去る3月6日、7日と、日本教育工学会2021年春季全国大会が開催され、無事に閉幕しました。多くの方にご参加下さりまして、感謝しております。これまでの経緯からやはり秋季全国大会の方が参加者は集まる傾向があるのですが、今回はまた、学会を通じてお知らせが出ますが、秋季全国大会の参加者に迫るほどの方にご参加を下さりました。正直、予想以上でした。ありがとうございました。
この大会がうまく運営できたのは、多くのみなさまのご助力を得てこそのものです。今回ホスト校・実行委員会を務めて下さりました関西学院大学のみなさま・学生のみなさま、さらには実行委員会アドバイザーを受けて下さりました小柳理事(関西大学)、村上理事(大阪大学)、また実行委員会委員ではないのにも関わらず、研究室をあげてご支援下さりました西森理事、研究室の学生さんたちには大変感謝しております。この2日間、大きなトラブルが全くありませんでした。いろいろヘルプデスクの用意も、対応策なども考えていたのですが、それもほとんど使うことなく、平穏でした。まずは参加者のみなさまがちゃんと事前にZoomの利用方法について学んできて頂いていることが大きいと思っています。そのあたりのご協力にも大変感謝しております。
実行委員会のみなさまは本当にいろいろ動いて下さり、感謝しております。実行委員長に、まさかの住政二郎先生で驚きました。住先生とはずっと前からいろいろご縁があり、よくEuroCALLという国際会議でお会いしていましたし、外国語教育メディア学会という学会で一緒に講演をさせて頂いたり、さらにはJSETとの共同で社会ネットワーク分析ワークショップもさせて頂いた仲でして、同世代ということもあり、フランクにいろいろお話できるので、住先生が実行委員長というお話聞いて、本当にうれしくて、安心したというのがありました。さらには、昨年まで大会企画側だった、福山先生がまさかの関学さんへ異動ということもあり・・・(笑)。副委員長の時任先生に「実行委員会メンバーの新任というのは・・・?誰とは聞きませんが、JSET関係の方ですかね?」と心配して聞いたところ、「大丈夫です。全く問題ありません。みなさんがよく知っている方です」と言われたので、誰だろう・・・と思って、いろいろ予測していたのですが、まさかの福山先生で、大会企画から実行委員会側へ行かれるとは予想もしていませんでした(笑)。しかし、大会企画委員会側の考えや様子をご存じの先生がいらっしゃるというのは本当に安心ですね。ありがとうございました。
今回はオンライン大会への踏み切りを早くし、原稿締め切りを昨年よりも早くしました。公式にオンライン大会となりますし、大会準備を盤石としたいと思っていたのですが、いろいろ準備も早くできたため、今回に限って、延長し受け付けることとしました。今回は委員メンバーも増加して頂きました。私が苦手な細かいところまでのチェックも、椿本先生(東京大学)・川面先生(帝京大学)の両幹事に全体的に見て頂きまして、とても助かりました。
プログラム編成も遠海先生(東北学院大学)、竹中先生(愛媛大学)、泰山先生(鳴門教育大学)が主力的に行って下さいました。かなり大変な作業なのですが、段取りよく進められるように、いろんなフォームも用意して下さり、管理がとてもしやすかったです。問い合わせ対応もして下さいました。ありがとうございました。問い合わせ対応は、なにげに大変で、締め切りが過ぎているにも関わらず、著者を足してほしいとか、原稿を差し替えてほしいとか、いろいろ依頼をしてくる方々がいます。それに1つ1つどう対応するのか、検討し、議論し、返答するのです。結構、大変なのです。このあたり、来年度はどうしていくのか、考えないといけないかなと思います。春季大会はスケジュールが結構、タイトで、いろんな作業が発生するので、1つ1つの負荷をどう下げていくか、課題になりますね。
今年は試行的に企業PRタイムも行いました。春季大会は基本的には大学で開催され、運営の負荷を下げる必要もあるので、企業展示は行わないという方針ではあるのですが、オンライン大会であれば、できることはいろいろあります。企業PRタイムはJSiSEの全国大会で行われていました。実際に参加して、とてもいいなと思いました。企業のサービスとフィットするセッションで、サービス紹介をしてもらい、興味をもってもらえたらいいなと思ったのです。JSiSE全国大会では最後に行われていたのですが、JSETではセッションの真ん中に入れました。いろいろ迷うところではあるのですが、ちゃんと聴講者に聞いてもらえる機会を設定することが重要かと思いましたので、セッションの真ん中にしました。ブース展示とは違う特徴のあるものですし、ブースだと聴講者に来てもらわないと何も出来ませんが、企業PRタイムは企業側からいくものなので、意義のあるものではないかと思いました。対面でもいれてもいいかもですね。大会サイトにもバナー広告を行いました。本件は川面先生(帝京大学)と小林さんと宇多さん(内田洋行)がご準備、段取りをつけてくださいました。ありがとうございました。
