ソーシャルメディアに関する授業、はじめました


今学期からソーシャルメディアの利用を中心としたCMC(Computer-Mediated Communication)に関する授業を始めました。

場所は本学に出来たラーニングコモンズのオープンスタジオです。受講者はとても少ないのですが、やる気のある学生が受講してくれました。1教養の授業なので、学生からは単位を楽に取ることが目的とされてしまいますので、仕方ないことだとは思っています。裏番組に強烈なのがあると、やはり負けちゃいますね(笑)

授業スタイルは楽しい中にも考えること、将来に結びつくように、対話式の授業をしています。ほんとに少ないので、ゼミのような感じです。コンピューターはもちろんのこと、ホワイトボード(プレゼン用)、机の上にマットのようにひくことができるホワイトボード(メモや自分で考えを整理するため)、プロジェクター(知識伝達のため)に使っています。授業資料はポータルにアップして、受講者がいつでも参照できるようにしています。プロジェクターも無線で接続でき、4つのコンピューターまで同時に画面表示できるものを導入しているので、今後、必要に応じて使って行きたいですね。
本学は地方大学であるだけではなく、山にある大学で、地理的に不利なことが多いと私は本学に来て実感しています。そのような環境下で、世界の人たちと様々な思い、気持ち、考えを共有し、成長していくことができる機会をソーシャルメディアは作ることができるように私は思います。ですが、それも使い方次第。CMCツールの特徴、使う人数だけではなく、本人がどう使いたいのかというところが重要だと思います。その中には心理的な要因も強く関わってきます。私の授業はCMCツールの紹介や使用事例を紹介するだけではなく、心理的な要因なども学習し、受講者の将来にプラスになることがあればと思います。
受講者のうち1名は4年生で今年度で卒業をします。4年生で私の授業を受けてくれるとはうれしいですね。卒業後に役に立てばと思います。2年生の子もいます。これから将来のこと、やりたいことを考えていく大切な年に入っていきます。その中でソーシャルメディアなどのCMCのメリット・デメリット、心理的要因を理解して、有効利用してもらえればうれしいです。
しかし、この写真のように対にしてホワイトボードを設置すると、興味深かったのは、書いている途中にお互いに書いていることを参照するんですよね。これはクイズ番組で何か競争させるときにボードをチーム間で対にして設置して、お互いの進捗を把握させますよね。学習においては「あれ?こういうことじゃないのか?」とか、「あのように書けばいいのか」とか、お互いに学ぶ機会になると思いました。学習内容だけではなく、いろんなことを無意識に学ぶことができるのもツールの設置で大きく変わるなーと思いました。
協調学習環境のデザインでは「可視化」というのが重要な要素となります。その可視化でも、何を意図とした可視化なのかというところも重要ですよね。私自身、勉強になりました。
今後、Twitterも使ってやっていきます。他の皆さんも、もし内容をご覧になって、お時間がありましたら、Twitter上のトークにもお気軽にご参加頂けると幸いです。

協調学習環境、特にコンピューターベースの協調学習環境(CSCL)のデザインについてはこの論文が詳しいです。

中原淳・前迫考憲・永岡慶三 (2002) CSCLのシステムデザイン課題に関する一検討 : 認知科学におけるデザイン実験アプローチに向けて, 日本教育工学雑誌, 25(4), 259-267
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003026435

現実逃避


新年度になっていろいろ仕事があって、バタバタしていました。うれしいこともありつつ、辛いこともありつつ。がんばっていきます。

ちょっと面白そうな雑誌があったので、読んでみました。TRANSIT SORA 特別編集号 特集:空港と空、美しき空の物語。もともと旅行が好きなので、こういう雑誌は好きです。成田空港での人間模様が写真で撮られているのですが、実はモデル。びっくりした。彼ら・彼女が来ていた服が紹介されている。でも好きだね。こういうの。

あと成田空港のfacts(年間利用者数、何カ国に直行で行くことができるのか、ターミナル別の航空会社)や世界の空港でデザインがすばらしいもの、おもしろいものや、ありえない空港とか。

