九州大学 山田研究室

電子書籍作成入門、終わる

2011年08月10日

最近、ブログの更新が滞ってました。TwitterやFacebookを使っていると、まとめて文章を書く時間を作ることがなくなってしまいますね。

さて、前期、電子書籍作成入門という授業をやってきました。iBookをリーダーとしたものです。好奇心が強い学生さん4人が受講してくれました。

この授業では電子書籍の内容について企画し、デザインをし、作成をするところまで行いました。写真は最終発表の模様です。私の別の授業を受けている学生さんも発表会を見に来てくれました。1つの班は兼六園のガイドブックで、紙媒体では掲載が難しいパノラマ写真を入れたり、紙ではできない動画を取り込んでいました。

もう1つの班は音楽関係の部活に所属しているためか、トランペット初心者向けの教科書を作っていました。これも大変面白かったです。トランペットの音が取り込んであるだけではなく、作成者の2人のキャラクターが出てきて、某大手通信教育会社のDMに描かれているマンガ風のストーリー仕立てでした。

技術としてはHTML5とCSSの知識で良いのですが、epubの形式理解、電子書籍開発ツールの特徴、その中でのHTMLの処理のされ方なども理解しないといけないので、このあたりは難しかったと思います。InDesignが意外に難しいというのも想定外でした。オーサーリングツールとして良いものと思っているのですが、InDesign上の配置とiBook上の配置が大きくずれるなど、問題も大きかったです。ツールも高いですね。AdobeのPublishing Suiteとか使いたいのですが、お金がかかるみたいなので。こっちは授業で使って、学生さんが開発する書籍は商用利用は考えていないんですよね。多少はお金だしても良いので、もっと使い勝手の良いツールは来年度に向けて探索しないといけません。
電子書籍開発関係の情報はお金になる情報でもあるため、公開されているものは少なかったのは大変だった要因の1つですが、その中でも情報源を探すなど、受講者は積極的でした。

Twitterは私と受講者をつなぐメディアでもありましたが、情報源としても活躍しました。私へのアポ取り、リクエストはTwitterで行われることが多かったですが、情報を探すのにもTwitterは有効でした。

単にHTMLとCSSでWebページを作るのではなく、iPadという新しい媒体上で動くコンテンツの開発を経験すること、iPad上で動くツールも駆使することなど、大きなメリットが本授業にはあるように実感しています。そして、なによりも、電子書籍作成というチームによる協調作業によって、チームで行動すること、学ぶこと、計画をたて、実行し、完了させるために必要なことを多く学んで欲しかったです。電子書籍作成入門という、この授業のゴールはここにあります。

最終発表会のあと、その話をしました。「電子書籍という最終生産物がたとえ失敗作だったとしても、チームでその電子書籍を作ったプロセスを忘れないで欲しい。そのプロセスで学んだことを振り返って、今後の学生生活や将来に役に立てて欲しい」と、チームで学ぶこと、チームで行動することで大切なことを説明し、この授業を締めくくりました。彼らはこの授業を通じて、変化したと実感しています。

あと、今までなかったことなのですが、私が担当した授業「オンラインコミュニケーション」と「電子書籍作成入門」の受講生はかぶっていないのですが、お互いにTwitter上で交流があったり、お互いを認識していたところです。もちろんTwitterはここ最近、流行始めたものなので、非常勤時代を通じて、別の授業を受講している受講者を結ぶことはなかったのですが、Twitterは使い方によっては私が担当している受講者をつなぎ、授業内容だけではなく、お互いの興味を認識させ、新しい人的ネットワークを広げていく、新しい学びの場へ導く潜在力があることを実感しました。実際に、電子書籍作成入門受講者の1人はTwitter上で「オンラインコミュニケーション」の授業内容をモニタリングしていて、アルバイトがない日は参加したいと言い、参加してましたし、「オンラインコミュニケーション」受講者の1人は前述したように電子書籍作成入門の最終発表会に参加してくれました。これは共通教育の授業を実施していく上では驚くべきことです。最後には受講者から、「先生の2つの授業の受講者で、食事会をしませんか?」という提案も・・・これ、ゼミじゃないんですよ。学生からは単位取得目的にされる共通科目なのに。うれしかったですね。

来年度もこのような授業をしたいと思います。今年度の反省を活かして、良い授業にしたいですね。来年はFacebook上で授業補完をしてもよいですね。そうしようかな。後期もこのようなプロジェクト型・学生主導型の授業を行います。そのうち1つは議論の力、プレゼンテーションの力、論理的思考能力を徹底的に学ぶものです。共通科目の割に毎週課題も出ますし、負荷が高いです。なので、本気の学生しか受け入れません。何十人の受講生を期待してません。本気の学生、自分の将来を真剣に考え、がんばっていきたい、強い気持ちがある学生数人でやりたいと思います。本学の学生の悪いところをなんとかしたいと思って、行おうと思った授業なのですが、意図せず、就業力GP絡みの授業?になりそうな感じみたいです(副学長にも耳に入っている???のかな?)

就業力と言われても、よくわかりませんが(そんなでっちあげられたネーミングなんて笑ってしまうのですが)、私が今の金沢大学の学生に一番不足している力をつけさせてあげたいと思っているので、やるだけです。本気で自分を変えたい人だけ来て欲しいですね。

後期も楽しみです。

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