で、最大で借りることができても2教室までなので、難しいかな。やっぱ、大学か。

しいの木迎賓館アクティブラーニング教室のゾーニングにご助力を頂きました、Educe Technologyの山内先生(東京大学 大学院情報学環 准教授)には感謝致します。ありがとうございました。

しいの木迎賓館
http://www.shiinoki-geihinkan.jp/about/shop.html

アクティブラーニングについて思う


今年に入って、アクティブラーニングに関するイベントの企画をしたり、そういうイベントに参加したり、私自ら講演したりしています。
今になって思うのですが、アクティブラーニングって何のことを言うんでしょうね。東京大学のイベントの時に、中原先生@東京大学がアクティブラーニングという言葉が言われ始め、人によって言うことが違い、アクティブラーニングについて話す人の数だけアクティブラーニングの考えがあるといったことを言われていました。中原先生のお話では「インプットートランスフォーム(自分とは異なる他者と触れることで一回り大きくなる過程:ロゴフの話が入っていてわかりやすかったです)ーアウトプットが有機的につながっている学習形態」というように言われていたように思います。人によっては問題解決学習、プロジェクト学習などの学習者中心の学習形態のことを言い、人によっては演習型だろうが、講義型だろうが関係なく、学習者の主体性を引き出すことができる仕組みが入ったものと言います(後者の方がしっくりしますね)。
ちょっと心配になるのは、「アクティブラーニング」という言葉が先行してしまい、意味も乱立し、結局何を意味しているのものなのか、わからなくなってしまうことと、なんでもかんでもアクティブラーニングという人が出てくるということです。
前者の方は学会とか、シンポジウムがある度に「アクティブラーニング」をどういう意味合いで使用されているのか、確認しないと行けないのが嫌ですね。溝上先生@京都大学が2007年に名古屋大学の高等教育関係の紀要でアクティブラーニングについて整理されていらっしゃいますが、溝上先生もあの紀要で書かれたことをもう一度整理しないと行けないとおっしゃってました。溝上先生が書かれた2007年から3年の間でもこのアクティブラーニングという言葉はいろいろ解釈され、混沌としているのだと思います。
後者の方は教育においてはいつも問題になるようなことだと思います。ICT、特に流行の技術がちょっと出てくると、それを宗教的に信じて使ってしまう傾向。それと似たようなもので、なんでも「アクティブラーニングがいい、導入すべき」と言っちゃう人が出てきちゃうんですよね。これは困ったものです。しかもこの言葉自体がいろいろな解釈を生んでいることをわからずに・・・どういう意味なのかにもよりますが、例えば、問題解決学習やプロジェクト学習のような社会構成主義的学習観に立つ学習形態のことを指すのであれば、そういう学習形態が合うものと合わないものがあると思います。2月22日に私がいるセンターが主催しました「アクティブラーニングが創る大学教育の未来」では「そもそもアクティブラーニングをする必要はあるのですか?」というコメントがありました。この学習形態のことをアクティブラーニングというのであれば、その通りでしょう。必要がない、というか、合わないものがありますよね。
しかし、学習者の主体性を導きだすための仕組みが組み込まれた学習形態/モデルという意味になるならば、必要です。それがない授業はまずいでしょう。この話であれば、アクティブラーニングをやらないといけません!という主張は理解できます。ですが、この話は言葉が変わっただけで、ここ何十年もずっと言われてきていることなので、ここで敢えて、どうするものなのか?という疑問はあります。
ここ数ヶ月、アクティブラーニングについていろいろ関わることが多かったです。渡辺君@首都大からは「なんか、アクティブラーニングという言葉が金沢から聞こえますね」と言ってもらえたのは、なにかしらいろいろ頑張ったからかなとありがたい気持ちになるのですが、気をつけて考えて進めていかないと行けないことだと思いました。あと宗教的にハマる先生や宗教的にアクティブラーニングを連呼する先生を我に戻すのも忘れないようにしないといけませんね。

