九州大学 山田研究室

インストラクショナルデザインとラーニングアナリティクスに関係するレビュー論文が採録されました

2026年07月21日

長かった・・・大変うれしいことに、アメリカのパデュー大学のメンバーと共同で進めてきた、ラーニングアナリティクスとインストラクショナルデザインに関するシステマティックレビュー論文がIEEE Access誌に採録されました!!査読者のみなさま、大変重要なコメントを頂き、しっかりポイントを抑えたレビュー論文になったかと思います。オープンジャーナルなので、閲覧も無料になっております。

M. Yamada, F. Dadashipour, Basori, X. Wang, Y. Maeda, J.C. Richardson, X. Geng, and Y. Goda, “The Intersection of Learning Analytics and Instructional Design: A Decade of Empirical Evidence,” in IEEE Access, vol. 14, pp. 99240-99279, 2026, doi: 10.1109/ACCESS.2026.3708430.

ラーニングアナリティクス研究は萌芽期の頃から、情報系、認知心理学、教育心理学関係の研究者が主に進めてきました。この数年、介入研究も登場してきました。しかし、学校フィールド、特に本論文は高等教育を対象にしていますが、学校文脈におけるラーニングアナリティクスでは忘れてはならないのは授業の存在で、そもそもその授業がどういうものであるのかを抑えた上で、ラーニングアナリティクスを考えることが肝要であろうと思います。本レビュー論文はラーニングアナリティクスのトップカンファレンスであるLearning analytics and knowledgeの第1回が開催された2011年から2026年1月までで、高等教育フィールドに、ラーニングアナリティクスとインストラクショナルデザイン周辺の理論の活用研究についてレビューしたものです。使用しているインストラショナルデザインに活用される理論、評価している観点、利用しているログ、ラーニングアナリティクスとインストラクショナルデザインがうまく統合できない障壁、実践的なインプリメンテーションなど、整理しています。

もし実践段階のラーニングアナリティクスとして、インストラクショナルデザインとの関係性にご興味ある方がいらっしゃりましたら、無料ですので、お読み下さればと思います。

下記は、このレビュー論文を書きながら思ったことです。このあたり、ラーニングアナリティクス研究を長年やってきた身として、先行研究レビューをし、書きながら、いろいろ思うところがありました。いろいろ振り返ることも多かったです。

インストラクショナルデザインといっても、伝統的なインストラクショナルデザインであるADDIE、ARCSなどはほぼほぼラーニングアナリティクス活用研究ってないんですよね。数件程度です。これはなんだろう・・・と。お互いに興味がないのか、必要としていないのか・・・(笑)。とはいえ、「もう心的な情報のみで授業評価したり、設計するというのはインストラクショナルデザインとして無責任だ、説明責任を果たしていない」と言われる時代に入ってきているんじゃないのかな?と思います。

ラーニングアナリティクスってたかだかデータ収集・分析手法に過ぎないんですよね。なので、情報系主導でも、ラーニングアナリティクスという名前が消え去っても生き残っていけるけど、インストラクショナルデザインは???このままいけば飲み込まれるかもな・・・とレビューしながら、教育工学に愛着のある身としては危機感を持ったわけです。複合領域・学際領域としての教育工学はフレキシブルさを持ちながらも、飲み込まれるということも十分ありえるわけで。教育工学の中でも1つのディシプリンともいうべきでしょうか、インストラクショナルデザインにも同じ危惧を持ちました。

また、ラーニングアナリティクスも、もう時代的に収束というか、なんというか、1つの時代における役割を果たし終えたと思います。うちのラーニングアナリティクスセンターが終わったように。みんなが普通に使うツールとして広がってきています。そういう状況にこそ、本論文が活かせるのではないかなと思っています。

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しかし、もうレビュー論文、当分、いいです。これはあまりに重い・・・疲れました。日本の大学で勤務する研究者がレビュー論文を書くには、相当に研究に集中できる環境が必要だと思います。業務を抱えている場合ではないな、と。

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