昨日、前任の金沢大学でのシンポジウム「大学図書館における学習支援のこれから」を終えました。まさかこんなに早く金沢でお話する機会があるとは思いませんでした。今も、金沢の図書館職員さんたちが、館長の柴田先生、部長、課長、みなさんにご出席頂き、私のお話を真剣に聞いてくださっていることに感謝・感激しました。また電子情報学類で、ラーニングコモンズの運営にもご助力を頂きました、秋田純一先生も、Facebookでご連絡を頂き、ご出席されていました。ありがとうございました。
FD・ICT教育推進室で実務委員長をしていた時にお世話になっていた、情報化推進室長をされていた方が、「先生が抜けて大変ですよ〜」とおっしゃってられたのですが、申し訳なく思うと同時に、ありがたいとも思います。「また、金沢に来て、いろいろ教えて下さい」と言ってもらえました。ありがとうございます。
講演では、文科省が提唱する、これからの人材像、21世紀スキルと言われるものとの対応を踏まえ、図書館ができる学習支援を「インフォーマル・ラーニング」、「リテラシー教育」、「社会構成主義的学習観」の3つの軸から国内外の現状を説明し、これからできることについて、様々な支援例を提案させて頂きました。金沢の中央図書館ブックラウンジでは学生たちの活動がいろんな形で公開されたり、授業とは関連しない、学生の自主的な学びが積極的に行われています。ここまで活発に活用されている例は数少ないように思いました。新しくラーニングコモンズのような施設ができると、最初は学生も集まり、いろいろやっているのですが(新奇性効果)、時間が経つと使われなくなることもあり、新しくできてからが本当の勝負所とも言えます。金沢大学の中央館のラーニングコモンズはスタートしてから4年目に入ります。ちょうど安定してきているように思うので、見頃かもしれません(でも、長期休暇前、中、後はキャンパス全体がゴーストタウンにようになるので、授業期間中に見学されることをおすすめします)。
名古屋大学の岡部課長からは、上記の学習支援の観点から、図書館職員が身につけるべき学習支援スキルについてお話がありました。インストラクショナルデザイン、学習科学の知識、リテラシーの重要性を今、よくされている授業の内容とも照らし合わせ、説明をされていました。今、行っているインフォメーション・ライブラリアン育成事業で開発しているeラーニングコンテンツの紹介や今後の展開についてもご説明されました。そっか、来年度はコンテンツの展開ですね。私も関わっているので、がんばらないと!最後に金沢大学の村田課長から金沢大学の現状についてお話があり、今までされてきたことから、次の段階へどう進むか、例えば、フォーマル・ラーニングに関連する学習支援の展開など、お話頂きました。あ、中央館のブックラウンジにある「ほん和かふぇ」、来年度も続くようです。採算は取れているとのことで。本当に良かったです!!図書館がカフェエリアを管理しているので、図書館がやりたいイベントができるというの非常に良い強みと言えると思います。これからも楽しみですね。
質疑応答も、前所属の大学教育開発・支援センター 堀井先生から「図書館における学習支援と、授業を連動させる具体案はあるかどうか」、柴田館長からは「図書館における学習支援へ、学生をどう誘導させるか」という話題を頂き、授業設計からの関わり、図書館の強みの把握、草の根的に活動を広げていくこと、実践例の公開と展開など議論をしました。金沢の場合は教員と図書館職員との距離が近く、授業を協力して作り上げていくことがやりやすいように思います。
今回のシンポジウムは大学間連携の一環で行われましたが、他の大学の方も参加されていました。びっくりしたのは、私が金沢の時にやっていた授業を受けていた学生さんが3名も参加していたことです。私は共通科目しか担当できなかった教員です。ゼミで育成しているわけでもなく、通常は授業履修が終われば、話すこともなくなることが多いです。さらに私はもう九州大学へ転出した身。それでも、こうやって来てくれて、「先生の授業で学んだことが大きかった」とか言ってもらったり、今も私の授業内容を覚えていてくれたり・・・本当にうれしいです。感激しました。さらにすごいのは、質疑応答になったら、いち早く質問したのは私の授業の受講生たちでした。私たちの考えに対する反論、または企画提案をしてきたり、積極的でした。私の「学習環境デザインプロジェクト」を受講していたこともあり、すばらしい提案もしていました。いいですね!!すばらしい!!シンポジウムは静岡大学の益川先生が精力的に取り組みをされているジグソーメソッドについても紹介しましたが、秋田先生は興味をもたれ、ジグソーメソッドを使ったワークショップを検討したいとのこと。ありがたいです!
100均で売ってるものをハック!http://atnd.org/event/MakeMAKERS/0
また、その後の情報交換会でもうれしかったのは、私が昨年12月までに行った学習環境デザインプロジェクトで学生から提案のあった、図書館内に作る「新しい国際交流室の提案」の実現に向けて、積極的にご検討頂いているということでした。私は既に転出していたので、わからなかったのですが、館長が実際に学生の提案を見て、予算がつくかわからないけど、使われていないエリアの指摘、今、求められている学びの空間の重要性は十分に理解しているので、今後の展開としての「武器」を持っておきたいとのことでした。どこまで実現されるのかわかりませんが、こうやって職員さんたち、さらに館長にも見て頂いて、ご理解を得て、進められているのは、うれしいですし、本当にこの授業をやってよかったと思っています。
私は金沢大学に何を残してきたか、こちらに来て、まだ2ヶ月ちょっとですが、ちょっと考えることがあります。それは九州大学で何に自分の力を発揮していくか考えることでもあるのですが、こうやって、今も金沢大学に、そして私の授業を受けてきた学生たちに、私がやってきたことが根付いていることを聞いて、涙が出るくらい、うれしく思うのです。名古屋大学の岡部課長とも今も一緒にインフォメーションライブラリアン育成事業など、いろいろ気軽にお話できる機会も続いていることも、大変感謝しています。たった3年、されど3年。短い期間でしたが、今も活きていることに感謝。学習環境デザインプロジェクトのような授業も続けばいいんだけど、それは難しいかな。
九州大学でも、いい仕事がしたいと思います。
あと当日の資料です(ちょっと手を加えています)。もしよろしければ。
あと、金沢大学附属図書館のリポジトリーにこのシンポジウム資料が掲載されています。私のもありますが、岡部課長、村田課長の資料もあります。
2013-03-27 「図書館機能強化プログラム」シンポジウム「大学図書館における学習支援のこれから」
http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/handle/2297/33907