シンガポールの教育


現在、私たちの身の回り、使用する電子機器、生活環境が大きく変わりましたし、それに合わせて学校で教わるものも少し変わってきました。何か、大学で教育していたものが高等学校へ、中学校へ、小学校で少しずつ落ちてきているようにも思えることもあります。一番最後に影響を受ける小学校は小学校英語、情報科目、小学校によってはコミュニケーション能力の育成のための授業を行うなど、小学校が大きく変わりつつあります。

今後は小学校から将来の人材育成を考えて、必要であれば新しい科目を追加し、カリキュラムが検討され、授業が行われていくんだろうな・・・そんなことを考えていた時、シンガポールに昔行ったことを思い出します。赤堀先生とベネッセコーポレーションの方々と一緒に学校視察に行きました(この頃はまだ博士1年で、今のポジションにつくなんて考えてもなかったです)。

シンガポールの教育熱はまるで15年前くらいの日本を見ているようでした。基礎学力の育成に熱心で、教育熱心な親が大変多いです。たぶん日本より過激で、小学校から国家試験、この小学校6年くらいで受験する試験で大学にいくことができるかどうか、決まるんだそうです。シンガポールは小さな島国ですし、資源も何もなく、「人材こそが資源」と政府の明確な方向があり、人材育成はしっかりやっているということです。人材流出を避けるためにもパスポート更新は2年、留学に出るときはデポジットで100万円だから200万円だか、政府に納めないといけないということです。

シンガポールでは英語教育も盛んで、幼稚園の頃から始まります。小学校では主に中国語と英語が使用されます。タミール系の方もいるので、タミール語も使用されているところもありますが、中華系、タミール系の学校と外見上別れているようにも見えます(もちろん、中華系の学校にタミール系の生徒もいるのですが)。この幼児期からの2ヶ国語教育ですが、シンガポールの「落ちこぼれ」を生む大きな原因になっているんだそうです。日本人でシンガポールで生活している方とお話しすることができましたが、この2ヶ国語学習はかなり重いそうです。中華系の方にとっても、親が英語を話すことができないことや、中国語でも書き言葉を教えることができないこともあり、中華系のお子さんにとっても、厳しいところがあるそうです。

シンガポールでは小学校での授業にIT機器が積極的に使用されています。PRSで、授業中に数学の4択問題を出して、生徒に答えさせ、その回答が違う子でグループを組み、数学の勉強をするとか、自分で英語教材をFlash で作ってみるなどの授業があり、おもしろかったです。小学校で1つのeラーニングを提供し、自宅でも学習ができるような仕組みを作っているところもありました。その「落ちこぼれ」を救うために、レベル分け行い、英語能力の定着のため、eラーニングとのブレンドで学習をさせるようなところもありました。日本と同じような、教科の理解を深めるという道を歩まないで、社会で求められるような、ソーシャルスキルや問題解決能力の育成を教科教育で行っているのは面白いですし、日本ではこうはいかないと思いました。

日本の小学校でははシンガポールほど、コンピューターのソフトウェアが充実していませんし、指導できる内容もかなり限定されていて、シンガポールほどの積極的なIT使用は難しいと私は思いますが、ITを使わなくてもできることもありますし、教科教育の中でも、単に学習項目の学習をさせるのではなく、指導方法についてもいろいろな方法があると思います(それは日本でも研究されてきているので、ここで触れることではないと思います)。

それ以上に、私が覚えているのは、学校現場の教員であっても、数年の教務経験を持ったあとにNIEにいって、教育学修士のコースに入って勉強することや、企業の人たちと研究するなどして、実際の現場で活躍している人材がどういうものなのかということを意識し、勉強して、また教育現場に戻っていくというサイクルができていると思いました。もちろん、小学校から「企業ではこんな人が活躍しているから、そんな風になりなさい」とか「君たちは将来企業に行くのだから・・・」とか、そんなことを言うのではないですよ。大学や企業で行われている教育形態や能力を小学生の指導レベルに落として考えるということです。教育現場の教員であっても、単に授業ができる、学級運営ができるだけでは足りない。将来の人材育成を見据えるということが大切で、今後日本でも求められるのかなーと思いました。

