九州大学 山田研究室

JSET2019秋季全国大会が終わりました

2019年09月09日

今年から秋と春で全国大会が2回化され、その秋大会が名古屋国際会議場で開催されました。秋大会企画委員会のみなさま、実行委員会のみなさま、ありがとうございました。学会運営の業者さんとのやりとりなどもありながら、いろんなことがあったかと思います。大変お疲れ様でした(写真は藤本先生@東京大学に撮って頂きました。プレゼンも聞いて下さり、ありがとうございました)

次は春大会ですね。この会期中も堀田先生@東北大学、東原先生・村松先生・森下先生・谷塚先生@信州大学、稲垣先生@東北学院大学、山内先生@東京大学、松河先生@東北大学ともいろいろお話をし、春大会委員会メンバーとも打ち合わせを行い、春大会の内容を詰めていました。初の2回化の1回目大会ということで、これからの教育工学という研究領域の発展性も見据えながらも、みなさまからのご協力を得ながら、会員・参加者に対していい大会にしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

私個人としては久々のポスター発表で緊張しました。発表ネタとしては、九州大学・京都大学で進めているラーニングアナリティクス研究で、高校を対象に行っているのですが、ラーニングアナリティクスに基づいて授業デザイン支援をしていくために行っていることについて紹介しました。ラーニングアナリティクス研究では、学習ログの分析を踏まえて、アダプティブラーニング環境を開発したり、成績やドロップアウトを推定して、Early-warningや学習支援へ活用する研究、ダッシュボード開発が主流であります。

しかし、学校、特に初等中等教育におけるラーニングアナリティクスでは、教員が様々な意味での「媒介者」であり、教員の教育経験、教育観、授業スタイルなどを考慮する必要はあろうかと思っています。生徒の学習活動はもとより、教員の観点からも踏まえた、ラーニングアナリティクスに基づく授業デザイン支援、授業デザイン研究、介入研究をスタートしているので、その概要のお話をしました。ご興味を持って、聞きに来てくださったみなさま、ありがとうございます。

山田 政寛,島田 敬士,陳 莉,濵田 さとみ,耿 学旺,馬場 寿士, 古川 毅,南里 駒門,黒岩 晃平,吉本 悟,ブレンダン フラナガン,ゴーハン アカピナー, リトジット マジュンダール,緒方 広明 (2019). ラーニングアナリティクスによるエビデンスに基づいた授業デザインに向けて:高等学校における実践事例, 日本教育工学会2019年秋期全国大会講演論文集, 31−32

うちの学生もがんばってくれました。心配なので、様子を見に行きました。がんばってプレゼンし、質疑応答していました。3名ともJSETはデビュー戦なので、不安でしたが、いろんな方々が見て下さったようで、大変ありがたかったです。よりよい研究にしていきたいと思います。発表内容は下記の通りになります。

馮 宣淇,山田 政寛 (2019). インフォーマル・ラーニングにおける学習ゲームログの可視化アプローチ, 日本教育工学会2019年秋期全国大会講演論文集, 107-108

馮くんの研究は対面のない完全なオンライン学習ゲームにおいて、集まるログを活用して、成績などの様々な要因において効果的にプレイを進めているプレイヤーとそうではないプレイヤーなどのタイプ分けをする手法、可視化について発表しました。彼の発展研究は今年のICCE 2019にて発表します。

耿 学旺, 山田 政寛 (2019). 拡張現実を活用した複合動詞学習支援システムのデザイン, 日本教育工学会2019年秋期全国大会講演論文集, 151-152

耿くんの研究は、日本語の複合動詞(「拾い上げる」、「映り込む」といった動詞)を学習する環境として、ARを使った学習環境開発になります。具体的には通常の日本語の動詞が書かれた紙のカードを組み合わせて、複合動詞をつくり、耿くんが開発したスマホアプリをかざすと、その複合動詞が示すイメージがARで表現されるものになります。発表時点では既に実は開発は終わっていて、今後は具体的な評価をしていきます。

濵田 さとみ,山田 政寛 (2019). 合同証明の構造理解を支援するWebシステムにおける学習ログの可視化, 日本教育工学会2019年秋期全国大会講演論文集, 541−542

濵田さんの研究は、中学校の合同証明問題に関する学習支援システム開発研究です。自由記述での証明問題を解答しても、正答率が30%前後と言われています。自由記述で書けるようになる前段階の支援として、証明問題の理解を構造的に行う支援システムの開発をしています。1度、昨年に評価をしたのですが、効果があることは示されたのですが、このシステムによる学習を経て、教員が証明問題の授業をどのように展開していけばいいのかを検討する必要があります。この研究は合同証明問題学習支援システムの学習ログを可視化し、先生へフィードバックする機能のプロトタイプを紹介したものになっています。本件の発展的開発についてはCELDA2019にて発表します。

うちの学生の発表を聞いて下さったみなさま、ありがとうございました。今後も教育・学習現場に貢献できる研究を行っていきたいと思いますので、ご指導のほど、よろしくお願い致します。

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