ありえない空港でしたね。ネパールとか、ブラジルとか・・・絶対に事故起こるよね!って言いたい。ネパールのエレベスト登山者が多く利用する空港なんて、滑走路が527mだって。みじかっ!!プロペラ機しか使えないみたいんだけど、プロペラ機でも通常1000mは滑走路がいるんだって。離陸失敗したら、谷底だね。標高2800mの崖にある空港だから。

あとオランダ、インドの特集も良かったし、旅に使える厳選アイテム20とか、面白かった。

あー、旅、したいな。学部のころや企業にいた時のようなバックパッカーはもうできんのかな。したい。

博士課程進学か企業就職か(長文です)


4月になりました。学部生、修士学生は進路についてしっかり考えるべき時が来ました。学部生はまだいいのですが、修士学生は今後の人生を大きく変える分岐点にいることは間違ないです。最近、某大学の修士学生から進路について相談を受けたので、お話をします(私の出身大学や勤務している大学の学生さんではありませんので。笑)。

博士課程に進むか、就職するか。これは大きな意思決定になると思います。研究を突き進んでいきたいという思いで博士課程を考える人も多いと思いますが、博士を取ることができるか以前に、自分が博士課程でやっていくことができるのか?ということを考える必要があると思います。学部のころに企業への就職活動をしたことがある方、就職活動の最初の段階で自己分析をしましたよね。「なぜ就職活動をするのか」、「なぜ企業就職なのか」、「なぜIT業界なのか」など自分が今までした経験などを基に考えましたよね。

企業の就職活動では問われる「経験」といっても、どういうアルバイトをしたとか、どういう資格を取ったとか、それは1つの目安や話すきっかけにしか過ぎません。その経験を積むために、どういう苦労があったのか、どういう喜びがあったのか、その経験をしたことで今の自分にどう活かされているのか、それを自分のストーリーとして語ることが大変重要になります。

博士課程は内部から進学する限り、企業のような面接はないですが、自分が博士課程でやっていけるのか、自己分析する必要はあると思います。そのためには博士課程とはどういうところなのか、ここはそれぞれの学校で変わるところですが、業績が何本必要か、どういう先生が審査につく可能性があるかなどそういうことだけではなく、自分の研究以外にどういうことをやらなくてはならないのか、指導教官はどれほど自分の研究に関わってくれるのか(通常、博士課程というのは、自分で進めていくものですが。英語でいうと「アドバイザー」なので)、研究費はどれほどあるのか、指導教官の考え方と自分の考え方は合うのかなど分析する必要はあると思います。ただ研究ができればいいというわけではないです。

私が思うに、「博士課程」でうまくやっていくことができる人は共通して

・体力がある人
・プライドが高くない人
・気持ちの切り替えができる人
・ある程度、空気が読めない人
・コミュニケーションができる人
・業績に貪欲な人

だと思うのです。体力は当然必要です。博士に入学した時点でゴールは3年後です(3年で修了させてもらえない大学もあるようですが)。とりあえずのデッドラインは決まっています。それまでに業績を上げなくてはいけません。健康管理も必要ですが、「えいやー!」で乗り越えないといけない時も多々あります。もちろん、3年で修了することを希望しない人もいるので、そういう方は自分のペースでやるのがいいと思いますが、3年で修了するためには深夜も夜通しデータ分析し、論文を書くくらいの体力は必要かと思います。

2つ目のプライドについて。プライドが高い人は他の方からの厳しい意見や、研究姿勢に対して批判されると、反抗する傾向があると思います。さらにそれが指導教官とか自分より目上の人からされると、立ち上がれなくなるくらいショックを受けることが多いようです。そこから2,3日で立ち上がってくるといいのですが、タチが悪いとずっと学校に来なかったりします。「知識は十分あるのに、研究はうまくいかないこと」とか、「修士までは優等生だったのが、博士課程になったとたん、指導教官に怒られることが多くなる」とか、さまざまな辛いことを博士課程では経験すると思います。精神的にタフでないとやっていけない世界です。「なにくそ」精神は必要だと思いますが、変にプライドが高いとヘコむことが続き、立ち直れなくなります。そういう人は行方不明になったりします。これは大変良くないことです。基本的に「上から目線の人」がこういうことになる傾向が強いように思います。自分が持ち上げられている時は気分が高まって、自分が質問される側などに立って、厳しい状況になるとヘコんで、立ち上がってこない・・・これはちょっと問題ですね。

