最後の論文編集委員会


とうとうこの日が来ました。10年務めた日本教育工学会論文編集委員会を退任しました。10年か・・・長かったです。1つの委員会で10年ってないですよね?(笑)本当は昨年、やめようと思い、退任の可能性といいますか、「退任するにはどうすればいいのか」委員会の場で聞いたのがまずかったのか、山内委員長@東京大学から、委員会後に「山田さん、やってもらいたいことがあるので、まだやめないでね」と言われてしまい・・・その「やってもらいたいこと」というのが、教育システム情報学会の英語論文誌との合同英文誌”Information and Technology in Education and Learning (ITEL)”の立ち上げでした。JSET側の立ち上げメンバーとして本当に微力ながら(結果としても本当に本当に微力でした)関わりました。ITELも無事に立ち上がり、編集委員会委員も節目となる10年ということで、退任をさせて頂こうと思い、山内委員長よりご了承されました。

Information and Technology in Education and Learning (ITEL)
https://www.j-itel.org/
是非、ご投稿ください!!

とても良い勉強になりました。非常に素晴らしい学びの場でもありました。研究者としてのキャリアを伸ばしてくれた、最高の場でした。担当の他、査読もするのでとても負荷が高いのもありました。論文投稿しかしたことがなかった身で、裏側ではみんな、ボランティアでここまで自分の時間を使って動いていて、編集委員会のみなさま、査読者に対して改めて感謝の気持ちも出ましたし、こういうことに今度は自分が関わっていくんだと期待という気持ちもありました。研究領域として発展させるコアコンテンツなわけですから、それは本当にうれしいことでした。

研究として優れたものを出していく使命をもちながら、自分の研究者としての目も養われました。論文を良いものにしていくにはどうすればいいのか、今から3代前の編集委員長だった淸水康敬先生の時より委員をしておりましたが、淸水先生がどのような投稿論文も必ず良い点があるとおっしゃってられました。それはその通りであるというのはこの10年通じて、思っているところです。その良い点を研究としてどう昇華させるのか、その支援をするというのが、査読者の役割でしょうし、編集担当の役割なのだろうと思います。

とはいえ、査読回数を何回も設定すれば良いと言うことではありませんし、投稿前にはそれなりのものにして頂くのは著者として検討してもらわないといけないわけですが・・・査読者、編集担当も個人の時間を使って見ているわけですし、投稿原稿修正マシーンではありませんから。ある程度、研究能力と論文執筆の力について素養がある、または指導教員や研究チームで支えあって、査読に回せるレベルに仕上げてきていることを前提にはしているのです。論文の修正可能性の見極めなども感覚的なものですが、わかるようにもなりました。これは自分の学生指導にも活きています。いうなれば、研究室内で査読をしているわけですので、それがそのまま活きます。研究室内でAcceptが出たら、それはお外に出して、外部の研究者の目からフィードバックもらうことにGoサインを出しますし、Rejectならば、表に出せないという判断になります。

いろんな領域の方々が編集委員会入りし、それぞれの立場からの論文の見方があることも勉強になりました。「なるほど、そういう見方があるのか・・・」と。特集号編集委員会には確か4回くらい、副委員長、幹事を担当しました。これが結構重いのですが、一番勉強になったと思います。論文の採否判断、その結果の妥当性など全体的な目から判断するわけなので、特集号は1巻きりですが、論文誌を作り上げていくプロセスを学ぶことができます。総説論文、展望論文も書かせて頂きました。これも自分の専門を活かしながら、その総説・展望の役割を考えながら書くことが勉強になりました。

なかなか言い尽くせないのですが、自分にとって、研究者としての駆け出しにあたる30代にこのような貴重な経験をさせて頂き、本当に感謝しています。40代になって数年が過ぎていますが、研究としてそろそろ次のことをいろいろ考えないといけないのかなと思って言います。そういう意識にさせてくれたのも論文編集委員会の場だったかもしれません。幸いに理事というお役目を頂き、春季全国大会の担当をしております。これもその1つと思っています。

さて、編集委員会を退任するにあたり、私が感じることは、ぜひいろんな方に編集委員会に関わってもらいたいと思います(とはいえ、誰でもなることができるわけではないのですが・・・)。過去やった方をぐるぐる回るのではなくて。編集委員会はいろいろ大変なこともありますが、研究者キャリアを高めていくのに重要な場だと思います。教育工学研究のおもしろさと課題、今後の展開を感じることもできると思います。今後の展開を考えるのは楽しいですよね。特集号というのはまさにそういう意味があり、それに関わるのはよかったと思います(ほんと幹事団は重いですけどね)。

