えー、8月末にEuroCALLという国際会議があったのですが、そこで、反転学習×知識構成型ジグソー法支援システムの発表をしてきました!!科研費の成果として、具体的なシステムとして、見せることができて、うれしいです。熊本大学 安浪先生、合田先生、大手前大学 畑先生、東北大学 松河先生との共同プロジェクトです。
Yamada,M., Goda, Y., Matsukawa, H., Hata, K. & Yasunami, S. (in printing). Flip-J: Development of the system for flipped jigsaw supported language learning, Proceedings of EuroCALL 2016
反転学習って、されたことある方はわかると思うのですが、学生さんが事前学習やってこないという大きな心配があって、なかなかうまくいかないという経験ありませんか?学習に対するエンゲージメントを高めることが重要になるわけですが、その方法として、三宅なほみ先生や、そのお弟子さんであります静岡大学の益川先生が精力的にすすめてられます、知識構成型ジグソー法を組み合わせられないかなと思いました。この科研は言語学習がメイントピックなのですが、言語学習については基本的な語彙力とか聴解力などは、TOEICやTOFELなどの資格試験のためにがんばっている学生もいますし、基本的に授業外でできることだと思います。むしろ、授業内では学習言語のアウトプットを促して、先生が学生にフィードバックを与えるような授業の方が、インプットとアウトプットが連携しているので、効果的な授業ができるのではないかと思っております。
とはいえ、知識構成型ジグソー法をするにも、しっかりとデザインしないといけませんし、ちゃんとデザインしても、課題をやってこない学生もいますし、それが出てくると、エキスパートグループの活動、ジグソーグループの活動に強い悪影響を与え、教員は授業冒頭にグループの再構成をしたり、大変な負荷がそこでかかります。また、学生にとっても、ちゃんと事前課題をやってきた学生は、しっかりやってきた学生とグループを組んで、学習をしたいでしょうし、やってこなかった学生と組むことで、グループの学習成果のクオリティーは悪くなります。ちゃんと事前課題をやってきて、しっかり授業を受けている学生の授業満足度にも影響を与えるでしょう。
また、教材も、教員自身で用意したものを利用することが多いとは思いますが、今はYouTubeなどで、クオリティの高い教育コンテンツも無償で公開されている世の中となりましたし、実際の生の外国語を聞くことができる、優れた教材とも言えます。
これらをまるっとひっくるめて、教員を支援できないか?と思い、デザイン・開発されたのが反転学習×知識構成型ジグソー法支援システム”Flip-J”です。Moodleのプラグインとして開発を行いました。現在のところ、Moodle 2.9.Xにて動作します。
教員は授業シナリオと呼ばれる、1つの授業の流れ、課題、グループ数、グループ内に包含されるチーム数、事前課題などのデッドラインの設定など作成していきます。教員が作成した教材(PDF、mp3、mp4)やYouTube、Voice of AmericaのURLを教材データベースに登録することもできます(YouTubeについてのみ、学生に見させたい部分のスタート時間の指定ができます(終了はYouTubeの仕様上、できませんが))。
エキスパートグループの割り当ては自動設定ボタンを押すことで、ランダムに割り当てられます。エキスパート・ジグソーグループ、それぞれのグループ内の議論を行うチームは、事前課題の提出をもって、自動生成されます。教員は未提出の学生についてのみ、対面授業の最初に手動で割り当てたらいいだけになります。インターフェースも、ドラッグ&ドロップでメンバー変更できたり、あたらしいチームを生成するなど、簡単にできます。使いやすいインターフェースで私自身も感動しております。もちろん、自動編成されたグループ、チームも、教員にとって都合が悪いと感じた場合は、手動で編集することも可能です。
学生側も、このタイプの授業の流れがわかるように、アロー型のコンテンツ配置がされており、課題提出期限も表示されているので、いつまでに何をするのかわかるようになっています。議論はMoodleのフォーラムプラグインを使っていましたが、形成的評価時に、学生と教員からの評判がすこぶる悪く、使えないということで、次のバージョンではFlip-J内でテキストチャットで行うことができます。この議論も含めて、事前学習にすることもできますし、チャットは使わないで、対面にして、課題提出をFlip-Jで行わせることも可能です。完全オンライン型でも、対面とのブレンド型でも可能です。
また、一度作成した授業のシナリオは再利用することが可能です。言語系の科目だと、複数人の先生が内容的にはあまり大きく変わらない授業を展開していることが多いですよね。また、次年度でも同じデザインの授業を行うことも多々あると思います。最初から1つ1つ設定していくのはしんどいですよね。その場合は、自分のコースを選択した後、シナリオを複製するボタンを押すと、複製したいシナリオを選ぶ画面に移動します。複製したいシナリオが複製され、詳細を再設定していくことになります。
EuroCALLではプロトタイプ版の形成的評価について発表をしましたが、今年の日本教育工学会全国大会@大阪大学では、次のバージョンについて、チャットなど改修を行いましたので、その開発について大手前大学の畑先生からご報告します。9月18日9時からですので、ご興味のある方はお聞き下されば幸いです。
知識構成型ジグソー法を取り入れた反転授業支援システムの開発
畑 耕治郎,山田 政寛,合田 美子,松河 秀哉,安浪 誠祐
どうぞよろしくお願い致します。