先週はJSISE全国大会に参加し、AIP加速研究で開発した学習ダッシュボード「メタボード」について発表をしましたが、この土日にJSET2020年秋季全国大会に参加しました。秋季大会ご担当の大会企画委員会、実行委員会のみなさま、お疲れ様でした。ありがとうございました。ポスター専用のシステム開発もあり、企画・運営以上のお役目もあり、大変だったように思います。お疲れ様でした。
今回、山田研究室では私を含めて5件の発表がありました。
馮 宣淇, 山田政寛 (2020).インフォーマル・ラーニングにおけるゲーム型学習環境の学習経路パターン検出アプローチ, 日本教育工学会2020年秋季全国大会講演論文集, 171-172.
完全オンライン環境のインフォーマル・ラーニングにおけるゲーム型学習環境の評価には学習プロセスを観察できず,形成的・実践的評価の構築が困難であるという問題が存在している.学習者の行動履歴の分析に着目するラーニング・アナリティクスはこの問題解決を期待できる. 筆者の以前の研究では学習者の行動パターンを検出し,可視化するアプローチを提起したが,学習コンテンツに触れていなかった.本研究では,知識を学ぶ順序である学習経路に注目し, レーベンシュタイン距離と階層クラスター分析を利用する学習経路パターンの検出するための新しい分析アプローチを提案した.
陳 莉, 山田政寛 (2020).学習行動の視点に基づいた協調的問題解決型STEM授業デザインの提案, 日本教育工学会2020年秋季全国大会講演論文集, 203-204.
近年,科学技術に関する知識習得とその知識を活用した問題解決能力の育成を目的と して,協調的問題解決型STEM 教育が世界的に広まっている. 本研究では,ラーニングアナリティク スのアプローチを用いて,学習行動の視点から,協調的問題解決プロセスをどのようにデザインし, どのようなSTEM学習の要因をSTEM授業に取り入れるのかを検討した.
徐 宇凡, 山田政寛 (2020).CSCL における参加度を向上させることを目的にした個人学習行動と参加度の可視化システムの開発, 日本教育工学会2020年秋季全国大会講演論文集, 249-250.
Computer-Supported Collaborative Learning (CSCL)研究における主な課題の1 つとして, 学習者の参加度にばらつきが発生する問題が指摘されている. この要因の1 つとして各グループメンバーが他者の個人学習状態とグループ活動への参加度を把握できず, 手抜き行動が発生していることが挙げられる. この課題を解決するために, これまで著者らは個人学習とグループ活動中の参加度の可視化のデザインしてきた. 本稿ではこれまでの可視化のデザインに基づき, それらのデータの収集およびインターフェースの開発について述べる.
耿 学旺, 山田政寛 (2020).拡張現実を使用した複合動詞学習支援システムの有効性の検討, 日本教育工学会2020年秋季全国大会講演論文集, 401-402.
近年, モバイルテクノロジーの進歩により, モバイル機器を使用して学習する機会が増えている. 拡張現実(augmented reality, AR)は, モバイルデバイスを使用し, 現実世界と仮想オブジェクトを組み合わせることで, 学習体験を向上させる可能性を提供する. 著者らは, AR を活用した日本語の複合動詞学習支援の拡張現実システムの開発を行ってきた. 本稿では学習成果と技術受容の度合いとの関係に着目して評価した結果について報告する. 評価の結果, AR に対する利用への行動意図と事前・事後テストの差分の間に強い負の相関関係がみられた.
山田政寛, 合田美子, 江木啓訓(2020).授業における受講者の座席位置は学習成果や意識に影響するか? -自己調整学習からのアプローチ-, 日本教育工学会2020年秋季全国大会講演論文集, 349-350.
授業中における受講者の座席位置は教員が経験的に学習のモチベーションや成果を推定する1つの指標として見られ, 関心を集めてきた.しかしながら,教員の経験に基づいた研究がされており, 理論的根拠が不明確であることが多かった. 本研究は講義型授業における受講者の座席位置が学習成果や態度に影響するか, 自己調整学習の観点より分析を行った. 分析の結果, 座席位置は自己調整学習意識, 欠席数や成績などと統計的有意な関係がないことが示された
うちの学生さんもがんばって発表していました。私は聞きたい発表があったので、ずっとモニターできていなかったのですが、馮くんのところには、藤本先生(東京大学)がいらしてくださり、話を聞いて下さっていました。ありがとうございました。耿くんのところにも1時間くらいはりついて議論して下さった先生もいらっしゃいました。きっと他の学生のところにも来て下さった方々がいらしたと思います。私たちの研究は多くの聴講者に支えられているなと実感しています。大変感謝しております。ありがとうございました。
さて、秋大会が終わり、次は春大会ですね。まだいろいろ検討している部分がありますが、そろそろ固めていかねばなりません。ウェブサイトやニューズレターで随時公開していきますので、お時間がございますときに、確認くださればと思います。春大会もあるのですが、12月にはIEEE TALEという科学技術教育関係の国際会議があります。そちらではPublication chairとSpecial Track 2のLearning Analytics関係のセッションのとりまとめをしております。こちらもいよいよ忙しくなってきそうです。JSiSE、JSET会員の方は割引で参加できますので、ご検討下さいますと幸いです。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。