3つ目の気持ちの切り替えができる人。これも重要です。2つ目に通じることもありますが、指導教官からは手厳しい指導が入りますし、時には理不尽と思ってしまうこともあります。それで怒られることもあります。でも、気にせずに翌日は頭を切り替えましょう。それをいちいち気にしてたら何も進まないので、「すみませんでした。すぐに取りかかります」と言いましょう。よくあることです。あと、学会へ論文を出さないといけないのですが、時には返戻されることもあります。最初はかなりショックです(私も今まで8回返戻を喰らっています)。私は立て続けに最初に3本落ちたのですが、3本目が落ちた時は「悔しい」という気持ちよりも、「私はもうダメではないか」と、気持ちがズタズタにされてしまいます。

4つ目の「ある程度空気が読めない人」というのは、自分が言いたいことを目上の方にも言うことができるということです。博士課程というのは上下関係がしっかりしているところもありますので、当然、目上の方、特に指導教官や審査教官への言葉づかい、指導教官・審査教官からの指導内容に関する対応などは気をつけなければなりません。しかし、自分の考えなども指導教官方々へご理解頂かなければならないこともあります。そこは従順な部下というよりも、モノ申す部下の方がいいこともあります。またある程度KYな人というのは、上の3つがうまくできる人が多いような気がします。それは私の経験ですが。

5つ目のコミュニケーションができることなのですが、研究というのは最後はやはり個人で考えて、実施しなくてはいけません。しかし、研究について話をするとか、提案をしてもらうこと、先輩とかにいろいろ教えて頂いて、作り上げていくというプロセスも重要なのです。これはまるで1つのプロジェクトのような感じでしょう。博士課程というのは指導教官から指導を受けることが稀で、1人前の研究者になっていくための育成でもあります。そのため、指導教官以外からもいろいろな意見や知識を仕入れて、自分でやっていかなければなりません。その過程ではコミュニケーションがうまくできなければなりません。またコミュニケーションとは違う話になりますが、自分だけTakeするのではなく、相手にもGiveできるように自分も勉強し、専門家とは言わないまでも、他の研究者、指導教官よりも知識がある人になる必要がある思います。

6つ目の業績に貪欲であることなのですが、確かに業績だけを求めて研究をするのはいかがなものかと私も思います。ですが、自分が研究者として生きていくためには自分がやっていくことを周りへ公表し、議論していく場も必要になります。論文というのは、業績でありつつも、自分と論文執筆者との考えの相違を感じることができるいいものだと思います。直接的に研究に関係しなくても、間接的に読者の研究に貢献することができます。大きな目標というとそういうことになるのですが、博士課程では目の前のことになりますが、業績がなければ、修了することができません。どんなデータでも論文にする、何かしらの成果として残すという姿勢が必要だと思います。国際会議発表は博士課程の中で大変重要な位置づけになります。自分がやっていることが世界の研究者の中でどう理解されるのか、いい機会になりますし、世界の研究者とのコネクションもでき、情報交換としても大変有効な場となります。大変お金がかかることですが、論文誌への投稿や国際会議は積極的にすることが求められます。

ただ、自費でもない限り、お金は自分でグラントを取るか、指導教官に出してもらうことになると思います。後者の場合が多いと思いますが、自分で先輩、同級生、後輩から自分の研究について意見をもらい、練り上げて、指導教官に「国際会議で発表させてください」と説得できる内容にすることが必須になりますが。一種、営業活動ですよね。

長くなりましたが、もし「博士課程に行きたい!」と思う方は先輩などにお話を聞いて、本当に自分でやっていけるのかどうか、一度立ち止まって、振り返って、自己分析してみてください。

