去る12月12日、現在、文部科学省から指定を受けて行われてる、公立高校におけるアクティブラーニング推進プロジェクトであります「福岡県 新しい学びのプロジェクト」ですが、私が関わっております糸島高等学校での実践につきまして、日本教育工学会研究会@新潟大学にて報告をしました。
江藤真美子, 井上功一, 山田政寛 (2015) 高等学校における反転授業とゲーミフィケーションを取り入れたヘルスリテラシー教育の意識面に対する効果, 日本教育工学会研究会15-5, 49-55
生物×健康教育を掛け合わせた授業で、反転学習、知識構成型ジグソー法にゲーム的な要素を入れて、短期間ですが、実践で行いました。反転学習ではNHK高校講座「科学と人間生活」を事前学習教材として使用しました。ICTの利用では、GoogleのChromebookを使用しました。持ち帰りで対応することも考えましたが、自宅に無線の環境がない家庭もあることから、放課後などでChromebookを使用して学習できる環境を学内に構築し、そこで事前学習ができるようにしました。学習管理システムとしてGoogle classroomを使用しました。
主観的な効果で事前事後と比較すると、今回、計測対象となった、健康管理に関するリテラシーや理科に対する興味関心について伸びていることがわかりました。また、反転学習の負荷が気になるところではありましたが、見てくる動画が3,4分程度であり、動画を見て、穴埋め形式と自由記述の課題を行ってくるというもので、動画さえしっかり見れば出来る課題にはなっているので、そこまで重くなかったように思います。
さて、これからですが・・・情報端末の導入、無線LANの利用への障壁が大きいので、ここをなんとかしなければなりませんね。また民間のクラウド利用が全国的にも教育現場ではできない自治体がほとんどで、福岡県もその1つではあります。このあたりは苦労しました。福岡県も民間のクラウド接続が禁止されていますので、Googleの利用はできません。ただ、糸島高校は研究指定を受けているので、特例で、かつ民間クラウドの利用可能性を検討する意味合いでも、許可を受け、実践ができました。ですが、これはずっとは続きません。
端末もChromebookなど安価な端末も出てきましたし、タブレットもiPadのように高機能の端末を用意できればいいでしょうけど、それだけ高価な端末になりますので、なかなか手が届きません。教育現場の声も、タブレットの代名詞のように”iPad”という声が聞こえますし、iPadがいいという声もあります。しかし、自治体が持ち得る財源には限りがあります。安価なWindows搭載の10.1 inchのタブレットやAmazonからも安価なタブレットが出てきましたので、これらまで採用の範囲が広がれば、教育現場への情報機器類導入が進むのではないでしょうか?もちろん、前提として、教育現場の先生方がICT活用に積極的であることになります。私は福岡県はかなりICTアンチの教員が多いんだろうなと思って、今回の実践に関わり、覚悟はしていたのですが、意外にそうでもなく、さまざまな活用アイデアを出される先生方も多かったです。かなり驚きました。また、他校の先生の声を聞いてみると、意外に民間クラウドの利用に積極的な声も多かったです。
この実践は、福岡県の現状を考えると、かなり先端的なものになりますが、今後、ICT活用、クラウド活用が見直され、この動きが広まっていけば、今回の実践で培ったことが活かされるのではないでしょうか。これからに期待です。