学習教材配信機能を含めたラーニングアナリティクス基盤の開発と評価 2022〜2025
ラーニングアナリティクス研究においてダッシュボード研究というのはメジャーな分野となっていますが、様々なアルゴリズムを駆使して、ただダッシュボード作って評価し、実践を良くすることでいいわけではありません。ダッシュボードは学習管理システムなど、もともとの学習行動が行われるプラットフォームやコンテンツ配信基盤があってこそのダッシュボードで、その大元のシステム内の行動を可視化してるに過ぎません。よくよく考えてみると、もともとの学習管理システムやコンテンツ配信基盤などのプラットフォームのデザインのあり方を考えないとできない点も多く、ラーニングアナリティクスを進めてみて、キーになる学習行動が見えてきて、プラットフォームそのものを見直さないといけないことは多々あります。しかし、プラットフォームありきでラーニングアナリティクスをすることが現実的には多く、プラットフォームそのものを修正するというのはなかなかできないです。
今回はその点に着眼して、プラットフォーム上の学習行動を可視化するダッシュボードをただ作るという、一方向性の研究をするのではなく、その逆を考えるというところにポイントがあります。ダッシュボード開発・評価を代表するラーニングアナリティクス関係の成果から基盤のデザインのあり方を考えて、改善していくという、ラーニングアナリティクスをより良くしていくサイクルを回せる基盤を開発し、評価し、ラーニングアナリティクスを支えるダッシュボードデザインモデルを構築することを目的としています。本研究は山田代表によるJSPS科学研究費 基盤研究A(一般)の研究として行っています。
学習行動の意思決定を支援する学習ダッシュボードの開発と評価 2021〜2023
学習をするのかどうかという意思決定というのは、究極、学習者が決めることだと私は考えています。初等中等教育から教員は学習者の学習に対して、様々な介入を行っていますが、結局、学習をするのかどうか決めて、行動するのは学習者の問題なんですよね。でも、なんとか学習者には自分で学習をするぞ!という意思決定を支援して、自己調整学習を進めてもらいたいと思うのは教員の想いとしてはあるものだと想います。本研究プロジェクトは学習者の意思決定を支える要素の1つであるメタ認知を活性化する学習ダッシュボードのデザイン要素、開発、評価をします。本研究はJSPS科学研究費 国際共同研究加速基金(B)による研究で、ミシガン大学 ステファニー・ティースリー先生との共同研究になります。
教育データリテラシーの定義とその育成モデルの構築 2021〜2024
近年、学習支援システムに蓄積される膨大な学習ログを活用し、学習ダッシュボードの開発など進めされています。研究分野としても活発な分野で、ラーニングアナリティクスに専門特化した国際会議Learning Analytics and Knowledge(LAK)でも1つの大きなトピックになっています。そのダッシュボードなど、学習ログを分析した結果を可視化して、学習者や教員にフィードバックするのはいいのですが、その可視化した結果を見て、どうするかを考えるのは学習者であったり、教員であったり、利用者になります。本研究は可視化された結果をどう読み取り、どう自分の学習に活かすのかを考え、実行できる力を教育データリテラシーとし、その教育データリテラシーに関する能力要素の整理とその育成モデルを構築することを目的としています。
JSPS科学研究費 挑戦的研究(開拓)による研究(山田が代表を務めます)
データ駆動・ナレッジ駆動をブレンドさせたフィードバック基盤の開発 2020〜2023
近年の情報通信技術を活用した学習環境の広まってきていますが、AIをフルに活用し、学習支援するシステムも登場してきています。学習支援を行うに当たり、肝となる1つの要素がフィードバックです。学習者が学習した結果、どうだったのか、今後どうすべきなのかをフィードバックすることで、その先の学習の様相は変わります。AI等を駆使することでフィードバックは様々な形式で可能となりました。しかし、これまでの教育、学習の現場を見ていると、教員などの教育関係者、学習支援者がフィードバックをしてこなかったかというそういうことはありませんし、経験豊富な教育関係者が行うフィードバックは質が高いものであり、その先の学習をより良いものにしていくことに違いないでしょう。
