このキャリアを初めて、非常勤時代を含めていいのであれば、18年、正規の大学教員になってから14年経ちましたでしょうか、とうとうサバティカルを取得することができました。海外で滞在して研究をするのは初めてです。やっとこの時が来ました。長かった・・・NTTコムウェア時代では、研究ではなかったですが、2,3か月間だったでしょうか、イギリスのバーミンガムに行く権利があったのですが、911で延長になり、その後は部署異動があり、異動した部署では上司にその権利を取り消されました。金沢大学では在外研究に出してみてはどうか?と副学長だったかな、お薦めを受け、出そうとしたのですが、「研究センターではない(英語名ではResearch Center for Higher Educationだったのですが、研究センターではないらしいです(笑))」ことを理由だったか、センターの教員に申請を阻止され、若手研究者としての最後のチャンスを失いしました。それでやっと九州大学に来て、このチャンスを得ました。
しかし、またもや新型コロナウィルス感染症拡大のため、受け入れ先の大学といいますか、国が海外からの渡航を受け付けなくなり、ビザが出せなくなったため、どうなるかわかりませんが、1年、延長をさせて頂き、そして、今年、実現しました。いろいろ悩みましたが、年齢から考えると今しかないかなと思い、踏み切りました。
本来は事前に渡航し、受け入れて下さった先生や研究室メンバーへご挨拶をし、生活環境をある程度作りたかったのですが、授業期間中で、自己隔離が最長で2週間ある可能性を考えるとそれもできず、院長の谷口先生にご承認を頂きまして、8月の中頃から渡航しています。
渡航先は・・・アメリカのミシガン州です。ラーニングアナリティクス研究で世界的に有名で、ラーニングアナリティクス関係システムも学内運用している、ミシガン大学アナーバー校(University of Michigan, Ann Arbor)、School of Informationに客員研究員として所属することになりました。受け入れて下さった先生は、こちらもラーニングアナリティクス研究で大きな成果を出されているStephanie Teasley先生で、LED Lab (Learning, Education and Design) にてお世話になることになりました。ミシガン大学はMyLAなど、ラーニングアナリティクス研究とその成果の展開、またデータサイエンスの研究センターがバーチャルですが、大きな組織として存在しています。ラーニングアナリティクス研究を発展させるよい機会になると思います。Stephanie先生に、ご自宅にご招待下さりまして、お話をしたのですが、そんなに堅くならずに、いい在外研究の経験にして下さいとおっしゃってくださりました。事前に提出していた研究計画をもとに、共同研究を進めていきたいと思います。ご主人でありますThomas Finholt先生(Dean, School of Information)からはU-M School of Informationのキャップを頂きました。
Stephanie先生はもともと認知心理学のご研究もされている先生で、今の協調学習において、お互いの学習行動や意識を社会的に調整する「社会共有型調整学習(Social-Shared Regulagated Learning)にも通じるSocial Shared Cognitionのご研究、CSCLにおける知識構築に関するご研究もされていて、私の研究との接点が多くあります。この1年、教育・学習環境の改善に寄与する研究を推進していけるようにがんばりたいと思います。
このコロナ禍でアメリカに行くことについては様々なところから心配はされたのですが、まだこれからどうなるのかわかりませんが、今だからこそ、アメリカへ渡航するというのはアリかなと思っています。日本と違って、結構、コロナに対する対応が緩いところも多々ありますが(デトロイトの空港のレストランでかなり密着状態で飲んでいるのは驚きました)、なぜ感染しているのか、PCR検査・ワクチン接触がスーパーの中にある薬局でも可能など、対応ができるところが至る所にあり、その結果を随時更新しているというのは、日本と大きく違うところです。緩いところは緩いですが、締めるところは締めていて、日本よりもコントロールはできているような感じはします。
アナーバーですが、とてもいいところです。自然豊かで、鳥の声、虫の声、川の流れがあって、静かですね。蛍もいました。星も綺麗に見えますね。夏は短く、冬が長いと聞いています。8月末になってきているので、寒くなっていくのかなと思いきや、日中は25度を越える日もありますね。暑いです。渡航前にはストームがあったらしいのですが。
生活環境も徐々に整いつつあります。この1年、大事に過ごして、いい研究をしたいと思います。