私は企業等に就職することが悪いと思っていません。企業に行っても、博士に戻ることができますが、博士に進学すると、博士の企業就職があまり支援されていない日本では企業就職が難しいと思います。今は徐々に変わりつつありますが、博士学生の採用に積極的な企業は一部研究所をのぞき、そこまで多くないように思います。また企業から博士課程に進む場合でも、自分と同年代の研究者と比べると業績数や研究能力、勘などで劣る部分が感じるのですが、企業で鍛えられると、いい面も多くあります。最近は大学側も企業経験がある大学教員へ注目していて、採用しようという動きもありますので、企業就職するというのも選択肢として含めて考えるのがいいと思います。私の周りには企業経験がないにも関わらず、マネージメントがうまい方や企業的な視点でものを考えることができる方もいますが、そういう方は企業経験がない分、その知識を忙しい時間の合間を縫って、何かしら知識と経験をつけてらっしゃいます。そういう不断の努力が難しいという方はぜひ企業就職をし、修業をされることをお勧めします。

金沢大学ラーニングコモンズ


金沢大学ラーニングコモンズの紹介をします。しいの木迎賓館に引き続き、私も設計の一部に関わらせて頂きました。またEduce Technologyの山内先生@東京大学にもコンセプトとゾーニングでお世話になりました。ありがとうございました。

増築したり、新しい建物を造るほどの予算はなく、既存の図書館の中を改築するという形となりました。それでも良いものができたと思います。

これが可動式の机や椅子が設置された学習空間です。いろんな形態に机を組み合わせることができます。まさに協調学習を行うための空間で、共同の知を創り上げることを目指したものです。

 

 

 
授業でも使用することができますが、主な利用は授業ではなく、学生が自主的に集まって、作業する場になっていますし、授業中も他の利用者を閉め出すようなことはしません。むしろ立ち見の学生が出てくれたらうれしいと思いますし、それを狙いたいです。

個別のグループで使用できるホワイトボードも用意しました。またプロジェクターとスクリーンも3つ用意してあります。スクリーンは備え付けを考えていましたが、机は可動式ですし、周りの状況でどこに設置するか変わると思いますので、備え付けでなく、持ち運びするものにしてあります。

あと、グループ学習をすることを前提にした空間ですので、WIVIAを用意しました。無線でプロジェクターに接続できるのはもちろんですが、グループメンバーのパソコン画面を最大4人までですが、同時に投影するすることができます。無線接続になるので、このあたり、本学の学生はコンピューターの操作能力がやや弱いので、不安ではありますが、これはいいツールになると思うので、私も積極的に使用したいと思っています。

2階(入り口階)にはカフェができます。お店の名前も募集したところ、「ほん和かふぇ」という名前になったそうです。ここもプロジェクターとスクリーンが用意されています。スクリーンは電動で、備え付けです。ここではサイエンスカフェや気軽にコーヒーを飲みながらできるゼミなどができるように考えています。

前はここでは新聞と海外の番組を見ることができるスペースだったのですが、その機能も引き継いで、テレビも新聞も見ながら、カフェを楽しむことができます。メニューも充実しています。コーヒーも150円から飲むことができ、学生価格になっています。コーヒーだけではなく、紅茶、抹茶ラテ、ジュースなど飲むことができます。他にもケーキやちょっとしたサンドを食べることもできます。1.5Lのコーヒーも用意してくれます。何かイベントをする時にでも気軽にお願いできそうですね。サンドとコーヒーのセットで400円は安いですよね。

さてさて、あとは学習支援ですね。ココが胆です。学習支援策とツールの増強、学習支援者育成の問題ですね。何を学習支援するか、いろいろアイデアはあるので、ここは図書館の皆様とお話をしないといけないですね。大きな課題は1人で学習したい人とこのような学習空間との共存が図書館では考えていかないといけないのですが、本学図書館は2階、3階が吹き抜けになっておりまして、音が響くかもしれない・・・と心配ですね。でも、静かに学習する空間から脱却することを目指しているわけなので、試し試しでやっていくしかないですね。ここは。