読んで「良い」と思えるレポートは簡単には書けないのだよ


2月と言うことで、学生さんはレポート、教員は成績をつける作業で大忙しかと思います。私もレポートの点数をつけ終え、成績をつけました。
最近、いろんな大学でレポートの書き方について、初学者ゼミやちょっとした講座を開いて教えているじゃないですか?ライティングセンターまでつくってやっているところもあるそうです。
その手の講座って人気あるんですよね。初学者ゼミでもレポートの書き方の回はやたら学生は真剣だったりします。本学でも初学者ゼミでやっていることもあれば、本センターでもランチョンセミナーでレポートの書き方を教えたりしています。その回は会場がいっぱいになります。私の授業でも最後の方にレポートの書き方を簡単ではありますが、教えました。
レポートって型があると私は思っているんです。もちろんテキスチャ-もあるのですが、ロジックも含めた流れというものがあると思います。Twitterでも前に書いたことなのですが、トゥールミンという哲学者が考えた論理的思考の型といいますか、図式といいますか、モデルのようなものがあります(それをトゥールミンモデルといいます)。レポートというのはそのロジックの積み重ねなんです。ロジックは1つだけ単体で起こるものではありません。いくつもの図式がつながって、全体のロジックを構成するのです。
そのロジックの積み重ねの中でロジックの流れというものがあります。それはよく起承転結とか、小中学校で習うことでもあるのですが、それをもうちょっと具体化したものです。たとえば問題点の指摘-その実害-なぜその問題点から実害が生じるのかなどの流れです。このような流れの中でロジックを積み重ねて、立論する練習がいるのではないかと私は思っています。
このロジックの積み重ねで大切なのは情報収集です。私たち研究者でいうと、先行研究を集めてくることになります。最近の子はなんでもWebですね。驚くくらいWebの情報しか引用しません。今、数々の情報がWebで手に入れることができるとは言え、表層的なことしか述べていないものも数多いです。中にはWikipediaを引用する学生もいます。唖然としますね。私の授業ではダメな理由もつけて、引用させないように説明します。やはりペーパーメディアにあたるべきだと思っています。考察がレポートの中でユニークなところにあたるのですが、その考察もWebの情報、たとえば新聞社の記事だけで頼ってるロジックを立ててきた場合は本当に軽い考察ですよね。自分の言葉ではない言葉で、誰かの意見を述べている感じがします。本当によろしくないですよね。新聞記事を引用するならば、新聞記事は事実を述べているだけですから、その背景については専門書などの書籍で抑えておかなければ、軽い考察になりますね。
私もこんなことを最初からわかっていたわけじゃないです。私が学生をしていた12,3年前なんてレポートの書き方を授業で教えてくれるなんてことはありませんでした。私はESS(英語を話すクラブ)で学びました。70年以上も続いているクラブなので、その指導内容、活動内容も洗練されたものになっています。3年生が執行部員として、指導や企画立案などをするのですが、2年生の秋あたりから、先輩がされてこられた企画や指導内容について分析を行い、改善案や新企画案を踏まえて次年度の方針を立てたりします。その内容がいいか信任選挙を行います。ダメだったら、差し戻しです。
私は英語による議論を学習するグループにいたのですが、上記のようなロジック、ロジックの積み重ねを学ぶのに利用していたのは改善が代々繰り返され、伝統的に引き継がれてきたプロソル(プロブレム・ソルビング)フォーマットとオブザベーションフォーマットに従ったシートでした。これは新1年生にはサンプルが配布されて、そのシートに従って、調べたことを書いたり、簡単なテーマで立案し、議論を週3回していたのです。このシートを使うとロジックはもちろん、そのロジックの積み重ねなど学習することができるのです。それを先輩に見て頂いて、チェックを受けて、議論に臨むということをしていました。
そんなことを繰り返していると、レポートなんて何の苦にもなりませんでした。1年生の間は慣れるのに大変でしたが、2年生になって、夏ごろのレポート課題は別に苦労した覚えはないです。レポートの授業の成績は良い方だったですね。
レポートの書き方にはいろんなやり方もありますし、この方法が絶対的に良いわけでもありません。レポートにもいろんなタイプがありますから、上記のようなやり方が合わないものもあります。ただ、ある程度の型を知ったところで、レポートが即効でうまくなるなんてことはあり得ません。もうここはいっぱい書いて、いろんな人に読んでもらって、学習するしかないでしょう。ロジックを覚えるのも、ESSではトゥールミンモデルを簡易にした三角ロジックを使ってましたが、そんなモデルを覚えても、レポートがすぐにでもうまく書けるわけないです。最初の方に書いた講座に参加してくる学生は「即効性があるレポートの書き方を教えてもらえる」というとんでもない誤解をしているのです(そんなニーズにこたえるようなネーミングがしてある本ってよく売れますよね・・・ハハハ。なんかハッタリをかましてくる怪しいコンサルみたいです)。
レポートには型がありますし、それを知ることは良いことかもしれませんが、継続的に授業以外の部分でやっていかないと、周りが読んで、「これ、いいね」って言ってもらえるレポートは書けないのです。基本形を学び、授業外に継続的に試行し、自分で基本形から必要に応じて肉付けしていく。ということが大事ですね。テスト前に「あ、やらなきゃ」といって、レポートの書き方学習を繰り返している限り、うまく書けるようになんてなりません。
まあ、そういう私もなかなか難しいと思っています。論文を書くのは一苦労です。いくら書いても、難しいものです。1人で書いていても、これでいいのか?と思いますし、不安ですね。なので、仲良くさせて頂いている先生方に読んで頂いています。「これでいけるかな?」と思っても、いろいろご指摘頂きます。それくらい、よいレポート(私の場合は論文ですが)を書くのは難しいものなのです。
私は学習支援に関する授業をしてますし、ラーニングコモンズにおける学習支援体制や方法などを検討します。レポートという点でいうと、私が学生のころに効果的に学ぶことができた伝統のシートと合わせて授業をしようと思っていますし、ラーニングコモンズのレポートの支援体制でも使って行こうと思っています。でも私は「手取り足とり」で密着指導なんてしないですよ。大学生なんですから、自分で考えて、がんばってもらいます。私はきっかけをつくるだけです(そのきっかけを作ることがかなり難しいですけどね。私もまだまだですw)。