スペインで開催されたMobile Learning 2009ですが、IADISが開催する国際会議には初めて参加しました。Non memberで参加費が85000円もする大変高い国際会議です。





開催学会として、いろんな学会, e-SocietyやInformation Systemと合同で同じホテルで開催していました。
参加者は少なく、200人いるかいないかでしょうか。参加者の多くはやはりヨーロッパの方、特にスペインとポルトガルの方が多かったように思います。プレゼンテーションの内容としてはテクノロジー中心のものから、どのようにモバイルを教育に利用するかという、教育現場よりの発表まで多様だったと思います。

ポスターなんて広い部屋(東工大でいうと、プレゼンテーションルーム、東大で言うと、福武ホールのスタジオを2つ3つつなげたくらいの広さでしょうか)に5名だけでした。渡辺君がポスターしていましたが、最初は誰もいなくて、本当にガランとしてました。それでも渡辺君のポスターには人がいっぱいいて大盛況でした。


基調講演では、徳島大学の緒方先生のご研究について発表がありました。日本でも教育向けモバイルアプリケーション開発と利用の研究をされている先生としては大変お名前がある先生の1人です。Context AwarenessとKnowledge Awarenessを高めるツールとして、モバイルの効果について検討されているプロジェクトの紹介がありました。TangoはJSiSEの論文でもありました。他にも、パソコンを組み立てる時に、何ができないかを意識し、それについて回答してくれる適切なパートナーを見せるシステムなど、大変おもしろいものがありました。徳島大学は研究も活発で、おもしろいもの作ってますよね。


他にも、学習内容のリマインダーツールの開発などありました。私が1つ気になったのは、iPodの教育利用についてです。まあ、よくある対面講義の補完用に使うとか、ドリル的にリスニングをするというような「ありきたり」な話なのですが、分析の仕方がおもしろかったです。質的なインタビュー内容で、各学習者がiPodというツールをどのように捉えていて、どのように使用してるか、またiPodユーザーとそうではない境界を示すという、考え方としては、iPodという人工物を介して、どのように利用者コミュニティーが広がり、どのように学習へ利用していくかというプロセスを重視した研究で、この分析方法はおもしろさを感じました。
例えば、「欠席している友達のために講義を録画して、iPodへ落としてあげる」というインタビュー内容なのですが、この発言から考えられるのは、iPodを教育ツールであるという認識と同時に、それを教育ツールとして利用している(しようとしている)コミュニティー、または仲間がいることを推測させる点です。このようなインタビューの分析を行い、iPodの教育における利用方法を検討するというアプローチは興味深いです。もちろん、教員が「このようにiPodを使いましょう」だとか、「iPodを○○で利用しないと成績に影響する」などの教員からのインストラクションの影響は強くあると思いますが。
今まで、iPodはドリル的な利用など、学習ツールであることを前提に、iPod上のコンテンツを回して、どれくらい学習効果が上がったかというような研究が多かったです。特に外国語教育には多く、従来の研究知見から新しいものが出ているとは思えません。せいぜいあっても、iPodはモバイルだから、学習時間が増える可能性があるというところに依拠した点であり、これは今や研究として独自性がある観点ではありません。
もちろんこれはiPodはインタラクティブ性では強い制限がありますので、従来の、古典的な認知的学習ツールの枠から脱却することが難しかったように思います(iPod TouchやiPhoneはアプリケーション開発が可能なので、話は変わりますが)。従来の学習ストラテジーで、iPodを使用することで何か大きな違いがあるということを示されていない現状では研究として進めるのは困難のように思います。しかし、このような、学習者のインフォーマルな場におけるiPodの認識と、iPodの利用についてインタビューを行い、深く分析していくことで、iPodというものが学習コミュニティーを形成し、学習に関する情報交換などを行い、有効に利用しているという、実際の社会的なつながりまで含めた観点は研究としてやっていける可能性を感じました。
来年からこの国際会議に参加するかは?ですが、今回は、このような発表が聞けたことや、論文上でしか見ることがなかった緒方先生とお話をし、一緒に食事をすることができたという点で有意義でした。
しかし、緒方先生もおっしゃってましたが、本当にこの国際会議は高いです。85000円はないですね。夕食代やたぶん、ランチ代も入っていると思います。夕食も、カタルーニャ地方で、古い建物をレストランにしたところで、カタルーニャの伝統的な料理を食べることができるところでした。豪華でしたね。そこまでしなくてもいいので、参加費を下げてほしいです。non memberで50000円、non memberでstudentで25000円くらいにしないと誰も来ないです。もうちょっとこの点を考慮してほしいと思いました。あと、プログラムがA4の紙を折りたたんで作った、お手製感があるもので、85000円出した割には、もうちょっとしっかりしてほしいものだと思いました。

