九州大学でもラーニングコモンズでの授業をスタート!


QuteCommons九州大学でもラーニングコモンズでの授業をスタートしました。学部の専門科目「教育情報工学」です。最初はコンピュータールームで行っていたのですが、やはり固定化したコンピューターの前で、フレキシブルに授業形態に対応できない教室で、議論を中心とした授業をするのは困難ですね。学生さんに聞いても、「こっちの方がいい」という声が全員からありましたし、ラップトップも各自で持っているということでした。iPadも図書館で借りることもできるので、ラーニングコモンズで授業をすることにしました。

壁の一面全体がホワイトボードになっているので、そこにスライドを投影させて、受講生たちはホワイトボードを活用して、議論をしています。授業はジグソー法を用いてやっています。事前に複数の課題文献を与え、どの文献担当かを割り振って、読んできてもらっています。授業はほとんど相互理解を深めることや議論、プレゼンテーションと質疑応答に費やします。最後の15分くらい、ラップアップで私がポイントを説明して終わります。復習となるミニッツペーパーらしき極小レポート(笑)はフェイスブックで行っています。しかし、課題とする文献はだいたい20ページくらいあるのに、受講生はしっかり読んで、わからないところのチェックや自分の考えをある程度整理してくるなど、すばらしくがんばっています。

やはり固定化された空間よりも、自由に行き来し、学生の学習行動を支援する学習空間は大事ですね。山内先生@東京大学が「学び」の認知科学事典で、「学習者中心の学習に移行するには、学習観の変化や授業のやり方を変えるだけではなく、学習のあり方を規定する空間そのものを変える」とご指摘されているのですが、そうだと思います。さらに言うと、この空間を使って、授業観が変わる可能性もあるのではないかと思っています。本学ももうちょっとこういう学習空間が増えるといいのですが(全部の教室を変えて欲しいのですが・・・笑)。シンガポールのNIEはほとんどの教室がそういう、授業形態にフレキシブルに対応できる教室でしたね。壁にはスクリーンではなく、ディスプレイがありました。さすがシンガポールです。アジアを越え、世界の大学を目指す国は格が違います。でも、壁全面がホワイトボードになっている教室は私が見た限りはありませんでした。もうちょっと探索したらあるかもですが。

壁全体のホワイトボード、かなりいいですよ。

九州大学 人間環境学府で教育工学を学びませんか?


私は基幹教育院を本務としながらも、人間環境研究院 准教授を兼任している関係で、教育学部と人間環境学府でも授業の担当をしています。この度、平成25年度10月入学、ならびに平成26年度4月入学希望の修士学生の研究指導をすることができるようになりました。入試の情報がこちらにありますのでご参照ください。下記に私が行っている研究テーマ、入ってきて欲しい学生像など書きたいと思います。

私が行っている研究テーマは件名でも書いているとおり教育工学なのですが、その中でも学習環境デザイン、特に、社会構成主義的学習観に立脚した、情報通信技術(ICT)を利用した協調的な学習環境デザイン研究を中心に進めています。教育現場・学習の場に協調的な学習を行うためにどのようにICTを導入すべきかというテーマから、協調的な学習を支援するためのシステム開発と評価、その普及、最近は大学図書館で建築が進められているラーニングコモンズにおける学習支援環境の構築など、物理的な教室環境・学習環境のデザインと、そこで行われる学習支援、スタッフ育成に関する研究・実践も行っています。得意なのは、デザイン・開発・評価という、いわゆる「つくる系」の研究です。具体的な研究の内容やプロジェクトはプロフィールプロジェクトを参考にして頂ければと思います。

どういう学生さんに来て欲しいかというと・・・
1:ちゃんと研究をしたいという学生さん
大学院はスキルを身につけるところでなく、研究をするところです。さらに教育・学習の研究は国内だけではなく、海外でも数多くされており、国際論文誌などの海外の研究知見についても理解していくことが、教育・学習の研究においては不可欠です。英語が苦手という方も多いと思いますが、今は苦手でも、乗り越えていくという気持ちが大事です。「苦手だから、読まない、やらない」という選択肢は、この分野ではあり得ません。自分でわからないことも調べて、わかるようになっていく、それを批評し、自分の研究に活かしていくサイクルは修士でも、博士でも、一般社会でも求められます。

2:アクティブな学生さん
待っていては何も機会も得られないというのが、大学院です(学部でも同じかな)。当然、企業等の社会でも同様です。国内外で学会発表、国際会議発表にチャレンジすることなどを通じて、4番目に関係しますが、国内外の研究者や学生さんなど、仲間を増やして欲しいと思います。また授業で得られる知識だけで研究はできません。研究に関わる知識、スキルはどんどん勉強して、身につけていってください。すべて「教えてもらえる」という意識では大学院は全うできません。これは九州大学だけではなく、他の大学でも同様です。

