九州大学 山田研究室

課題協学で反転授業を行ってみた

2015年04月13日

今日から新学期の授業がスタートします。私のスタートは課題協学からです。さて、昨年度後期の課題協学で、反転授業を取り入れてみました。課題協学科目について詳しくは基幹教育紀要の創刊号をご覧下さい。

基幹教育紀要
http://www.artsci.kyushu-u.ac.jp/kikanbulletin/

前半の2回は内容理解を深める回で、後半2回はアウトプットの回にしています。ですので、前半の2回に反転授業を入れています。それを3クラス分行います。Adobe Presenter 10(Win)を購入し、スライドと音声を同期させて映像化した教材をHTML5ではきだすようにし、公開しました。HTML5なので、スマートフォンでも見ることができます。回線スピードのことも気になるので、私が話している動画はいれませんでした。1本15分程度のもので、授業前に見てきてもらって、事前課題としてA4で1枚程度のノートを作成してくるものにしました。そのノートを対面授業で行うグループ学習のグループメンバーの人数分と教員への提出用を印刷してきてもらい、授業ではやってきていることを前提にグループ学習からスタートさせました。グループ学習では作成してきたノートを共有し、その共有を前提としたグループワークになります。相互に情報のまとめ方や書き方も参考にして、学習になるのではないかと期待して行いました。

課題協学科目は2コマ連続とはいえ、何気に時間は足りなくなるので、講義を入れていると、グループ学習も含めた時間配分など設計を細かくする必要があると感じているのですが、反転授業を取り入れて、グループ学習からスタートできるので、ゆとりのあるグループ学習を取り入れることができるようになりました。事前課題の提出率は気になるところですが、1回目は未提出者がいますが、それでも95%以上の学生はやってきて、提出しました。2回目の授業は全員出しましたね。

実際に質問紙で評価を行ってみました。どういう評価になったかと言うと・・・
ざっくり言うと、「事前に学習する負担が重くなったこと」、「授業がグループ学習がほとんどになってしまうことに負担を感じる」という意見が多くありましたが、「授業に臨む姿勢ができた」こと、「内容の理解が進んだこと」はポジティブに評価されています。また「このような授業スタイルが自分に合っているか」については、若干「そう思う」と回答した学生が多かったように思います。他の授業もそのようにした方がいいか?については、不思議と「あまりそう思わない」、「どちらでもない」という学生が多かったです。コンテンツ依存というのもあるのかもしれません。あとスマートフォンで事前学習教材を見ることができるようにしてあるのは、かなり好意的に受け入れられていました。でも「どこで事前学習教材を見ていたか」複数選択で聞いたのですが、不思議と「自宅」と回答した学生が大半でした。ところどころ、通学中や移動中という学生がいました。ノート作成という事前課題との関係があるからでしょう。まだデータを整理して、グラフ化していないので、不明な点もありますが、ざっくりとみるとそんな感じに見えます。

FLITの講演会で向後先生のご実践についてご講演がありましたが、大変参考になりますね。向後先生はクイズをされているとか。課題協学科目で行うとすれば、自分の考え方を選択肢で選ばせ、その理由、根拠をLMSの課題で書かせたり、電子掲示板に書かせるというのも一案かもしれません。

FLIT公開研究会:学習効果を高める反転授業のデザイン

今回の評価結果やFLITのパネルでもあったように、授業外学習において講義を聴いてもらい、インプットを促進させ、授業ではインタラクションを高める授業やピアサポートを行うなどのスタイルの授業なので、学生負担が高くなるというのはある意味当然といえば当然のように思います。実際に授業に対するレディネス、理解は主観的な評価ですが、高められているように思います。また、本学では1年次は授業外学習を充実化させることを目的に5限がありません。そういった制度面がしっかりしているので、それを有効に使うということでも、反転授業というのは、1つの有効な授業スタイルと思います。

新年度が始まりましたが、前期の課題協学での導入はもうちょっと様子を見て、考えたいと思います。あと、ツール類もAdobe Presenter以外にも、向後先生が使われているCamtasiaや昨年度購入したCaptivateを使ってみたいと思います。自分に合ったツールを選ぶというのも大事ですよね。

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