本研究は情報通信技術主導で行われるデータドリブンで行われるフィードバックだけではなく、理論や経験値などに裏付けられたナレッジドリブンで行われるフィードバックをうまく融合できないか、試みる研究です。実証環境としては、ゼミのような小グループで学ぶ状況で、様々なフィードバックが生じる環境です。
JSPS科学研究費 基盤研究B(熊本大学 合田美子先生代表)の研究として進めています。
ラーニングアナリティクスに基づいた能動学習を誘発・維持させる学習ツール開発・評価 2019〜2021
本プロジェクトは能動的な学習者を育成することを目標に、ラーニングアナリティクスを用いた学習支援ツールを開発し、評価することが目的になっています。学習者の能動性については、自己調整学習(Self-Regulated Learning)、その構成要素にもなるメタ認知(Metacognition)をキーワードにして整理し、その理論に基づいてラーニングアナリティクスを用いた学習支援ツールのデザインを行いました。学習支援ツールの土台となる学習ダッシュボード(Learning analytics dashboard:LAD)としてMetaboardを開発し、学習者は自分が見たい観点で自分の学習行動を振り返ることができます。研究者や開発者は自分で開発したツールを開発者用Metaboardにアップロードし、効果検証することも可能です。他にもeBook上の学習行動について、授業受講者全体と自分を比較することができるReading Paths, 受講者全体がアクセスしている時間帯と自分がアクセスしている時間帯を比較し、自分の学習行動のプランニングを支援するMAI Helperを開発し、評価してきました。実際にMetaboardを積極的に学習活用してきた学習者は普段の学習行動も活発化していることや、一部の成績向上に統計的有意に寄与していることがわかりました。
本プロジェクトは本学 システム情報科学研究院教授 島田敬士先生代表、JST加速研究「持続可能な学習者主体型教育を実現する学習分析基盤の構築」における主たる研究分担者として山田がリーディングした教育チームが進めました。
教育ビッグデータを活用したラーニングアナリティクスプラットフォームの開発 2016-2020
ICTが教育現場で受け入れられ、普及してきていますが、ICTを使う大きなメリットは学習者の学習活動の記録、つまりログを記録できることです。この記録を活用して、学習者がどこにつまずいていて、どのように学習しているのか、いつ学習しているのかなどの特徴を導き出し、学習者個人に最適化された学習支援することが可能となります。また、学習支援だけではなく、授業の受講者の学習記録を分析した結果を教員にフィードバックすることで、授業改善につながることが期待されます。このような研究分野をラーニングアナリティクスといい、世界的に広まっています。本研究は初等中等教育、高等教育、そして社会人教育とつながるラーニングアナリティクスプラットフォームを開発し、評価していくことを目標としています。緒方広明先生(京都大学)が研究代表者(科学技術研究費 基盤研究S)をされている研究で、分担者として関わっています。参考:九州大学ラーニングアナリティクスセンター
http://la.kyushu-u.ac.jp/index.html
社会的存在感を可視化するプロジェクト学習支援システム “C4α”, "CQCHAT" 2010-2021
社会的存在感は端的に言うと、相手が見えない、コンピューターを介したコミュニケーション(Computer-Mediated Communication: CMC)においても、「目の前に相手がいるような感覚を意識するもの、意識させるもの」を言います。人間は対面では表情や声のトーンなど、自身の感情を織り交ぜ、コミュニケーションを行いますが、相手が見えない状況、たとえばテキストベースのCMCでは従来はそれは難しいと言われていました。しかし、1990年前半から社会心理学の分野で積極的に研究され、CMC上でも感情的なコミュニケーションを通じて、人間関係の形成など社会的行動が行われるという研究知見が出てきました。