Top 25 Hottest Articlesに選ばれていた


Twitterでもつぶやいたのですが、Editor-in-Chiefから「採録は厳しい」なんていわれている海外論文誌に再投稿しようとかんばっているわけですが、そのためにちょっと読んでいた論文で、なんか聞いたことある知見だなと思ったら、私の論文が引いてありました。海外の論文だったので、うれしかったです。
条件回答のために、海外論文誌をいろいろ見て、探し回っているわけですが、私が以前採録頂いた(おかげで、査読が振られるのだけど)、エルゼビアのComputers & Education誌の中でTop 25 Hottest Articlesというのがあったので、見ていました。2か月ごとに出ていて、最新のが2009年の7月から9月のものなのですが、「へぇー、Second Lifeの教育利用とかってこの頃はよく読まれていたんだー」とか「Reviewもあるのね。モバイルの評価フレームワークか、おもろそうだな」とか、思いながら見ていたわけです。
そんで2009年4月から6月の間で読まれた論文ランキングを見ていたら、そのTop25の25位に私の論文が!えー!マジ?ちょっとこれはうれしいかも。この論文は大変だったな。条件に着々と回答していたのですが、ちょっと厳しい条件が1つあり、北村先生@東京大学に相談にのってもらったんだっけ。対策についてお知恵をお借りしたんです。北村先生には感謝しています。
ありがとうございます。FD系のセンターにいると、研究という意識が段々薄れていきそうで本当に怖く、常に「研究する!」、「査読つき論文に出す!」という強い意思を持っておかないと辛い部分があるのですが、海外の論文誌、特に教育工学の論文誌でもインパクトファクターがついている論文誌でほんのちょっとの期間だけでも多くの方に読んで頂けたことは本当にうれしいことで、感動しています。「読まれる」といっても、引用されているわけでもなく、批判の対象という意味で読まれているということもあるので、一概に良いとは言えないかもしれないのですが、教育工学の分野に興味がある海外の研究者や学生などの皆様に読んで頂けたということだけでもうれしいと思います。
本当にありがとうございます(日本語じゃ通じないんだけどねw)。私の研究は日本ではなかなか広まらないですし、教育工学からは「CALLはよくわからない」と言われ、英語教育からは「英語教育者がやった研究じゃないしな」と言われ、なんとも中途半端な立場ではあるのですが(もちろん、日本の論文誌自体にあまり投稿していないということも一因としてあるが)、これからも皆さんの研究や実践にお役に立てるような研究をしていきたいと思います。

http://top25.sciencedirect.com/subject/social-sciences/23/journal/computers-education/03601315/archive/22/

