しいの木迎賓館のアクティブラーニング教室


しいの木迎賓館の3階はセミナーで利用できる階層になっています。3階のアクティブラーニング空間のコンセプト検討・作成、空間の一部設計、ここで行う学習形態の検討に関わらせて頂きました。

 

 

 

机が組合わさっているところを見ていないのですが、いい感じでした。机が結構軽く、グループが組みやすいですね。しいの木迎賓館ではおそらく、アクティブラーニングの支援が必要になるとは思うのですが、ICTの利用支援スタッフの方は常駐して下さっているのですが、大学内ではないですし、東京大学KALSのように、教育を専門とされるスタッフがずっと常駐されるわけではありません。ですので、グループワークなどの学習者中心の学習を促進する1つの仕掛けとして、いすの色を分けました。

この色分けに意味を感じて、動いて下さって、問題解決学習、プロジェクト学習など、学習者中心の学習形態を導入して頂ければと思います。非常に表層的で単純なことかもしれませんが、色というのは結構注目されるものですし、この教室の利用事例を簡単に説明すると、この色を使って工夫して下さる先生もいらっしゃるのではないかと思ったのです。同じ色のいすに座っている人でグループを組んでもらってもよいですし、その後に、各グループから1名ずつ集まって、情報共有するなどのグループを再編するというときにも使えます。また学習者の属性とこのいすの色を合わせて使ってもらっても良いかと思います。ホントにお恥ずかしい限りの小さなことなのですが、使えるかなと思いました。

 

あと3面ホワイトボード、スクリーンも備わっていて、いろんな形態の授業を組むことができますね。小さなホワイトボードも用意していますので、各グループでそのホワイトボードを利用してもらって、グループ内の学習を活発にやって頂ければ幸いです。みなさん、どのように利用されるのか、楽しみです。
もちろん、他の支援も必要になってくるのですが、ここも今後、考えていきたいと思います。

 しかし、このレストラン、すごいですね。ジャルダン ポール・ボキューズというレストランらしいです。フランス料理のレストランで、東京、大阪にもあるそうです。私のような貧乏教員にはなかなか入りづらいですね(笑)1階にもこのレストランのカフェがあるそうです。私はこのようなレストランが入ることは知りませんでした。タクシーの運転手から聞いてびっくりしましたよー!

 

高級そうだ。餃子の王将好きな私はなかなか縁がなさそうな感じ(笑)緊張して手がプルプルしそうだ・・・私みたいな人は行っちゃダメなんだろうね。

しいの木迎賓館は兼六園、21世紀美術館、金沢城に囲まれた大変いいところにありますし、香林坊にも近いので、空港バスにもすぐ乗ることができるので、交通の便は大変良いと思います。セミナーなど開催される時はぜひお使い頂ければと思います。2011年5月に私は金沢で日本教育工学会の研究会を開催しないといけないのですが、規模が小さければここでやってもいいかもなんて思ったりもしますが、会場料金もありますし、もう1つの教室は講義型の教室で、最大で借りることができても2教室までなので、難しいかな。やっぱ、大学か。

しいの木迎賓館アクティブラーニング教室のゾーニングにご助力を頂きました、Educe Technologyの山内先生(東京大学 大学院情報学環 准教授)には感謝致します。ありがとうございました。

しいの木迎賓館
http://www.shiinoki-geihinkan.jp/about/shop.html

アクティブラーニングについて思う


今年に入って、アクティブラーニングに関するイベントの企画をしたり、そういうイベントに参加したり、私自ら講演したりしています。
今になって思うのですが、アクティブラーニングって何のことを言うんでしょうね。東京大学のイベントの時に、中原先生@東京大学がアクティブラーニングという言葉が言われ始め、人によって言うことが違い、アクティブラーニングについて話す人の数だけアクティブラーニングの考えがあるといったことを言われていました。中原先生のお話では「インプットートランスフォーム(自分とは異なる他者と触れることで一回り大きくなる過程:ロゴフの話が入っていてわかりやすかったです)ーアウトプットが有機的につながっている学習形態」というように言われていたように思います。人によっては問題解決学習、プロジェクト学習などの学習者中心の学習形態のことを言い、人によっては演習型だろうが、講義型だろうが関係なく、学習者の主体性を引き出すことができる仕組みが入ったものと言います(後者の方がしっくりしますね)。
ちょっと心配になるのは、「アクティブラーニング」という言葉が先行してしまい、意味も乱立し、結局何を意味しているのものなのか、わからなくなってしまうことと、なんでもかんでもアクティブラーニングという人が出てくるということです。
前者の方は学会とか、シンポジウムがある度に「アクティブラーニング」をどういう意味合いで使用されているのか、確認しないと行けないのが嫌ですね。溝上先生@京都大学が2007年に名古屋大学の高等教育関係の紀要でアクティブラーニングについて整理されていらっしゃいますが、溝上先生もあの紀要で書かれたことをもう一度整理しないと行けないとおっしゃってました。溝上先生が書かれた2007年から3年の間でもこのアクティブラーニングという言葉はいろいろ解釈され、混沌としているのだと思います。
後者の方は教育においてはいつも問題になるようなことだと思います。ICT、特に流行の技術がちょっと出てくると、それを宗教的に信じて使ってしまう傾向。それと似たようなもので、なんでも「アクティブラーニングがいい、導入すべき」と言っちゃう人が出てきちゃうんですよね。これは困ったものです。しかもこの言葉自体がいろいろな解釈を生んでいることをわからずに・・・どういう意味なのかにもよりますが、例えば、問題解決学習やプロジェクト学習のような社会構成主義的学習観に立つ学習形態のことを指すのであれば、そういう学習形態が合うものと合わないものがあると思います。2月22日に私がいるセンターが主催しました「アクティブラーニングが創る大学教育の未来」では「そもそもアクティブラーニングをする必要はあるのですか?」というコメントがありました。この学習形態のことをアクティブラーニングというのであれば、その通りでしょう。必要がない、というか、合わないものがありますよね。
しかし、学習者の主体性を導きだすための仕組みが組み込まれた学習形態/モデルという意味になるならば、必要です。それがない授業はまずいでしょう。この話であれば、アクティブラーニングをやらないといけません!という主張は理解できます。ですが、この話は言葉が変わっただけで、ここ何十年もずっと言われてきていることなので、ここで敢えて、どうするものなのか?という疑問はあります。
ここ数ヶ月、アクティブラーニングについていろいろ関わることが多かったです。渡辺君@首都大からは「なんか、アクティブラーニングという言葉が金沢から聞こえますね」と言ってもらえたのは、なにかしらいろいろ頑張ったからかなとありがたい気持ちになるのですが、気をつけて考えて進めていかないと行けないことだと思いました。あと宗教的にハマる先生や宗教的にアクティブラーニングを連呼する先生を我に戻すのも忘れないようにしないといけませんね。