1990年代後半では社会的存在感は発言内容に強く関係するという研究も現れ、eラーニングにおいても、発言内容に社会的存在感の強さは依拠するという見方が増えてきました。社会的存在感は、学習において、特に協調学習のようなグループ学習においては、よいグループを形成する効果、また学習に関わる認知活動にも影響すると言われております。C4αでは、過去のプロジェクトで開発したシステム”C4″を拡張し、発言内容から社会的存在感と認知的存在感に関係するもののみを抽出し、グループ内の状況を可視化します。また学習支援としてもコンセプトマップ作成ツールと社会的存在感の発言支援をするチャット、相手のログイン状況を把握するツール、グループ内のタスク管理を行うプロジェクト管理ツールと連動したシステムを提供し、活発なプロジェクト学習を支援することを目指しています。また本プロジェクトで開発したシステムはMoodleのプラグインとして開発をしております。山田代表による科研費(基盤研究B)による共同研究。
多世代共創におけるラーニングアナリティクス研究 2017-2019
日本では2010年には65歳以上人口が全人口の23%、2020年には30%に迫るとされています。まさに超高齢社会を迎え、さまざまな社会生活支援が求められていきます。アクティブシニアを育成し、高齢者の豊かな経験を活かした社会発展を目指していくことが望まれるかと思います。本研究では、高齢者を中心とした多世代共創社会を構築していく1つの方法として、ラーニングアナリティクス基盤の拡張し、多世代共創及び社会活動支援を行うことを目指しています。木實先生(九州大学)代表の研究プロジェクト(JST 未来社会創造事業)で、ラーニングアナリティクスセンターの研究として進めています。
学習支援をしたい大学図書館員のための教材開発プロジェクト “ILI-L” 2014-2017
このプロジェクトは「過去のプロジェクト」でも紹介していますILI-Lライブラリアン育成事業の後継で、研究グラントを取り、継続しているものです。ILI-Lライブラリアン育成事業と同様に、学習支援に関する知識やスキルの育成に寄与するような教材の開発をインストラクショナルデザインや学習科学の知見に沿って行っていきます。内容も増やし、大学図書館員の業務に活用できるような仕組みを取り入れていく予定です。渡邊先生(九州大学)、合田先生(熊本大学)、益川先生(静岡大学)との科研費による共同研究(終了)を発展させています。
多国間協調学習支援システム(COIL)の開発と評価 2014-2017
近年の大学におけるグローバル人材育成にて、海外の大学の教員や学生との協調学習を行う大学も増えてきました。海外の大学などと連携して外国語による協調学習を進める教育形態をCOILといいます。留学支援の一環として、事前に留学先の教員や学生とCOILを行うことで、留学先での適応を促すことも期待できます。しかし、海外の大学とCOILを行うには、その環境や内容のデザインだけではなく、時差の問題もありますし、異文化理解、言語能力など、ファシリテーションをしなければならないことが多々あります。本研究では、海外の大学と協調学習を行う際に必要なファシリテーションを検討し、そのファシリテーションがやりやすくなるシステムを開発し、評価を行うことを目的にしています。合田先生(熊本大学)、石毛先生(大手前大学)、半田先生(埼玉工業大学)との科研費による共同研究。
図書館活用学習のためのゲーム型学習システムの開発・評価 2015-2016
この研究は図書館の活用方法がわからない学生向けの学習教材としてゲーム型学習システムを開発し、評価を行うものです。ゲームのデザインとしてインストラクショナルデザインの1つであるARCS(アークス)モデルを援用し、これまでの大学図書館で行われていたセミナーや教材の分析を行い、その結果に基づいて開発を行いました。スマートフォン上で起動し、実際に本学の図書館内を探索しながら、ゲームをクリアしていくようになっています。金子先生(九州大学)と本学附属図書館員との共同研究(科学研究補助金 挑戦的萌芽研究、公益財団法人 科学技術融合振興財団からの助成を受けています)。
授業外におけるゲーム型学習環境の開発と評価 2015-2016