BEATセミナー「外国語学習のソーシャルイノベーション」で話してきた


先日、BEAT Seminar「外国語教育のソーシャルイノベーション」にて、パネルディスカッションの指定討論者としてお話してきました。

最初にレアジョブの加藤さん、Lang-8の喜さんのご講演がありました。レアジョブの加藤さんからはなぜレアジョブというサービスを始められたのか、なぜ講師がフィリピン人の方々なのか、サービスの概要などお話がありました。フィリピンでもフィリピン大学という日本でいう東大ランクの大学の現役学生さん、卒業生を実際に採用活動を通じて講師として雇用されているそうです。レアジョブのWebページから講師を選択し、時間を予約し、Skypeで受講するという形になっています。価格も大変安く、25分で129円からで、50分コースもあるということでした。月謝は1ヶ月分まとめて支払うという形になっています。加藤さんのフィリピン初の世界的企業にしたいという思いが伝わるご講演でした。ただ、フィリピン人を雇用して事業を展開されるだけではなく、フィリピンと日本と文化的交流もお考えになられているところが、単なる事業を進めるという意味を越えた、深さを感じました。
私は修士の頃から外国語教育におけるビデオカンファレンス、テキストチャットといった同期型CMCの利用に関して研究をし、学位を頂きましたので、興味深く聞かせて頂きました。実際にどのような学習効果があるのか、知りたいですね。またフィリピン人という同じアジアの人から教えてもらうという効果も興味があるところです。英語は本当にキレいでした。私もちょっとやってみたいと思います。最近、全く英語を話していないので。私は特にリスニングがだめなんですよね。
Lang-8の喜さんのご講演も興味深かったです。テンダムラーニングですね。学びたい言語を母語とする人たちとコミュニケーションを通じて、修正してコミュニケーションを続けるというものでした。自分のソーシャルネットワークを通じて、修正するということです。対応言語数は参加者に依存するので、参加者の出身国分対応できるということになります。事業開始の時は日本ではあまり広報を行わず、アメリカを中心に外国で広報をされていたそうです。興味があるテーマを中心にテキストによりコミュニケーションで学習できるので、いいですよね。実際のコミュニケーションというオーセンティシティーもありますし、非同期テキストコミュニケーションなので、ゆっくり文章を作成することができます。また修正されることで学習になり、さらに社会的存在感も強くなると思います。コミュニケーションにテーマや相手への親近感によっては、50分間もずっと修正をして下さるユーザーもいらっしゃるということでした。Lang-8を気に入って、CMを作って下さる方もいるとか。
文法的な意識が高められ、時間をゆっくりとることができるコミュニケーション媒体だからこそ、うまくまわっていると思いますね。自分の国の言葉を学びたいという思う外国人に対しては本当にうれしい気持ちになりますし、お互いに教え合えば、社会的存在感も強くなり、社会支援を行いたいという気持ちになりますよね。良いサービスだと思います。また、テストとか、そういうガチガチの学習観に縛られないという、ソーシャルメディアがうまくハマる使い方をされていると思います。外国語教育におけるソーシャルメディアに関する研究をしてきた私は「うまい」と思いました。ただ、ビジネス的にはちょっと苦しいんだそうです。ほんと、がんばって欲しいです。
パネルディスカッションでは私が最初に外国語学習におけるソーシャルメディア利用において、重要になる理論を紹介し、課題についてお話しました。私は外国語学習に限らず、学習にソーシャルメディアを利用するにあたって、気を付けるべきはガチガチな学習環境にしないことだと思っています。あくまで対面などメインになる媒体における学習との接続点として利用するのが良いと思っています。ソーシャルメディアは人間関係の充実を主に、モチベーションを高め、ゆるい学びを目指す方がハマりますよね。
印象に残った質問というか議論は、ソーシャルメディアは対面の学びと比べて何が違うかということです。うーん・・・デザインをどうするか、学ぶ内容、縛りにもよりますが、私は比較するものじゃないように思うんですよね。上記で述べたように。違いはいくらでもあると思いますが、利用する主義がそもそも違うと思いますね。対面はがっつり学ぶという形でも良いと思いますし。ソーシャルメディアは緩くし、学習のポイントを外さないようにする。ここが要点で、難しいと思います。総じて学習時間を延ばす、質を向上させるといった間接的に関わる有効性を狙う方がうまいと思いますね。

みなさんはいかがですか?

今回は参加者がビジネス関係者が多かったので、学術的な話、教育のお話には興味ないだろうと思っていましたが、お持ちの方もいらっしゃいましたね。ビジネスのセミナーではなく、教育のセミナーなので、山内先生、北村先生が私をお選びになられたと思ったのですが、大丈夫かとちょっと心配してました。でも、私のお話もご興味を持って頂いた方もいて、終了後に私の発表資料を欲しいという方が何人かいらっしゃいました。なので、公開しますね。リファレンスもつけておきました。ご研究されている方がいらっしゃればご参考にして頂ければと思います。

外国語学習におけるCMC、いやソーシャルメディアの利用に関するものは実践は多いのですが、研究としてはは日本ではまだまだで、まだ数少ない状態です。私が修士の頃、始めた頃は日本で研究の論文として載っているモノが本当に少なく、海外誌をよく読んでました。海外では結構盛んで、EuroCALLではCMCのSIGがあります。日本ではないですよね。これからどんどん増えていってくれることを願っています。そして、その理論的背景にもっと心理学の観点を踏まえたモノをしていって欲しいと思います。
ご質問がありましたら、ご遠慮なく、お気軽にして下さい。

BEATセミナー Togetter
http://togetter.com/li/47376

山田の資料
BEATSeminar20100904

マイコミジャーナルさんで記事になりました。本田義則さん、ありがとうございました。
http://journal.mycom.co.jp/column/bizenglish/043/index.html

「なりきりEnglish!」論文採録!


