情報技術を使用して対面の学習環境構築する

CNET News
カヤックと慶大大学院 会議発言を音声認識、机上で映像化・・・発想喚起オフィス
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20375699,00.htm?ref=rss

最近の学習環境デザインと聞くと、協調学習用WEBアプリケーションの設計や開発に話が向きがちだと思います。それは今やメインストリームで、まだまだ研究し尽くされていないですし、新たな情報技術が現れるたびに、それら技術の教育における応用的な利用を考えると思いますので、大変面白いです。私自身もインターネットを使用した協調教育システムの設計・開発・評価をしていますから。

しかし、インターネットで全て完結できる学習環境だけではなく、対面環境の設計というのは面白いです。教材提供や情報技術を使うという解決法だけではなく、机を固定せずにダイナミックにグループを作ることができるとか、壁全面ホワイトボードを設置することだけでも、協調学習の環境として、学習のモチベーションを上げるだけではなく、議論をしやすさ、アイデアの出し方、行動面での変化などかなり変わることが期待できます。

そこに情報技術を使うと確かにより良くなると思います。対面学習環境ではコンピューター、プロジェクター、スクリーンは重要ですね。東京大学の駒場キャンパスにあるKALSは情報技術と対面学習環境を組み合わせた面白いものだと思います。

駒場アクティブラーニングスタジオ
http://www.kals.c.u-tokyo.ac.jp/

教室4面にプロジェクターとスクリーン、グループをダイナミックに組み合わせられる勾玉机が設置されています。学生が使うコンピューターはタブレットPCを使用して、アプリケーション面でも手軽に使用できるものを授業で使用することができます。

しかし、このような授業をする教員のスキル向上が求められます。教員は今まで、学生の前に立って、教えることが主だった授業形態を採用していることが多かったため、この学習環境がたとえ良いと思っていても、教員がこのような環境に適応すること自体が難しいと思います。教員の意識改革、シラバス、授業方法に対するコンサルタントなどが今後必要になると思います。私が思うには、こういう環境は協調学習に合うのはもちろんのこと、一方的に何かを教える授業ではなく、教員としての役割ではなく、学習のファシリテイターという役割が求められるでしょう。伝統的な教育方法から脱却しないとまずいです。ホント、教員の技量が問われますね(笑)。このKALSがモデルになったMITのTEALのWEBページもありますので、ご参考にしてください。

MIT TEAL
http://icampus.mit.edu/projects/TEAL.shtml

今回の面白法人カヤックと慶応義塾大学との共同研究ですが、おもしろいのはブレインストーミングをサポートするという観点です。何かを学ばせるのはなく、発想力に注目しているのは面白いですね。どう評価するのか難しいですが。成果判定までいく長期的な評価をしないと、妥当な結果が得られてないと私は考えます。「その発想はいいのか?」、「その発想の広がりがどう成果に結びつくのか?」。気になる点はいっぱいあります。今後の評価結果、大変期待したいですね。楽しみです。

このシステム、音声を認識するエンジンが重要ですね。電灯などの色彩を変えるというのはデザイン会社ならではの発想で、おもしろいです。デザインも配慮したものも学習環境に導入できると何か変わるかもしれないですが、それが何か私は予想つきません。少なくともモチベーションは上がりそうですが。

以上の例はお金がかかった設備が多いですが、スクリーンがない場合はホワイトボードがありますし、最初にも書きました通り、情報技術がなくてもいい環境は作れます。学習を誘発させるポイントを絞って(たとえば、学習者間のアイデアやレベルのギャップを顕在化させること)、学習環境デザインをすることが大切ですね。研究者と実践の教員と組み、学習理論と現場ニーズ、教員の経験を融合させたいいものができるように思います。