授業外における学習をより効果的にするためにゲーム型学習環境の開発と評価を行うことを目的にスタートした研究プロジェクトです。位置情報などを活用し、その場に行かないと達成できないような学習デザインを行い、ゲームのように学ぶ環境を構築しました。2チームに分かれ、ゲームはとある場に関係する英単語を表示し、学生はその単語の意味を回答します。ある正答率を超えると、その「場」であるスポットを取得することができる陣地取りゲームです。形成的評価を行ったところ、単語習得に有意傾向ですが、効果があることが示されました。岡田先生(九州大学)、金子先生(九州大学)との共同研究。JSPS 科学研究費補助金(挑戦的研究(萌芽))を受けて実施しました。
知識構成型ジグソー法を取り入れた反転授業支援システムの開発と評価 2014-2016
国内外で「反転授業」もしくは「反転学習」という言葉が広がっています。これまで授業で行われてきた講義や例題の解答など、学習のインプットに関する部分を事前学習の宿題として行い、授業ではこの宿題で行ってきた内容を踏まえ、より深い学習を促すような授業を行うことを「反転授業」と言います。コンセプトとしては驚くほどの目新しさはないですが、ICTの登場により、学習者の事前学習の状況を授業前に把握することが可能となり、把握した内容を踏まえて授業設計を変更することや、講義についても事前に講義動画を撮影し、学習者に提供することも可能となったことや、OCWやYouTube.Edu, MOOCSといったオープン教育のコンテンツを活用できることが従来とは違うところでしょう。本研究では、その事前課題を行う段階から、ジグソー法を取り入れ、エキスパートグループ、ジグソーグループの作成支援、教材の探索と学習者への割り当ても含めた支援を行うシステムを開発し、評価を行うものです。安浪先生(熊本大学)、合田先生(熊本大学)、松河先生(大阪大学)、畑先生(大手前大学)との科研費による共同研究。
ILIライブラリアン育成事業 2012-2013
現在、社会に開かれた大学観の広がり、学習の場としての図書館、書籍の電子化などの大きな時代の流れの中で、図書館の役割が大きく変わってきています。その時代に沿って、図書館職員に求められるコンピテンシーは当然変わってきます。しかし、現在の図書館職員養成は、大学における図書館職員数の削減などもあり、必要であることは認識されながらも、うまく実施されているとは言えない状況となっています。本事業では現在的ニーズに即した図書館職員を養成するための事業を行います。私は育成プログラムの作成や学習内容のeラーニング化等で関わります。財団法人 図書館振興財団による事業助成 名古屋大学附属図書館、静岡大学附属図書館、金沢大学附属図書館の連携事業。
自己調整学習理論に基づいたメンタリング支援システムの開発と評価 2012-2015
青山学院大学 宮川裕之 先生を代表に行っていた科研費による研究の継続研究です。昨年度まで行ってきた自己制御学習理論に基づいたメンタリング支援システムではオンライン学習における自己制御学習度を出す質問紙に基づいて算出された値を元に、受講者の自己制御学習度を推測し、支援が必要な学習者を推測する機能、自己制御学習サイクルにおける学習の計画段階に行うべき支援をメンタリングガイドラインに基づいて出すという主な機能を使ってメンターを支援することが可能となりました。しかし、学習支援者であるメンターの業務負荷の低減はある程度できたものの、肝心の学習者の自己制御学習度を向上させるという部分はまだ不十分でした。2012年度からスタートした本プロジェクトでは、学習者の自己制御学習度も高めていくことを目指したシステムを開発し、評価をしていく計画です。宮川 先生(青山学院大学)、加藤 先生(放送大学)、合田 先生(熊本大学)、松田 先生(島根大学)、齋藤先生(青山学院大学)との科研費による共同研究。
社会的・認知的インタラクションを活発化する外国語学習支援システム “C4″の開発と評価 2011-2013