3:エネルギッシュな学生さん
体力だけではなく、熱意や誠意も必要です。熱意や誠意があれば、伝わることもある。これは研究でも企業等社会でも同じです。でも、情熱だけではいけません。それで科学的根拠もなく、気持ちだけで空回りしては意味がありません。そこは注意しましょう。

4:コラボレーションが好きな学生さん
みんなでお互いの研究や研究室で行うプロジェクトを助け合って、成功させていくこと、それを通じて、自身も成長させていくこと。

あと、社会人学生についてですが、働きながら大学院に進学し、研究をしたいという気持ちはすばらしいものです。しかし、その選択は、業務命令でない限り、やはりご自身されたことで、体力的にも精神的にもきついことが多くなることは覚悟された方が良いです。研究のクオリティーとして、社会人だから甘くするということはあり得ない話です。求める研究のクオリティーはプロパーの学生でも、社会人でも違いはないです。国内外、特に海外の研究文献にあたり、独自性のある研究を行っていくことは、社会人とか、学部からそのままあがってきた学生と行った立場には全く関係のないことです。時間を作って、マネージメントをして研究をしていくこと、その大変さに立ち向かっていく覚悟がある社会人学生は、大歓迎ですし、ちゃんと研究指導をしていきます。

私の願いですが、私は研究室に所属する学生には、どの進路に進むにしろ、積極的に、活発的に、将来の専門家として、そのポテンシャルが発揮できるように育って欲しいと願っています。そのためにも、自分で国内外の様々なリソースを探し、学習機会を積極的に見つけ、成長していって欲しいと思います。修士もそうですが、企業・官庁自治体などに行っても、また博士課程に進学しても、なんでも0から教えてもらえるということはまずないです(社会人学生なら身にしみて、理解されていると思います)。何がわかっていて、何がわかっていないのか、それがわかるためにはどうすればいいのか、どういう方法で学習(仕事)することが自分に向いているのか、専門的にいうと、メタ認知を発揮をして、行動に移すことが求められます。これは私の学部での授業方針もそうですし、修士であればなおのこと、意識してやっています。そういうことをみんなで学んで、お互いに助け合い、成長していける研究室にしたいと願っています。

大学院は厳しいところでもありますが、楽しくも、辛い、でも仲間もできて、助け合いながら、乗り越えていける、自分を大きく成長させる場でもあります。そこで得たものは、教員や研究者にならなくても、そういう進路・職に関係なく、必要なことで、決して無駄になることはありません。進路の選択肢の1つとして考え、直接お話を聞きたい方はmark[at]mark-lab.netまでご連絡下さい。その前に、ちゃんと入試までのスケジュールを確認するようにしてください。

初等中等教育を中心とした教育方法論や、教授ストラテジーにご興味がある学生さんや、調査方法として参与観察のアプローチで研究をされたい学生さんは、本学には田上哲先生や久米弘先生という専門家もいらっしゃいますので、進学先の選択肢としてご検討頂けると幸いです。

これからの人材育成を支え、世界に貢献したいみなさん、ぜひお越し下さい。楽しみにしています。

共著の論文が採録されました


既に、東京大学の藤本先生からTwitterやFacebookでご報告がありましたが、藤本先生と共著の論文が日本教育工学会論文誌の特集号に採録となりました。査読・判定のご担当をしてくださった先生方におかれましては、ご指導を頂きましてありがとうございました。

藤本徹・山田政寛「インフォーマル・ラーニングにおけるゲームの教育利用に関する評価の現状と今後の展開」

教育工学会論文誌の37(3)に掲載される予定です。今まで、藤本先生と2年間一緒にレビューしてきた内容を日本教育工学会の全国大会課題研究で発表をしてきましたが、その内容を整理し、インフォーマル・ラーニングの軸で再検討したものになっています。私自身、ゲームの教育・学習利用、また教育・学習ゲームの開発研究は2006年頃から国際会議でモニターをしてはいましたが、わからないことも多くあり、私が大会企画委員をする時に、ゲームの教育・学習利用に関する課題研究セッションをスタートしました。2回目からは藤本先生にご協力を得て、やって参りました。この課題研究におけるディスカッションをより良いものにすること、また日本における同研究分野を発展させるために、この分野で研究をしていきたいと思っている方や、既にしているが、教育・学習の理論に沿ってやっていきたいと思っている方向けに有効な資料を作っていくこと、これが大きな目標だったように思います。1つ、大きな区切りになったのはないかと思っています。

さて、次は何をするかですね。先週、藤本先生と打ち合わせをしてきましたが、先行研究や世界の動向を追うとともに、やはり、今度はゲームの開発・評価というのもやりたいと思いました。実践・理論・評価とやってきたので、次は開発して、評価してみたいですね。これからが楽しみです。