2008年6月

スロバキアへ数年ぶりに行きました

今日は、午前中にウィーンの独特な建築物を見に行きました。
ケンストハウスと同じような建築様式だったマンション、あとはちょっと離れたところにあるマジョルカハウスというところです。最初のケンストハウス以外は現在も利用されていて、人が住んでいます。

wien1.jpgケンストハウスです。1900年代に建てられたんだそうです。私はあまり詳しくないのですが、直線と曲線のデザインが入っていて、珍しいんだそうです。











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マジョルカハウスです。きれいな花柄が書かれています。ウィーン分離派という派閥に属する方がデザインされたんだそうです。となりの金で装飾された建物もきれいでした。










この建物を見た後は、スロバキアへ行きました。ウィーンから電車で1時間ほどです。数年前に調査で行きましたが、その時はもうスロバキアには来ないだろうなと思っていました。何か強い目的があってスロバキアへ行くということはないだろうなと思っていたのです。それがこんなすぐに来るとは。前回はコシツェというベラルーシに近い街に行きましたが、今回はブラチスラバだけです。

sk1.jpgお昼ごはんというには、なかなかジャンクな感じです。サラミソーセージとチョコレート2つ。あとはガスウォーターを持って、スロバキアへ。















sk3.jpgスロバキアに着きました。ブラチスラバ中央駅です。懐かしい。一度行った街はすぐに道を思い出しますね。通過もまだユーロではないのです。コルナという通貨です。物価もかなり安いです。でも来年からでしたか、ユーロの導入が決まったそうです。大丈夫ですかね?国民生活がどうなるのやら・・・まだまだ開発途上なのですが。ウィーンから55分とはいえ、街の雰囲気は大きく変わりますね。失業率もまだ少なくなったそうですが、オーストリアに比べて、まだまだ高いそうです。共産主義から資本主義への移行を急激にすすめてきましたが、ブラチスラバに関しては大きく変わってきたと思います。数年前に比べて、近代的な建築が増えたなという実感があります。





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旧市街を抜け、ドナウ川へ。いやー暑かったです。32度。汗がダラダラ流れました。バスもトラムも使わないで、ずっと歩いていました。歩くのは楽しいですね。暑いのですが、街並みを楽しむことができます。川の向こうは団地や工場が立ち並びます。








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旧市街に再び入りました。前に見える塔が入口です。この入口を抜けると、旧市街が広がっています。なんか音楽祭だかわかりませんが、ステージの用意がされてました。全体が石畳できれいでした。観光客が多かったですね。タクシーの運転手は暑すぎるので、上半身裸でした。













sk5.jpgそう、これが見たかったのです。旧市街にはこのような怪しい銅像があります。マンホールマン。前はこの横にマンホールマンの交通標識を模した看板があったのですが、撤去されました。あとカメラを隠し撮りしている像もあります。ちなみにそのカメラマンの像がある店の名前はパパラッチです。前はベンチに座っている銅像もあったのですが、なくなってました。この像は遠くから見ると人が座っているように見えましたね。






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そして、ブラチスラバ城へ。前は朝6時についたためか、どの店にもどの場所にも入ることができませんでしたが、今回はいろんな店に入りました。前回は城は城門前で帰りましたが、今回こそは入ろうと思っていきました。ところが、城門は入ることができたのですが、城は再建築中で入れませんまでした・・・うぅぅ・・・またもや入れません。次こそは!城に入るという強い目標ができました。





ウィーンに帰ってから、別行動をしていた奥さんと合流し、レストランへ。奥さんは研究のため、美術館めぐりで、足がボロボロだったそうです。ホテルに帰ってからはEuro2008決勝、ドイツ-スペインを見てました。私は前にも書きましたが、オランダが好きなのですが、残念ながら負けたので、スペインを応援してました。前半33分のフェルナンド・トーレスのゴールで勝ちました。無敵艦隊復活の予感ですね。アラゴネス監督は今季で最後。フェネルバフチェに行くという噂ですが。明日もちょっとぐるぐるまわって来ます。

ウィーンの奇想遺産

ウィーンにつきました。

結構、飛行機で寝ることができました。オーストリア航空はいい話を聞いていたのですが、そこまでいいという感じではなかったです。寝ていたのに、食事を渡したいからといって、起こされました。最悪です。フライト・アテンダントの印象もいまいちでした。免税品は充実してそうでした。

私はじっくり寝て、飛行機で論文を書いてましたが、奥さんはずっと起きてたみたいで、到着前くらいに眠くなったということで、すこし寝てました(ちなみに私の奥さんも研究者で、学会発表です。私と同じく、Full Paperで審査通過してます)。