シンポジウムも、「デジタル・トランスフォーメーションが変える教育の未来」と題しまして、基調講演に安浦前理事(九州大学)、指定討論者として、堀田先生(東北大学)にお願い致しました。パネリスト講演に森田先生(早稲田大学)、高橋先生(東京学芸大学)、白井先生(大阪大学)にお願いし、大学や初等中等教育のデジタルトランスフォーメーションについてご講演頂きました。ありがとうございました。企画も大山先生(大阪大学)・長濱先生(東京工業大学)が担当されました。最初は年度末ということもあるので、コロナ禍における教育の変化とかオンライン授業のような話が出ていたのですが、もうコロナには疲れましたよね・・・ずっとコロナのことで悩み、苦しみ、最後にコロナで終わるというのは辛いです。理事会でもコロナの話も含めていいと思うが、JSETらしく、もっと前向きになるような企画がいいんじゃないか?ということで、教育におけるデジタルトランスフォーメーションという方向になりました。フレッシュな2人が司会をやっている様をZoom越しに見て、若手が担っていっている学会の姿を見えた気がしました。
このオンライン大会を運営するにあたり、土台になる環境構築に関わって下さった、松河副委員長、御園先生(島根大学)にはとても感謝してます。松河副委員長はZoomの契約から、実行委員会と調整して、支援体制を構築して下さいました。御園先生は大会ウェブサイト、プログラム、予稿集まで幅広くやって下さいました。他の担当との調整もして下さいました。ありがとうございました。
私個人としては、自主企画セッションを行いました。私が代表で研究を行っています、基盤研究(B)の成果報告で、ラーニングアナリティクスを踏まえて、自律的学習者を育成するには、どういうことを検討すべきか、どういうデータを収集し、分析し、フィードバックすればいいのかなど話そうかなと思っていました。島田先生(九州大学)が代表になっていますJST AIP加速研究との共催という形を組み、AIPの成果も含めて、九州大学で行っているラーニングアナリティクス基盤の評価、2020年度で大きな課題もであったオンライン授業にどう寄与したのかなどお話できました。島田先生、合田先生(熊本大学)からもご講演を頂きました。合田先生の「インストラクショナルデザインはラーニングアナリティクスに文脈を与える」というご発言、とても響きました。ラーニングアナリティクスに基づくインストラクショナルデザイン研究は私の研究室で行っているのですが、もっと発展性のあることができそうな感じがしています。今後も成果を上げ次第、こちらでも報告できればいいなと思っています。
これで、私、理事最後の仕事を終えました。4年はあっという間でした。寺嶋先生(大阪教育大学)が委員長をされていた大会で2年間、副委員長をし、後半2年は春季大会担当理事として委員長を務めました。もともとはSIG委員長が大会企画委員長を兼ねるという話で進んでいたので、大会企画委員長をやる予定はなく、油断していました(笑)。急転直下といいますか、春季担当という枠ができ、委員長となりました。秋・春と分かれてから初の委員長で、春はこれまで研究会だったのが、昇格というか、なんというか、全国大会に格上げになったわけですが、これまで行っていた全国大会を継続する秋とは違うので、新たにいろいろ検討を進めなければなりませんでした。企業展示もできず、収入的に厳しい中で、どうコストを落としながらも全国大会としての価値を上げていくか・・・実行委員会との関係をどう作っていくか、いろいろ悩みながら進めていった2年間でした。まさか2年ともオンラインの全国大会になるとは思ってもいませんでしたが、とても勉強になりました。
春大会担当が3年前でしたか、年末に東京に理事・評議員有志が集まり、これからのJSETに向けて何をすべきか、将来計画を考える合宿が行われました。全国大会もとても重要で、どういう企画計画し、実施していくか考え、整理されました。学生セッション・自主企画セッションの開始、参加費の割引を行い、シンポジウムのライブ配信は、コロナのこともありましたが、計画よりも1年前倒しで実施することができました。学生セッションはもっとやり方があると思います。ラウンドテーブルにするとか。学生向けの奨励賞を設置して、若手育成を進めるというのもあるかなと思います。このあたりは私が理事の時には着手できませんでした。また、コロナ禍の影響でオンライン授業をおこなう教育機関も増え、教育工学への関心も高くなっています。初めて参加する方向けのセミナーとかやってもいいかなと思います。
あと、全国大会に限らずなのですが、学会運営にいろんな方が関わるようになればいいなと思います。最後の大会企画委員会でも委員のみなさんとお話していたのですが、同じ方が繰り返し、理事や委員になるのではなく、様々な方々に学会運営に関わってもらい、教育工学領域の研究の発展を考えて頂く機会になればいいなと思っています。全国大会にはいろんな意味合いがありますが、1つは研究の支援というものがあります。教育工学の研究を高めていくにはどうすればいいか。他の委員会でも同様な要素はあるのですが、どの委員会であれ、教育工学の研究領域をどのように発展させていくか、これは大きな課題でもあります。それを考えることは、自分の研究を広げていくことにもつながります。
これからの全国大会の展開、楽しみにしています。この4年間の理事、非常に勉強になりました。みなさんに支えられての4年間でした。ありがとうございました。これからは新しい委員長のもと、春季全国大会が企画・開催されます。今後もJSETがますます社会的にインパクトを残せる、教育工学の展開をより強く進めていける学会になることを願っています。