本研究では、授業外の外国語学習支援環境を開発し、評価をしていくことを目的としています。外国語教育では、大学の授業だけではなかなか習得目標を達成することができず、授業外の学習が重要になります。しかし、授業外で学習するにも、学習の動機付け、また「英語を使って何かを考える」という、外国語本来の目的に沿った学習機会を授業外において提供する環境の構築が近年の外国語教育・学習の位置づけ上求められるようになってきました。本研究は学習者間で社会的なインタラクションだけではなく、何かを英語を使って、人間関係の構築、さらに与えられたテーマに対する考えを深めるための支援を組み込んだ協調的外国語学習支援システム “C4(シークワッド)”を開発し、評価をしました。Moodleのモジュールとして開発されています。安浪 先生(熊本大学)、合田 先生(熊本大学)、畑 先生(大手前大学)、松河先生(大阪大学)との科研費による共同研究。本研究プロジェクトの成果はICWL2014でBest Paper Awardを受賞しました。
「井の中の蛙」効果に着目した協調学習支援システム”IDO”プロジェクト, 2009-2012
「井の中の蛙」効果とは学業的自己概念の活用した効果です。その学業的自己概念は人が自分自身に抱く学業的能力の自己知識・自己像のことですが、例えば、ある学生が抱く英語の学業的自己概念はクラス内で実施されるテストの際、教員から平均点の提示、また友人たちのテストスコアを聞くことで、自身の英語に関する能力評価を主観に行い状況がありますが、まさに学業的自己概念が形成されている時と言えるでしょう。そのような、社会的比較によってもたらされる学業的自己概念の効果のことを「井の中の蛙」効果と言います。”IDO”システムは「井の中の蛙」効果に準拠し、テストスコアから、自分に対して肯定的な学業的自己概念を形成し得るグループを自動的に作成し、協調学習を支援するシステムです。山内先生(東京大学)、北村先生(東京経済大学)、御園先生(島根大学)、松河先生(大阪大学)との科研費による共同研究。
Conomi+ 2008 – 2009
Conomi+は、家など学校外で「気軽に」英語を勉強をすることができることを目指した英語学習システムです。協調フィルタリングという、Amazon.co.jpなどで使用されている推薦アルゴリズムを用いて、学習者の興味関心に合った英語ニュースを配信し、辞書機能、単語登録、コメント入力など認知的・社会的な学習支援を行うことで、学校外の学習でも継続できるような仕組みになっています。第2期では「ぴったりではないけど、ある程度興味があるものを推薦する」という新しい協調フィルタリングのアルゴリズムを開発し、評価を行いました。従来の協調フィルタリングと比較した結果、読むニュースのジャンルに幅が生まれ、学習成果もより高いことが示されました。私はシステムの全体的な設計、評価の一部とプロジェクのディレクションを行いました。東京大学大学院情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座のプロジェクト(総括:東京大学准教授 山内 祐平先生)。本研究の成果はEducational Technology Research & Development で論文採録されました。
eラーニングにおける自己調整学習を促進するメンタリング支援システムの開発 2009 – 2012
eラーニングにおける学習者の自己調整学習を促進するメンタリング支援システムに関する研究をしています。対面で講義を受けることがほとんどないことを前提にしたeラーニングでは学習が継続されないということが今まで、今も大きな課題となっています。そのためには学習者に対して適切なメンタリングをメンターが行うなど、学習者に対する情意面等の支援を行う必要があるとされています。しかし、メンターにとっては、学習者の状況を常に把握し、できるだけ早い対応が求められるので、作業として大変負荷が高くなります。またメンターがいなければ学習ができない学習者を育成するというのも問題があります。本研究は以上2点の問題点を踏まえまして、自己調整学習理論に注目し、学習者の自己調整学習態度と行動を支援することを目的としたメンタリング支援システムの開発と評価を行います。宮川先生、松田先生、齋藤先生(青山学院大学)、加藤先生(放送大学)、合田先生(大手前大学)との科研費による共同研究。
社会的存在感と認知的存在感がタスクベース外国語学習に与える効果の検証 2008- 2009
