前期授業が終わる


前期授業「教育情報工学(学部)」、「教育情報工学(修士)」が終わり、1週間ほど過ぎました。受講者は少なかったですが、ゼミのように進めていき、議論中心の活発な授業ができたと自分では思っています。

学部向けの教育情報工学では(半)ジグソー法を授業デザインに使い、進めていきました。毎週2、30ページの文献をいくつかのタイプを用意し、担当を割り当てて、読んできてもらい、授業では同じ文献を読んだ学生同士でグループを組み、内容の理解をしてもらう。異なる文献を読んだ学生さんたちと再度グループを編成して、テーマについて議論をしてもらい、発表をし、質疑応答をするという形です。完全なジグソー法ではないのですが、しっかりと議論をしてもらうにはこのくらいの授業デザインが適切だろうと思い、進めました。

毎週、2、30ページの文献を読むというのはかなりハードだと思うのですが、しっかりとついてきてくれました。議論も活発になりましたし、授業で学んだ内容や活動の概要、自分の考えをFacebookで書いてもらうのですが、内容も大変しっかり考えられていました。議論では出せなかった意見、私が指摘した点についての反論など、とてもすばらしい内容が書かれていました。授業の前半部は理論的な話が中心で、後半は実際に教育工学・学習科学の研究知見で生み出された学習・教育支援システムに触れてもらい、理論と突き合わせながら、システムの良い点・改善点・評価方法などを考えてもらうなど行いました。実際にシステムに「触る」という体験はいいですね。理論との接点が見えてきます。理論がどのように使われているのか、ここを知ってもらいたいので、システムに触れるという体験はこれからも取り入れていきたいです。

しかし、私は教育情報工学の内容を理解してもらいたいというのはあったのですが、それ以上に、文献の読み方、タイムマネージメント、コラボラティブにタスクを行う方法、情報の整理・統合、即興のプレゼンテーションなど、今後、彼ら・彼女らが社会から求められる技能を身につけて欲しいと思っています。学部向け教育情報工学ではこれらの活動が必ず入るようにしています。最終回でこのことについて説明しました。内省をし、ぜひ活用してもらいたいと思っています。

修士向けの教育情報工学も、毎週、英語の論文を渡して、読んできてもらいました。毎週20ページほどの英語の論文を読むというのは、修士にとってはかなり重い課題と思いますが、やってよかったと思っています。修士の中間発表会を見てきましたが、やはり先行研究のレビューがうまくできていない学生が多いと感じました。なので、根本的な質問が出されてしまい、回答できないという状況があると。英語から逃げている感すらあります。これは大変良くないことです。研究としての独自性を問われても仕方ありません。極論、「あなたの研究は既にされているので、研究じゃないです」と言われることも覚悟しないといけません。これは辛い。

私は教育の研究はもはや、世界、どこでも似たようなことがされているという認識でいます。日本国内の論文のみをレビューし、「これまでに○○な研究はない」と言われても、説得力がないです(「ないこと」を証明するのは難しい。北村先生@東京経済大学の名言)。海外の文献にも当たり、自分の研究の立ち位置を考えてもらいたい、それを今後の研究に活かしてもらいたいと思っています。修士学生さんもしっかりついてきてくれました。ほぼ毎週、論文を読んで考えたことなど書いてもらうのですが、自分の研究分野に照らし合わせて書いてきます。今後の研究が楽しみです。

私の授業はかなり文献を読んできてもらいます。来年度からは図書館との連携も考えて進めたいですね。文献リストはあるのですが、それを図書館のカタログと連携させてもいいかもしれません。来年度も受講者数が今年程度(10名前後)であれば、ラーニングコモンズで授業をします。やっぱりラーニングコモンズで授業をして良かったです。今の箱崎の中央図書館ラーニングコモンズは、やはりちょっと小さいので(あのでかい目録カード入れや、でかい本がある書架を一部でいいからどこか移動させて、もうちょっとスペースを大きくして欲しい)、新図書館が早くできるといいなあ。

いろいろ学んで欲しいことを授業デザインの中に取り込んで進めてきました。最終レポート提出の際もメールで、学んだことを活かしていきたいというコメントもありました。この授業デザインで進めて良かったと思います。今後の受講生たちの活躍を祈っています。がんばってください。

最後にこの授業のためにシステムの提供、論文を下さりました、鈴木栄幸先生@茨城大学、加藤浩先生@放送大学、舟生日出男先生@創価大学、望月俊男先生@専修大学、藤本徹先生@東京大学に感謝を致します。ありがとうございました。