しかし、こっちは暑いです。数年前に、先生の指示を受け、電波少年のように、ビデオカメラを渡され、アンケートを200部持って、スロバキアに調査に行ったのですが、その帰りにウィーンに行きました。そこで2日ほど休んだのですが、その時も大変は暑さだったことを覚えています。今回もそこまでではないですが、かなり暑いです。

私はサッカーが大好きで、ひそかにEuro2008の決勝が見れないか期待しているのですが、かなりチケットは高いということです。街というより、空港からEuro2008一色です。

ホテルに着いてから、そう言えば、前に奇想遺産という本で、オーストリアにはいくつか変わった建物があるということで、それを見たいと思っていました。その1つの、プラターの大観覧車を見て、乗りました。

P1030226.jpg見てください。この外観。サッカー、チェコ代表GK、ペトル=チェフ(プレミア・リーグ:チェルシー)ですよ。センスあるデザインですよね。千手観音ですよ。そこまでできれば、GKとして最高です。














P1030253.jpgそして、実際に乗りました。1人8ユーロです。この中でパーティーをしたり、結婚式がされることもあるそうです。ゴンドラ自体は木製です。一緒の乗った人たちがドイツ人の大きな人たちで、彼が移動すると、ゴンドラが傾き、怖かったです。








P1030259.jpgしかし、街が一望です。最高でした。雨と言われていたのですが、きれいに晴れて、クリアでした。大聖堂も見えました。奥には明日行われる、Euro 2008決勝のスタジアムも見えました。「あ~、行きたいな・・・」と思います。私はオランダが好きなのですが、残念ながら、まさかのロシアに負けましたので、私が好きなチーム、バルセロナがありますスペインを応援することにしました。





本当にきれいな街ですね。私たちが泊まっているWien Nord駅あたりは森も多く、すっきりした感じがします。奇想遺産はあと2つあります。1つはまわろうと思っています。

奇想遺産、もしご興味がある方はご覧になってください。世界遺産に登録されているものもありますが、登録されていなくても、「なんじゃ、こりゃ?」と思わせるような建物から、うっとりするような建築まで、さまざまです。おもしろかったです。私は癒し代わりに見ています。単純に読み流しているだけで十分におもしろい写真集だと思います。

Googleで環境教育

Internet watch
Google、ユーザー参加型CO2削減活動、「One Green Project」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/06/24/20044.html

このように、ユーザーに広く使われてるgoogleが地球規模の取り組みをすることは大変意味がありますね。Web2.0では最高の貢献の1つではないでしょうか?感動しました。

それぞれの取り組みや、その程度などを一目で、どこの人がやっていて、どのようにやっているかを共有して、それをさらにガジェットなどで個人の意識を向上させるという工夫はすばらしいと思います。

手軽に使用することができますし、これなら初等中等教育の現場でも使用できるのはないでしょうか?これを日本だけではなく、世界で共有できるといいですよね。

今後、この環境教育の位置づけはますます高くなりますし、この活動を義務化する方向にもなるでしょう。環境税的なものも導入されるでしょうし、ドイツのようにペットボトルのリサイクル使用もあるかもしれません。このような意識を向上させ、実際の行動にまで移らせるのは大変難しいことなのですが、情報技術がこのような形で貢献できるというのは大変喜ばしいことだと思います。

環境教育は初等中等での導入が目立ちますが、実は大人にこそ必要なんです。大人と子供の間をつないで、環境教育に関するシステム利用ができるといいのですが、今はうまいアイデアが出てきません。私の所属組織BEATで、以前親子deサイエンスという、携帯電話を使用した科学教育実践がありました。子供にいろんな理科実験の教材を動画などで提供して、いろいろ問題を解いていくのですが、ポイントは子供が問題を解くと親にどのような解答をしたのかメールが届くということです。それが親子の会話を促進し、科学の概念理解につながるのではないか?ということを仮説にして検証したものなのです。

環境教育で、この枠組みが使えないでしょうか?このような草の根的に、意識を向上し、大人と子供をつないで活動が少しずつ広がればほんとにいいことだと思います。

Google One Green Project
http://www.google.co.jp/intl/ja/landing/onegreen/

#明日より学会でウィーンへ行きます。1週間くらい行きますので。
#向こうからでも報告ができればと思っています。

英語教育にビデオカンファレンスを使う

ITPro 遠隔教育はビデオ会議システムのキラーコンテンツ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20080624/309339/

ビデオ会議システムのプロバイダーが販売促進の1つとして教育プログラムポータルを作るのはイケてますね。しかもマージンを一切取らないというのがすばらしい。日本人のビジネス発想だと、マージンを取るということになるのですが。教育プログラムもフリーのものから2、300ドル取るものまで多様ですね。

ビデオカンファレンスは90年代後半から実践の場で本格的に利用されるようになってきました。技術としてはずいぶん前からありました。これはもちろんネットワークの高帯域化が表に出るようになってきた時代背景と一致します。ビデオカンファレンスですから、遠隔講義で使用されます。ライブで実際の教室の授業を配信するということも行われています。