これからも、様々な方、特に研究実績のある若手が編集委員会にからみ、研究者キャリアをたかめ、教育工学研究の発展に力を出してくれるとうれしいです。私は一会員の立場から応援したいと思います。

IEEE ICALT 2020で発表します


新型コロナ禍はなかなか落ち着きませんね・・・落ち着きを見せ始め、いろいろ行動規制が解除されるなか、再び、感染者が増加しています。私が関わっている日本教育工学会も、秋季全国大会はオンライン開催となりましたし、私が発表参加する予定の教育システム情報学会全国大会もオンライン開催となりました。

#日本教育工学会では座席位置と自己調整学習の関係性について発表します
#教育システム情報学会ではAIP加速研究の成果として、学習ダッシュボード
#”メタボード”の形成的評価について発表します

国内では日本教育工学会春季全国大会を皮切りにオンライン学会が進められ、国際会議でもオンライン開催の流れは当分続きそうです。IEEE ICALT 2020も私の研究室から2件発表予定ですが、オンライン発表でした。現地開催ならエストニアだったのですが・・・とてもいいところで、前回、ICWLという国際会議が開催された際にいったのですが、Skype本社へ訪問もさせてもらいました。国としてIT化がかなりすすんでいる国ということで興味がありますね。さまざまな行政的な手続きがオンラインですすむという、日本ではなかなかないことで、うらやましいです。

今回、IEEE ICALT2020では下記の2件を発表することになります。2件ともにShort paperですが、もしご興味がありましたら、聞いて下さいますと幸いです。参加だけなら50ユーロらしいです。

Geng, X., Xu, Y., Chen, L., Ogata, H., Shimada, A., and Yamada, M. (2020). Learning Analytics of the Relationships among Learning Behaviors, Learning Performance, and Motivation, Proceedings of IEEE ICALT 2020, in printing

これは昨年度実施したラーニングアナリティクスの高校への展開として、数学をフィールドに、インストラクショナルデザインの1つであるARCSモデルの評価指標 Course Interest Surveyと学習ログとの関係について分析したものです。習熟度別3クラスで授業が実施されていますが、そのクラス間比較なども行っています。授業デザインと学習行動の分析はあまりされていないのですが、効果的なインストラクショナルデザインを検討する1つの重要な観点になります。これまで質問紙で評価していたものが、行動レベルでも評価することが可能となり、授業改善へのフィードバックに対して必要なことを検討することができます。

Chen, L., Xu, Y., Geng, X., Ogata, H., Shimada, A., and Yamada, M. (2020). Do Difference Instructional Styles Affect Students’ Learning on Summer Assignment?, Proceedings of IEEE ICALT 2020, in printing

これは高校における夏休みの宿題(の一部)における学習行動の分析についての発表です。データは数学のみを使用しています。夏休みの宿題って、アジア圏の文化みたいですね。欧米では、すべての国・地域がそうではないとは思いますが、休みなんだから、休むべきという考えのようです。とても真っ当な考え方ですね(笑)。ですが、査読者にそのあたり、理解してもらえなかったのですが、夏休み等長期休暇という、先生が生徒を対面にてモニターできない状態における学習行動分析をしています。今回分析対象としているデータはBookRollにて提供した夏休みの宿題の一部で、必須ではないものですが、行うことを推奨されているものです。だいたい想像がつくように、先延ばし行動が全体的にみえるのですが、それでもクラスによって特徴がありました。夏休みの宿題における先延ばし行動は予想はできますが、だいたいいつぐらいから、どのように学習しているかわかりませんでした。しかし、ラーニングアナリティクスによってこのようなこともわかりますし、この分析を参考にして、2学期の授業などを検討することができます。

今年度はオンライン学会・国際会議が続きそうですが、できることを着実に行い、実践展開ができるラーニングアナリティクス研究を進めていきたいと思います。うちの学生たちもLAK2020に引き続き、がんばって成果を出してくれています。IEEE ICALT 2020のプログラムはこちらに掲載されています。

https://icalt2020.ut.ee/program

#Dirk先生、Keynoteされるのですね。