去る2月22日木曜日に開催を致しました、データ駆動イノベーション推進本部デジタル社会創造研究部門シンポジウム「人間中心のデジタル社会をデザインする」、ご参加ありがとうございました。オンラインを含めて146名のご参加がございました。ありがとうございます。シンポジウムについて簡単な報告をDX推進本部のサイトにて行っております。
基調講演者であります京都芸術大学 早川先生、パネリスト講演をして頂きました、牛尼先生(芸術工学研究院)、松隈先生(芸術工学研究院)、池田先生(人間環境学研究院)、梶原先生(基幹教育院)、ありがとうございました。非常におもしろい観点でのご講演とパネル、大変感謝しております。
早川先生からは、早川先生が取り組まれてきたサインデザインからデジタル社会デザインに向けた示唆を頂き、サインの役割をどうデザインするか、デジタル社会をデザインするという時に、敢えて苦労させるということも重要ということもご意見を頂きました。教育・学習環境デザインを考える上で、非常に大事なご指摘かと思いました。何が最適というのか?ということをしっかり考えるべきというご提言かと思います。また、「デザイン」というのは、そもそも人間中心であるというお言葉も頂きました(勉強不足で申し訳ありませんでした)。
牛尼先生からはWeb情報学の観点から、牛尼先生が取り組まれてきたご研究の紹介、生成系AIを活用した研究事例のご紹介、そこから考える人間の行動、AIを育てるということが人を育てるということにつながるという示唆を頂きました。これは早川先生が言われる、「人に何をしてもらいたいのか?」ということ含めてデザインするいうことにつながると思いました。
松隈先生からはシリアスゲームプロジェクトのご紹介で、リハビリ、バーチャル大橋キャンパスなどの事例から、リアルとバーチャルの融合で何が生まれるのか、ご発表がありました。ゲームは人間の情意というものが非常に強く利くものがあるので、人間の行動、モチベーションをどう引き出して、活動までもっていくのか、考えるいいヒントとなりました。
池田先生からはバーチャル空間におけるリーダーシップ、人のコミュニケーションについて池田先生のご研究や事例をの紹介がありました。バーチャル空間上での人の距離感、存在感からリーダーシップはどう考えるべきか、ご示唆を頂きました。私自身、CMC上の社会的存在感、認知的存在感が学習成果にどう関係するのか、研究を長年やってきたこともあり、自分の研究を考えるにあたり、重要な視点を頂きました。
梶原先生からは法学・憲法学の観点から、デジタル社会で考えるべきことをご示唆下さりました。個人情報保護・プライバシーの点は容易に想像できるところですが、最近、非常に増えている誤認による問題や自己決定権の話も含まれており、メディアリテラシーに似たところも法学でも議論されていることを興味深く聞きました。
パネルディスカッションでも、早川先生が言われた、デジタル社会で全てが近道になるものを提示することではなく、遠回りになることで、一見無駄に思えることも、その先のことを考えるのに意味があることもあり、それが消えていく懸念もあるなど、人としてどう生きるのか、考える重要な視点を頂き、それを踏まえて、みなさんと議論がなされました。
情報通信技術はあくまでツールで、デザインもいろんなことができるわけですが、そもそも何を目指すのか、どう人間は生きるのか、ゆるーく生きるということは何か、など人の生き方というものを幅広く考える、非常にいい機会となりました。
早川先生、パネリストの先生方、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い致します。