2006年かな?私が博士2年の頃から中原先生@東京大学が主導されてこられたベネッセ先端教育技術学講座のプロジェクト「なりきりEnglish!」の研究成果がやっと論文となりました。採録です。長かった・・・
Yamada, M., Kitamura, S., Shimada, N., Utashiro, T., Shigeta, K., Yamaguchi, E., Harrison, R., Yamauchi, Y., Nakahara, J. (2011) Development and evaluation of English listening study materials for business people that use mobile devices: A case study, CALICO Journal, 29(1), in printing
出版が2011年??って言う人もいるかもしれません。ええ、出版まであと1年半ほどですね(笑)忘れた頃に校正チェックがきて、出版です。その頃には所属とか変わっている人もいるかもしれないですねぇ。
なりきりEnglish!は企業で働く方を対象にした、モバイル向け英語リスニング教材です。ポイントは「あなたが今、または近い将来に耳にする英語を教材化する」ということでした。そのために企業の人事部にストーリーを作るためにヒアリングしたり、ストーリーを英語化したり、それらを元に開発し、評価し・・・とかなり大規模なものでした。プロジェクトに関わった人も2年で20名を越えるというものでした。私は設計・開発の部分に主に関わっていました。
前にも書いたのですが、このなりきりEnglish!がなければ私は東大で働くことは無かったですし、今のような研究コミュニティーにいることはなかったでしょう。この「なりきりEnglish!」はなんとしてでも論文化したい!と思っていました。不採録になったこともありましたが、粘り強く書いてましたね。特に北村先生@東京大学と2人で論文ストーリーや構成など、いろいろ見直しをしていました。
これで一区切りできました。しかも国際論文誌です。CALL研究者でしたら、結構読まれる国際論文誌だと思います。なんか私はすがすがしい気分です。私が東大に入るきっかけになった重要なプロジェクト。私の中でこれで「なりきりEnglish!」は終了です。
本プロジェクトに関わって下さった皆様、ありがとうございました。特に論文執筆も含めて、最後までおつきあいくださった北村先生には感謝致します。
なりきりEnglish! これにて終劇!!
(この先、何かビジネス展開、研究プロジェクトがない限り)

なりきりEnglish!!
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/archives/beat/projects/index.html#Narikiri

#でもね、CALLの研究をしてきた私から見ると、手間やお金はかかったけど、
#ここまでしっかり作り込んで、評価したESPのCALLの研究って本当に少ないんですよ。
#ヨーロッパは増えてきていますが。あそこは言語教育が日本以上に重要視され
#ていますし、EUが言語教育研究プロジェクトに出す予算が何千万~何億レベル
#ですから、日本以上にやれることはいっぱいあるんですよ。
#その日本の限られた中でやったプロジェクトとして、かなり良いものだと私は思います。

#効果あって当然じゃんなんて言う英語教育者もいるけど、検証もしていないのに
#そんなこと言ってるんですから、「当然」なんて言えるわけないんです。
#まあ、人の心理を扱う教育において「当然」なんてことは絶対にあり得ない
#し、ツールや教材を与えて高い効果を出すなんてことは簡単にはできるわけ
#がない。そんな簡単だったら、みんな既にやってますって。
#仮にそういうことを言う人がいたら、それは何にもわかっていない人です。

ラーニングコモンズについて考える


5月22日に東京大学情報学環・福武ホールで、山内先生(編)の「学びの空間が大学を変える」出版記念セミナーが開催された。私はは所用があり出席できなかった。とても残念!行きたかったなあ。

学びの空間が大学を変える 出版記念セミナー
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2010/05/post_227.html