遠隔教育において、周りの学習者の存在感を感じることで、学習のモチベーションが高くなることや、学習の満足度が向上するなど学習の情意面における有効性が主張されています。外国語教育では遠隔教育について、実践が多いものの、遠隔教育に関係する学習科学や心理学の背景理論を踏まえないで研究されていることが多い状況にあります。本研究では、タスクベースの外国語教育において、相手の存在感を感じることで実際の学習へ結びつける方法を検証するために「存在感」に着目し、研究を進めました(個人研究)。本研究の成果はComputers & Educationで論文採録されました。科研費による研究
英語deキャリアアップ 2008
英語deキャリアアップは「なりきりEnglish!」スピンアウト企画です。「なりきりEnglish!」で培った研究成果を普及させるために、Willcom社 W-zero3ではなく、Podcastingで提供しました。英語deキャリアアップではIT業界で勤務されている方を主な対象として、IT企業で海外との会社との業務で良くあるものをIT企業で勤務している方へインタビューを行って選び、教材はIT企業の英語WEBページで頻繁で使用されている英語の語彙や表現、専門的な語彙や表現を使って開発しました。東京大学・ベネッセコーポレーション共同研究。私は業務の選定、ストーリーの立案などに従事しました。日経ネット、日刊工業新聞、ITMediaなど多数のメディアに紹介されました。iTunes Podcasting 8週連続1位!(現在はサービスを終了致しました)
なりきりEnglish! 2006 – 2008
学習者の英語使用文脈に合わせた英語リスニング教材の開発と評価をしています。教材を動作させるシステムはWillcom社のW-zero3を使用しています。2007年度は新日鉄株式会社社員様向けに、新日鉄様の営業活動を英語教材化し、効果の検証をしました。2008年度は効果の分析検証を行いました。「なりきりEnglish!」がターゲットとする営業担当と営業以外の担当者で比較したところ、英語能力の伸びには差がなかったものの、2ヶ月後の遅延調査では営業担当者は電話応対などで「なりきりEnglish!」で出てきた表現などを使うことができたなど、実践的な能力向上に関して、主観的な効力感に寄与していることが示されました。私はシステムの設計開発を主に担当しました。東京大学大学院情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座のプロジェクト(総括:東京大学准教授 中原 淳先生)。
同期型CMCを用いた英語コミュニケーション能力育成支援システムに関する研究 2003 – 2008
修士・博士課程を通じて行った研究です。コンピューターを介したコミュニケーションをComputer-Mediated Communication(CMC)ツールと言いますが、その中でもテキストチャット、ビデオカンファレンスといったリアルタイムのコミュニケーションツールを「同期型CMC」と言います。この同期型CMCと学習者の動画と音声が外国語によるコミュニケーション学習に対してどのような効果があるか、どの点に気を付けて言語教育システムを設計するといいのか、について検討した研究です。科研費による研究
情報モラルに関する国際比較研究
情報技術、ならびに情報モラルに関して世界の教育関係者からデータを収集し、分析を行いました。携帯電話の使用、親の責任、情報モラルがない学習者に対する教員の態度や取り組みについて報告しています(研究代表者:東京工業大学教授 赤堀 侃司先生)。
文部科学省 教育情報共有化促進モデル事業「e教員プロジェクト」 2003 – 2004
文部科学省では、平成15年度より、同一教科の教員の輪を広げ、教員の自発的なIT指導力向上を促すことを目的としたモデル事業(「教育情報共有化促進モデル事業」)を実施しました。このモデル事業の指定を受けた各地域の研究団体の研究成果を全国の教員に広めるための授業事例を共有化するためのWEBサイトを構築し、運営をしていました。平成17年以降は三菱総合研究所へプロジェクト運営を移管し、無事終了しました(事業企画評価委員長:赤堀 侃司 教授)。