しかし、教育・学習の分野は様々な学習理論が登場し、それに伴い、様々な教授法・学習法が登場します。現場の教員はそれらを使い、学習効果が高いと思われる授業を展開したいわけです。これは対面だけではなく、遠隔講義でも同じ要望が教員にはあります。特に言語教育では、生の外国語に触れる機会や、外国の文化理解を通じて外国語を学習したい、させたいというニーズが高いので、遠隔講義、というより、ビデオカンファレンスのようなライブで海外をつなぐツールは大変喜ばれます。

イギリスのオープン・ユニバーシティーは言語教育を中心に、遠隔講義を展開している世界的に有名な大学の1つです。遠隔講義では老舗に部類されます。言語教育において、イギリスのオープン・ユニバーシティーは昔から最新の技術を使って、遠隔講義を展開しては、研究成果を発表し、システムや教授法の改善をしてきました。彼らが開発したツール、Lyceumは言語教育分野では結構有名なのですが、ただ単純にビデオカンファレンスで会話させるだけではなく、ビデオカンファレンスを使用したタスクベースの学習、個人の学習をサポートできるような機能が備わっています。音声や動画が届かないことも考えられますので、テキストチャットでコミュニケーションができるようなサポートもされています。言語学習向けのビデオカンファレンスシステムとして結構洗練されたものだと思います。

そんな私も英語コミュニケーション学習において、ビデオカンファレンスをはじめ、テキストチャットを使用することによる学習効果、学習態度、モチベーション、学習意識に対する効果検証をしてきました。
恥ずかしながら、自分でビデオカンファレンスシステムも開発しました。ここ6年間、この研究をしてきました。6年間、続けてきて、わかったことがあります。これは日本人向けに使っているという限定的な部分があることをご了解ください。

・日本人は英語教育において、情意面の支援が必ず必要となる。
 これはもちろん、「英語を話したい」というような気持ちもありますが、それ以上に、友人と一緒に
 学習するということが重要になるということです。ビデオカンファレンスでも、テキストチャットでも、
 相手とコミュニケーションする際は、相手に対する親近感を強く持たせるという仕組みを作って
 あげないと、日本人には英語(だけじゃないですが)学習の継続は難しいです。付け加えるならば
 友人であり、ちょっと真面目な人と2人組を組ませて学習させるといいです。

・相手のプレゼンス
 会話相手の存在感が伝わることです。ビデオカンファレンスですから、相手の顔や声など見聞き
 できるのは当然ですが、そういう話ではないのです。相手の個性というものを引き出すようなもの
 が必要です。ただ単純にコミュニケーションをさせればいいというわけではないということです。
 それは教材に織り込むのもいいですし、何かしら、相手の個性や経験談を引き出すようなものが
 必要でしょう。

・日本人はフォームを気にする
 これは日本の英語教育では普通に指摘される問題点の1つです。受験勉強などを目標にします
 から文法的項目の学習は依然として重視されています。日本人がうまく英語を話せないのは、
 このフォーム誤りの恐れという情意面の影響もあると思います。とはいっても、コミュニケーション
 中に辞書を常に持って話すというのも実践的なコミュニケーションでも、学習としてもいかがなもの
 かと思います。私はこの点はコミュニケーション方略の指導が有効ではないかと思います。海外
 にでも住まない限り、英語を発話する機会がほとんどない日本では、会話をカバーする語彙量
 を会話で活かすことや、流暢な英語を話すことは難しいです。そのため、その不足分を補完する
 コミュニケーション方略を教えることは大変有効だと思います。

英語教育では単純にビデオカンファレンスをさせるだめでは足りないと私も思います。学習という以上、何か学習を支援する機能との統合が必要でしょう。Lyceumほどではないですが、私は上記の視点を踏まえた機能実装が重要だと思います。

日本では英語教育において、ビデオカンファレンスなどの同期型CMCと呼ばれるツール利用があまり盛んではありません。そのためか、同期型CMCに関する知見は不足しているというのが私の感じです。しかし、これほど、ライブで効率よく、廉価で学習できるツールはないと思います。今後、日本でも英語教育でのこれらツールの利用が増えてくるかもしれません。ビデオカンファレンスをはじめとした同期型CMCの教育利用、特に英語教育での利用に関して研究がすすめられていくことを願っていますし、私自身も研究をつづけ、実践に行かせるような形にしていきたいと思います。
ITmedia 人が育たない人材育成、問われる人間力
http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/0806/25/news004.html

私は岡さんが書かれていることはよくわかります。私も会社では新人という時代がありました。新人研修で1ヶ月間ずっと研修を受ける。ビジネス研修、プログラム研修、発表研修など。今思うとほんとにいい研修だったと思います。あんなに丁寧に、お金をかけてくれる研修をする企業は今はないと思います。私は文学部卒業で、プログラムはやったことがありませんでした。研修ではJAVAプログラミングで、名前も聞いたことがない言語を自力で学習しながら、研修に出ていたことを思い出します。