山内先生がTwitter上で「ラーニングコモンズに興味がある大学が多いこと」と「学習支援をどうするかが重要で、その共有が求められる」旨をつぶやかれていました。ラーニングコモンズはそれ単体の空間だけを考えれば良いのではなく、図書館全体として、空間の配置、設計を考えなくてはいけません。書庫、一般書架など紙メディアに触れることもでき、インターネット上の情報にも触れることができる。そして、1人で学習したい人たちと協調的に学習したい人たち向けの空間分けも考えなくてはなりません。突如、奇妙な空間が現れても変なものですよね。ラーニングコモンズにおいては、空間的な部分としては、各大学が抱えている教育上の問題が違うので、どんな空間があっても良いと思うのですが、きついのはその学習支援。特に人的支援の部分です。
最近、どこの大学もそうなのだと思うのですが、入れ物にはお金は出してくれるのですが、人にはお金をなかなか出してもらえません。昨日、龍馬伝の再放送「収二郎、無念」の回でも、武田鉄矢がやっている勝海舟も「船に金は出すが、人には金は出さねえって言ってきやがった」と怒って言ってました。「あー、わかるわかる」と共感してしまいましたがw
金沢大学が今回、山内先生のご協力もあって、無事にラーニングコモンズを作り、オープンすることができましたが、それまでに私も図書館関係の雑誌、論文を国内外レビューしたんです。その中で山内先生のつぶやきについて考えていました。
学習支援が重要であることはラーニングコモンズを運営している大学図書館はわかっていて、ラーニングコモンズが大学図書館雑誌でも数年前からレビューされている通りなのですが、図書館固有の問題があって、それがうまくできていないように思います。
まず、図書館にはお金がかかると言うことです。第一の問題としては近年も話題に挙がっている、電子ジャーナルの問題です。これは図書館の問題と言うよりも業界の問題ですね。電子ジャーナルは毎年、種類が増えていきます。研究領域によって、よく読まれるものとあまり読まれないものがあります。図書館としてはもちろん、よく読まれているジャーナルだけ契約したいという気持ちはありますが、学内の教員もみんながみんなメジャーな研究領域にいるわけではないですし、電子ジャーナルを提供している企業側もあまり読まれていないジャーナル分の赤をなんとかしたいので、そういう契約はできないようになっていることが多いです。まとめて契約となります。論文誌数は毎年増えていきますので、毎年契約料金は上がることになります。そこに、さらに人的支援のお金を出してほしいと上層部に言うのはなかなか難しいことになるかと思います。他の部局から文句が出るということになります。

ラーニングコモンズを主軸に、全学支援を受けている、またはGPを取ってる(GPも大学でとるわけで、面接も学長が行くわけですから、全学支援ですね)大学はアメリカの図書館のようにライティングセンターやキャリアセンターを作ったり、学生を組織して、学習支援をさせたりしていますので、まだ良いとは思いますが、普通、図書館の人的支援にお金を出すのは苦しいです。
また図書館職員の削減と外注という強い流れですね。図書館職員は今まで、ペーパーメディアを中心とした情報管理という点での専門性を発揮してきました。1980年代から挙がったインフォメーションコモンズもあり、情報リテラシー教育の場として図書館はあり、図書館職員の力は発揮されてきたわけです。しかし、図書館職員、図書館業界の中ではそれは認められていても、外部にはなかなか伝わっていないところがあるように思います。図書の貸し出し業務という目があり、そういう業務であれば、専任職員じゃなくてもいいという学内の判断があります。この動きは全国的に広がっており、今、図書館職員の専門性が問われています。

