九州大学 山田研究室

今年もありがとうございました:2019年を振り返る

2019年12月31日

仕事納めも納まらず・・・もうまもなく2019年が終わり、2020年になりますね。ミレニアムになり、20年が経つんですね。私は大学(学部)を卒業して20年経つということか。時間が過ぎるのはとても早いですね。研究もいろいろ関わらせて頂き、大変充実した1年でした。共同研究をしてくださっているみなさま、フィールドをご提供してくださっているみなさま、ご協力してくださっているみなさまに感謝致します。様々なご縁があることに感謝致します。うちの学生たちもがんばってくれました!ありがとうございました。

今年はこれまでやってきた基盤研究S(京都大学 緒方先生代表)の研究に加え、内閣府戦略的イノベーションプログラム(SIP)(京都大学・九州大学チーム)、島田先生(本学大学院システム情報学研究院)代表のAIP加速研究における主たる研究者として参画することになりました。テーマは「持続可能な学習者主体型教育を実現する学習分析基盤の構築」と題しまして、私は学習者の自律性を育成する観点から研究を担当しています。これもかなりのBig projectです。島田先生のデータ分析・関連システム開発チーム、内山先生@附属図書館の、授業外学習におけるLA研究チームとの3チーム構成でがんばっていきたいと思います。4月にスタートし、私のチームでは、デジタル教科書/教材ビューワーであるBookRollのログを活用した学習者向けダッシュボードをデザイン・開発しました。そのMetaboardに知識マップの分析、推薦情報の閲覧記録、リアルタイム分析の結果などを集約していくような設計になっています。来年は授業で活用し、学生が自分の学習の改善に活かしていくようにしたいと思っています。本研究成果についてはCELDA 2019にてラーニングダッシュボードのデザイン、LAKのPosterにてそのプロトタイプ開発について採択されました。

SIPでは、京都大学と連携しながら、福岡市教育委員会、福岡市の高校と共同研究としてすすめており、BookRollとDashboardを活用した授業実践研究をしています。先生方、教頭先生、市教委と私たちのチームが綿密に打ち合わせをし、学習ログを分析した結果を吟味しながら、授業にどう展開すべきか、検討してきました。こちらの研究成果も、来年3月に開催されるLearning Analytics and Knowledge 2020のPractitionar Trackに1本、採択されました。あとLAK2020におけるWorkshopに現在投稿中です。

今年は私の科研費も採択されました。基盤研究(B)(一般)で採択されました。テーマは「個別・協調学習の往還を支援するインタラクション高度化基盤の開発と評価」です。審査員の先生方に感謝致したく思います。ありがとうございました。こちらの研究も進んでおり、これまで開発してきたC4にラーニングアナリティクス基盤を統合化していくことになっています。個別学習が中心となるBookRollのログを合わせて、グループワークの分析と行っていくという、個人と協調学習とデータと紐付けて、分析し、学習者へフィードバックする仕組みを作り、学生が効果的な学習ができるようにしていきたいと思います。こちらも順次、成果が出ています。

谷口倫一郎先生代表の圃場センサーとラーニングアナリティクスを組み合わせた農業人材育成科研(基盤研究A)も8月末からシステム始動しました。システムを実際に活用した授業が始まりました。白菜とダイコンの栽培をする授業に活用し、収穫が終わっています。こちらもデータが集まっており、データの分析が進められています。来年度は科研費の最終年度になります。こちらの研究も農業人材育成に貢献できる研究成果を挙げられるように、教育チーム(合田先生@熊本大学、山本先生@東京大学)としてがんばっていきたいです。

他にも良い経験をさせて頂きました。9月末〜10月頭にはUNESCOのEduSummit 2019@Quebec Cityに参加しました。EduSummitではSDGsを見据えて、これから産学官でどういう教育をするべきか、どういう手法を用いるべきか、その際の注意点、対応策などを議論します。それをUNESCOにレポートとして提言します。また議論した内容に関係する研究をしていくことにもなります。ありがたくも緒方先生からInvitationを頂きまして、島田先生@九州大学と私はLearning Analyticsのグループに参加しました。教育工学・学習科学では名だたる研究者が多く参加していて、緊張しましたが、自分たちの実践や研究をもちより、いい議論ができました。既にレポートは公開されていますね。

UNESCO EduSummit 2019 Action Agenda https://edusummit2019.fse.ulaval.ca/sites/iscar17.ulaval.ca/files/edusummit2019_actionagendas.pdf

Quebecを後にし、その後、ニューヨークでニューヨーク大学のAlyssa Wise先生のNYU-LEARN、コロンビア大学のCharles Lang先生のTeachers collegeにて、セミナーを開催し、緒方先生、島田先生と私で研究プロジェクトと成果の紹介を致しました。こちらもラーニングアナリティクスをひっぱっている拠点をみさせて頂き、研究を進めていくよい刺激になりました。大変貴重な経験になりました。

今年は総括すると、業績としては展望論文1本、論文1本(国際誌)、国際会議13本、Book Chapter 2本でした。業績数としては申し分ない数だと思っていますが、ファーストオーサーは国際会議の1本(IEEE TALE 2019)のみでした。う〜ん・・・と思いますが、学生を4,5人もって、プロジェクト運営し始めると、研究指導が中心になり、自分で書く時間がなかなかとれないですね。もうそういう立場になってきたのかもしれません。研究が活発になり、プロジェクトももりあがり、教育・学習に貢献できる研究ができるのはうれしいのですが、さみしいものがありますね。とはいえ、うれしいのは、博士学生が初めての論文を海外誌で採択されたということですね。これは私の経験でも大きな一歩になるはずで、自信につながります。これはうれしかったです。

私の修士・博士課程学生時の研究指導教員でありました赤堀侃司先生(現ICT CONNECT 21理事長)はずっと現役ということで、ファーストオーサーで論文を書いてられました。あのお姿は本当に今でも焼き付いていて、「研究者はこうありたい」と思いました。そのお姿を思い起こして、来年は論文としての成果を出していけるようにしたいと思います。

いろいろ2019年も終わります。今年もお世話になりました。ありがとうございました。みなまさもよい年をお迎えください。

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