シンガポールの教育


現在、私たちの身の回り、使用する電子機器、生活環境が大きく変わりましたし、それに合わせて学校で教わるものも少し変わってきました。何か、大学で教育していたものが高等学校へ、中学校へ、小学校で少しずつ落ちてきているようにも思えることもあります。一番最後に影響を受ける小学校は小学校英語、情報科目、小学校によってはコミュニケーション能力の育成のための授業を行うなど、小学校が大きく変わりつつあります。

今後は小学校から将来の人材育成を考えて、必要であれば新しい科目を追加し、カリキュラムが検討され、授業が行われていくんだろうな・・・そんなことを考えていた時、シンガポールに昔行ったことを思い出します。赤堀先生とベネッセコーポレーションの方々と一緒に学校視察に行きました(この頃はまだ博士1年で、今のポジションにつくなんて考えてもなかったです)。

シンガポールの教育熱はまるで15年前くらいの日本を見ているようでした。基礎学力の育成に熱心で、教育熱心な親が大変多いです。たぶん日本より過激で、小学校から国家試験、この小学校6年くらいで受験する試験で大学にいくことができるかどうか、決まるんだそうです。シンガポールは小さな島国ですし、資源も何もなく、「人材こそが資源」と政府の明確な方向があり、人材育成はしっかりやっているということです。人材流出を避けるためにもパスポート更新は2年、留学に出るときはデポジットで100万円だから200万円だか、政府に納めないといけないということです。

シンガポールでは英語教育も盛んで、幼稚園の頃から始まります。小学校では主に中国語と英語が使用されます。タミール系の方もいるので、タミール語も使用されているところもありますが、中華系、タミール系の学校と外見上別れているようにも見えます(もちろん、中華系の学校にタミール系の生徒もいるのですが)。この幼児期からの2ヶ国語教育ですが、シンガポールの「落ちこぼれ」を生む大きな原因になっているんだそうです。日本人でシンガポールで生活している方とお話しすることができましたが、この2ヶ国語学習はかなり重いそうです。中華系の方にとっても、親が英語を話すことができないことや、中国語でも書き言葉を教えることができないこともあり、中華系のお子さんにとっても、厳しいところがあるそうです。

シンガポールでは小学校での授業にIT機器が積極的に使用されています。PRSで、授業中に数学の4択問題を出して、生徒に答えさせ、その回答が違う子でグループを組み、数学の勉強をするとか、自分で英語教材をFlash で作ってみるなどの授業があり、おもしろかったです。小学校で1つのeラーニングを提供し、自宅でも学習ができるような仕組みを作っているところもありました。その「落ちこぼれ」を救うために、レベル分け行い、英語能力の定着のため、eラーニングとのブレンドで学習をさせるようなところもありました。日本と同じような、教科の理解を深めるという道を歩まないで、社会で求められるような、ソーシャルスキルや問題解決能力の育成を教科教育で行っているのは面白いですし、日本ではこうはいかないと思いました。

日本の小学校でははシンガポールほど、コンピューターのソフトウェアが充実していませんし、指導できる内容もかなり限定されていて、シンガポールほどの積極的なIT使用は難しいと私は思いますが、ITを使わなくてもできることもありますし、教科教育の中でも、単に学習項目の学習をさせるのではなく、指導方法についてもいろいろな方法があると思います(それは日本でも研究されてきているので、ここで触れることではないと思います)。

それ以上に、私が覚えているのは、学校現場の教員であっても、数年の教務経験を持ったあとにNIEにいって、教育学修士のコースに入って勉強することや、企業の人たちと研究するなどして、実際の現場で活躍している人材がどういうものなのかということを意識し、勉強して、また教育現場に戻っていくというサイクルができていると思いました。もちろん、小学校から「企業ではこんな人が活躍しているから、そんな風になりなさい」とか「君たちは将来企業に行くのだから・・・」とか、そんなことを言うのではないですよ。大学や企業で行われている教育形態や能力を小学生の指導レベルに落として考えるということです。教育現場の教員であっても、単に授業ができる、学級運営ができるだけでは足りない。将来の人材育成を見据えるということが大切で、今後日本でも求められるのかなーと思いました。