ラーニングコモンズは情報だけではなく、学習者の学びをマネジメントするという意味合いがある場(井上真琴さん@同志社大学のお言葉。ご著書、頂きました。ありがとうございました。)ということであれば、その学習のマネジメント支援についても図書館職員の1つの専門性となっていいわけです。ですが、これもすぐに定着させることは難しいでしょう。今まで、教育工学や学習科学などで出してきた学習支援に関する研究知見や実践の知見を知らないわけですから、それを付け焼き刃でやっても、厳しいことになると思います。ただ、学習支援まで専門性を広げてやるからには、しっかり学習しないといけませんし、図書館職員も学習しないと、さらに厳しい立場に追い込まれることになるでしょう。図書館職員の専門性については大学図書館関係の雑誌でも議論されています。大学図書館系の雑誌を読んでみると、学習支援の効果まで検証してはいないのがほとんどでした。その組織の運営や来館者数の変動について説明されているものがほとんどです(図書館にとっては来館者数の減少が大きな問題でしたので、そういうお話が多かったと思います。それもかなり大切なことなのですが)。
図書館職員の方々が経験的に動かれている背景も、学内の部局と連携しにくい組織立てになっていることもあるのかもしれません。部局は基本的に自分の所轄以外の業務負荷が高くなることを当然嫌いますから、図書館以外の部局からの協力を願うことは難しいことなのかもしれません。おそらくラーニングコモンズを作っても、他の部局は図書館に無理な要望を出すばかりで、実質何も動かないというのがほとんどなのではないでしょうか。もちろん、要望を言う側は図書館は何をできるのかということも把握していないと思います。どこの学内組織が管理をしているのかも。学習の場としての図書館、ラーニングコモンズを利用した学習を各部局が理解をして、自分たちの部局にもプラスになるということを伝えないといけないですね。
ラーニングコモンズを全学として支援していくという体制作りが必要になりますし、そのためには様々な部局から協力してくれる方を集い、研究会などをすることが大切になります。またラーニングコモンズという巨額の投資をするわけですから、その有効利用のために、必要なことを整理して、体制も検討して、上層部に伝えないといけないですね。調査、効果検証を行い、上層部が理解できる形で伝えないといけないですね。また成果報告も図書館業界内だけで共有していること自体が問題なのかもしれません。図書館は情報管理系と強い関係がありますので、情報処理、情報工学系統の学会で多少なり、知見が報告されていますが、学習支援となると「情報系を中心に・・・」というわけにはいかないと思います。教育系の学会は数多くありますので、そこでの知見を、ラーニングコモンズを持つ、また持ちたい大学と連携して、成果を報告し、共有する姿勢、その先には一つの領域を作るくらいの勢いを持ってやっていってもいいのだと思います。
何を新しく作る、設立するというのは、なかなか難しいもので、学内的にも動きはゆっくりしていることもありますが、1つの組織をつぶすというのは1度進み出すと、なかなか止まりません。スピードはますます速くなるばかりです。図書館職員の削減や外注化というのは今後の、学習の場としての図書館を発展させて行くには非常に危険なことではあるのですが、学習支援という図書館職員の専門性があること、その専門性習得に努力していること、成果を少しずつでも出していることをアピールしていかないと、このスピードを押さえ込むことは難しいように感じます。それは私が関係しているFD・ICT教育推進室が削減になったのと同じように・・・削減、解体の危機は目の前にあることを意識した方がいいように思います。
私は学部の頃からESSに入り、ずっと図書館にこもっていた人です。図書館では、ESSのみんなとグループを組んで、テーマに沿って自分の主張を論理付けするためにエビデンスをそろえたり、ロジックをみんなで話あって作ってました。でも当時の図書館では大きな声で話してはいけなかったですし、そういう話はわざわざ外に出てやらないといけませんでした。本当に不便なことで、ずっと「面倒で、何もわかっちゃいない組織だな」って思っていました。しかし、今はラーニングコモンズという、紙の資料、デジタルの資料に基づいて、いろんな学習ができる、まさに学習空間として生まれ変わろうとしています。これは学生だけではなく、教職員にとっても有効な空間だと私は思っています。本学のラーニングコモンズでも、学生以外に教員も使用しているところも見ます。全学的な支援に向けて、教職員の理解と支援、また図書館職員の意識変革と迅速な動き、外部へのアピールが求められています。のろのろ歩かず、迅速な意志決定と行動が必要になりますね。
学習支援が必要ということはずっと前から言われていましたし、共有が必要なんだろうということはなんとなく推測はできますが、今もその議論が行われている、または動き出していても、現場まで認識が広まっていないということは行動面と広報面に迅速さが足りなかったということではないかと思います(これは大学組織全体に言えることだと私は企業の頃から比較して思いますが)。だいたい、組織的な問題のためにできないことも多いのですが、今、教育・研究機関としての大学の姿が問われている中、組織的に情報と意識を共有して、学生も教職員もハッピーになれるラーニングコモンズ、学習空間、そして大学を創っていくこと、その行動が求められているのだと思います。
#具体的な学習支援について、来月発刊されるLISN, No.144に寄稿させて頂きました。
#4ページなので本当に簡単で、案レベルではありますが、図書館職員さんが主な
#ターゲットということでしたので。図書館職員さん方にとってご参考になればと思います。

