JSET第25回全国大会が終わる

JSETが終わりました。長かったようで短かった学会でした。私は自分の担当の課題発表以外、発表を見ることができませんでしたが、Twitterを見ていると、いろんな方が内容についていろいろ書いてくださっていたので、その場のテーマ、議論、雰囲気が少し伝わりました。


2日目は1日目の恐ろしいほどの忙しさはなくなりましたが、いろいろ気を緩めず、館内の循環などをしておりました。私は委員会担当でしたが、2日目の理事・評議委員会では想定外のミスがありました。これはちょっと驚きました。本部の方で緊急対応をして頂き、助かりました。委員会担当は未然に防ぐことができることが多いのですが、建物の立地など、なかなか難しい場合がありますので、そこのセーフティーネットは張った方がいいと思いました。


2日目の自称ワカモノたちの大宴会も盛り上がりました。渡辺君@東工大、東大などが幹事長としてうまく企画を立ててました。例年とは違い、会場も福武ラーニングスタジオで、ビタハピなるものを使って研究者の横のつながり、コミュニケーションを活性化させるという企画がありました。私は途中から参加で外から見ておりましたが、かなり盛り上がっていましたね。当日参加者も含め、138名の方にご参加くださいました。ありがとうございました。ワカモノたちの大宴会のあとは村上先生@京都外大、大山さん@京都大学、御園先生@東京大学など、渡辺君と飲んでました。


3日目は、学会の片付けも気になるところではあるのですが、課題研究発表の司会をすることになっていたので、これが心配でした。私が担当したのはK-3 ゲーム・シミュレーションの教育利用:現状とこれから というセッションです。課題研究発表前に委員会会場の掃除をしていて、ギリギリ間に合いました。栗山さん@学習研究社、清水さん@内田洋行のお二人にお助け頂きながら、なんとか無事に終わりました。


どれも大変興味深い発表でした。光原先生@徳島大学は小学生向けにPDAを使って、実際の現実環境とのインタラションを通じて、二進数を勉強するシステムとイベントを設計し、評価されました。徳島大学は開発力があるので、おもしろいことしますよね。ガチガチの教育関係研究者では出ないような柔軟な発想が魅力的です。ストーリーも作られ、実際に博士の学生さんや先生も参加されたそうです。評価では質問紙でも「楽しく勉強できた」という点も有意に伸びていましたし、成績も事後の方が伸びたという結果でした。


池尻君@東京大学は歴史のカードゲームの開発とその効果について検証したものでした。歴史を現在起こっている問題点と比較して、その解決策を見出していくことを目的としたゲームで、その問題構造が書かれたシートの上に、歴史上のキーワードが書かれたカードをチーム内で議論を行いながら配置していくゲームで、問題構造に関して全員のコンセンサスをもとに配置が終われば、解決法としてどういうものがあるか、自ら考えていくものです。負荷がありそうな感じがしますが、ゲームを利用しているビデオでは生徒さんはかなり白熱した議論が展開されていました。没入していましたね。まさしく「ゲーム」をしている感じがしました。


3件目の発表は藤本先生@ペンシルベニア州立大学のご発表で、歴史学習システムにおけるエージェントの開発とその効果に関するものでした。よく某ソフトでヘルプや検索をすると犬が出てきますよね。あのキャラが学習支援的な役割を持ち、学習者の支援にどういう効果があるかについて検証されていました。エージェントでも、物語性と学習者より劣ったエージェントを作り、歴史教育における効果検証をされていました。質問紙調査により、物語性がないエージェントがいるシステムと比較した結果、本実験のエージェントがいる群の方が「学習の楽しさ」や「関心の高さ」において有意に高いことが示されたということでした。


最後のご発表は遠藤先生@東工大附属科学技術高等学校で、情報モラル教育ゲームの利用に関するものでした。現在は実際に企業のモラルハザードにより、顕在化している問題を整理し、ストーリーを作り、演劇をさせ、リフレクションをするといったことをされているそうなのですが、劇だと教員の介在が難しいこと、「モラルを守らなければならない」という方向への統制が難しい場合があるということで、ICTを使ってできないかご提案をされていました。遠藤先生が開発されたゲームも、ゲームブックのような感じで、いろいろモラル判断をする部分があるのですが、条件分岐でランダムにイベントを起こすなどゲーム性も工夫されていたということです。遠藤先生は、単にゲームを提供するだけではなく、授業とセットにするべきということをご提案されてました。


総合討論では、学校教育の場合は時間というものを意識せざる得なく、1回のゲーム利用がどれくらいかかるものなのか、それはどうやって計算したのかという話がありました。評価の観点としても、いろいろ観点があると思うのですが、ゲームなら評価せねばならないという観点はどこかというところで議論を行ったところ、池尻君より「試行錯誤」という部分の評価について話がありました。この試行錯誤は1つポイントですよね。通常のeラーニングでも間違いながら学ぶということは大いにあるのですが、ゲームの特性として、試行錯誤というものが強く現れます。ここの点は確かに重要な評価点だと思いますね。藤本先生より「試行錯誤でも、どういうエラーをしたのか」という点も注目すべきという観点のご提示もありました。


ゲームの普及という観点でもお話しがあがりました。ゲームの普及には、登壇者から出た点としては気軽に利用できる開発環境、普及している利用デバイス上で動くゲームを開発すること、ゲームを構成するコンポーネントを軽くすることが挙げられました。今、携帯デバイスが商用システムとして流行していますが、それらの上で動くゲームが開発できればいいんですけど、なかなか難しいようです。しかし、FlashでWiiとかPSPとか、さまざまなデバイス向けのゲームを開発することができるAPIが出たような・・・今ならフリーで使えるのですが、デバイス上で動かすには何か制限があったような記憶があります。ちょっとあやふやですが。何か、ゲーム上のものが現実世界にも反映できるようなものがあればおもしろいかも。AR(拡張現実:Augmented Reality)というのが最近流行っていますが、その手のものが何かできないかな?と思っています。


今回、登壇してくださった先生方に共通するのは、外部とのインタラクションを含めた要素があるということだったと思います。その外部というのが、人間だったり、オブジェクトだったり、エージェントだったりするわけですが、私が調べた中でも社会構成主義を理論的背景に持ってくる論文が多かったわけですが、今回の登壇者の皆様はこの理論背景は引用されていませんでしたが、この流れを組むものの1つだと思います。


しかし、ちょっと私の力不足だったのですが、「なぜゲームなのか?」という問いをかけてみたかったですね。eラーニングではなく、なぜあえてゲームなのか?動機づけという理由だけなのか、ゲームだからこそある効果とは何か?ゲームの普及は学校外の生活におけるエンターテイメントの役割だったので、インフォーマル・ラーニングをターゲットにしたものも多いと思います。インフォーマル環境であるからこそ、毎日使ってもらえるように動機づけが大切ということもわかりますが、最近は様々なメディア、媒体が普及してきているので、それぞれのメディアや媒体がゆえにある特徴、独自性を見る必要はあるように思います。そこでなぜゲームということを考えたかったですが、今回はそれは挙げられませんでした。またゲーム・シミュレーションのテーマを挙げる機会があれば、ぜひお話ししてみたいです。


次回は金城学院大学。9月18日から20日の開催になります。名古屋ですね。楽しみにしております。