外国語教育メディア学会第50回記念シンポジウム


外国語教育メディア学会(LET)全国研究大会に2年ぶりに参加してきました。といいましても、研究発表ではなく、全体シンポジウムでパネラーとして参加してきました。場所は横浜サイエンスフロンティア高等学校という、市立の高等学校で、理系のエリート教育を行っているということでした。アドバイザーが小柴先生など、ノーベル賞受賞者がいたり、まいっちゃましたね。
全体シンポジウム「若手研究者が語るメディアと外国語教育の新たな共生の姿」では、司会に竹内理先生@関西大学(LET会長)、パネラーに後藤先生@摂南大学、荒木先生@宮崎県立看護大学、住先生@流通科学大学と私が参加しました。最初に各人が自分の研究について報告をし、続いてパネラー互いに研究をどう連携できるか、最後にLETに期待することを話しました。
パネラーの4人は初対面ですし、それぞれやっていることも違って、お話に興味がありました。後藤先生は自然言語処理、コーパスからみた言語学習支援環境についてご研究をされていますし、荒木先生は看護教育の現場から電子掲示板を使用し、海外との国際交流授業について実践研究されてました。住先生はBax先生のNormalizationをキーワードにCALLで使用されている教材がどのように使用され、使用が日常化していき、学習者の透明化されたツールとなっていくのかを研究されています。深い研究ですね。興味深い。私は修士・博士の研究で社会的存在感・CMC(今はソーシャルメディアというんですよね)・評価を一貫して研究してきたので、その成果とComputers & Educationに採録された論文の内容について紹介させてもらいました。
連携できるかどうかも、それぞれのバックグラウンド、立ち位置が違うので、考えますよね。おもしろかったです。私は住先生とどう連携できるかを考える役目を頂いたのですが、住先生がネットワーク分析を使われて教材の改善を検討することができるといったご研究をされていましたので、そのネットワーク分析の補完として、発言内容で社会的存在感に関連するようなものがあれば、その影響度を測るとまさに1つの学習コミュニティーとして教材がどう認識され、どう広がっているのかというのがわかるのではないかと思いました。
LETに期待するところで、共同研究推進のためのワークショップと研究者育成のためのワークショップを提案しました。いや、別にワークショップじゃなくてもいいんですけどね。共同研究については、企業の方も参加できるような場があるといいと思いました。企業の方も教員も対等に思うこと、考えること、不思議に思うことを話し合って、お互いの立場を理解して、研究が進むような場ができればと思っています。それはまさにBEATでやってきたことが広がればいいなと思いました。私がBEATに入ったときは和気さん、中野さん、秋山さん@ベネッセがいて、気軽に「~さん」と呼び合える仲で、お互いにアイデアを出し合ってましたね。あれは良かったと思います。研究マネジメントも重要ですよね。
研究者育成では、やっぱり研究の基本を学ぶことが必要かと思いました。私も再度、学び直しをしたいところがあるくらいです。常に考えておかないといけないと思います。研究テーマの選定、仮説立案、実験デザイン手法、統計分析の方法、論文の書き方などを大切なことが多いと思います。教育の研究であれば、実践研究のお話もあってもいいかもしれませんね。でも、これは本来、研究室で学ぶことなのです。でも、ここまでしないといけないのは、徒弟制の崩壊もあるでしょうし、時間がない社会人(特にアカデミックポジションに就いてられる方)大学院生が増えたことも1つ影響していると思います。徒弟制の崩壊といっても、先輩後輩間でアドバイスが交わされることがあるでしょう。しかし、その機会すら接する機会もないのではないかと思ったのです。ここは怖いですよね。学会としても研究者人材育成について考える時が来ているのかもしれませんね。
しかし、LET、なんか、若返りを強く感じました。竹内先生も大変おもしろい先生でした。会長と聞いていたので、かなりお年の方かと思っていましたが、全くそんなことないです。かなりお若い先生だと思いました。研究熱を感じる、熱い感じがすばらしいです。やっぱり、学会ってこうじゃなくちゃね。
LETのシンポジウムで私の発表資料を添付いたします。お役に立ちそうでしたら、お使いください。一部、修正をしてあります。

LET_sympo_yamada