私が就職活動をしていた頃は超氷河期と言われる頃で、内定率はどん底でした。NTT東西が採用を止めた時です。その中でIT企業は理系だけではなく、コミュニケーション能力などが必要だということで、文系を積極採用し始めたのもその時でした。IT企業に就職したので、もちろんプログラミング能力はある程度ないと厳しいわけです。完璧にできないでも、ある程度どんなものなのか、どれほど大変なものなのか、実感するくらいはできておかないとそれは問題があります。そうでないと、営業や設計をする時にスケジュール、タスク配分の勘がつかないからです。

コミュニケーション能力を期待して、文系を積極採用する動きは今も変わらないでしょう。それでプログラムの研修を彼ら・彼女らは受けるわけです。それでも、岡さんがご指摘の問題があるのは何でしょうか?私は岡さんと考えが少し違うと思っているのは、コミュニケーション能力をなんととらえるかということだと思います。単純に明るく、積極的に、社交的に話すことできる人はIT企業であっても、増えていると思います。しかし、岡さんのようなご指摘があるのは、業務で必要なコミュニケーションとは、単純にうまく話すということではなく、相手の話を理解し、ポイントを押さえて、相手から要点を聞きだすこと。またその要点に対して、アンサーミートさせることだと思います。これは明るく話すことができるというようなレベルよりも高度で、感覚を鋭敏にさせておかないと難しいでしょう。

そういう感覚を育成するために、コミュニケーション研修やワークショップなど、社外・社内でもよく見かけるようになりました。もちろん、私も受けました。これは、確かに楽しいのです。自分が何を話しているのか、客観的に受け止めることができます。私は癖なのか、「でも・・・」という言葉を言ってましたが、これは一種、サーキュレーションを生んでいることがわかりました。つまり、相手に話しても何も解決策が出ないで、同じ話を繰り返すということです。「じゃー、私に何をしてほしいの?」ということになるのです。これは大変勉強になりました。

しかし、問題が1つあります。これら研修は、楽しさにのめりこまず、冷静になって、受講することが肝要だと思うのですが、これら研修を受けて、何かしらインスパイヤーされて、現場に帰ります。しかし、この研修を受けた社員を上司、チーム、先輩は受け入れてくれるのでしょうか?通常、人事部の目に届かないOJT期間にいる社員や研修を受けた社員をチームはどう思うのでしょうか?現場には現場で必要な能力があり、その能力と社員の個性に合わせて、上司が舵取りをし、チームを活性化させるという考えの上司もいると思います。おそらく、そういう上司がほとんどではないでしょうか。私の少ない企業時代での体験でしかないですが、私の周りの上司はこのような研修に対していい思いをしている方は少なかったです。同期の上司も同じような考えを持っていました。

やはり、このような研修をする必要性と現場の上司の感覚のズレは、研修で学んだコミュニケーション能力を活用し、活躍するのは大きな障害となるように思います。このような研修が必要であることを上司を含めチーム全体が認識するにはチーム全体で研修を受けることが良いと思います。誰かが1人研修を受けるのではなく、研修の意味、研修で学ばれること、その雰囲気を含めて、実体験で共有することが研修の効果を高め、業務として活用できるコミュニケーション能力を育成できるのではないでしょうか。

黒酢

image149.jpg母親から勧められて、毎朝飲んでいます。最近、スーパーでもフルーツ黒酢というものが売っています。あれはおいしいですね。しかし、今回飲んでいるのは、何か、本格的な黒酢のようです。甘くないですね。フルーツ味はまったくしません。レイシというエキスが入っているようです。漢方か何かですかね?大変苦いです。

「苦~い、もう一杯」という感じでしょうか。

Wikipediaによると、黒酢というのは、もともと中国のもので、日本の米酢と違って、玄米で作るのだそうです。よく絵柄で壺のイメージがありますが、JAS法により、24時間~48時間で生産されるものが黒酢と呼んでよいことになったそうです。さらに、健康に良いとされていますが、その根拠はないんだそうです。人間が自分で作ることができないアミノ酸を豊富に含んでいるということでした。


やはり日本に伝統的なものが持ち込まれると、この怪しいJAS法により、利潤を上げるために生産販売サイクルを早くして、いいものが失われていくのは良くないですよね。こういう時代だからこそ、本物を求めていくということが必要なのでしょう。しかし、本物はそれだけ値が張りますので、生活との兼ね合いが難しいですね。

お酒も醸造アルコールが使われていることが多いですが、これも本物というところでは違うみたいです。JAS法でも、何%以下の使用であれば、表示しなくてもいいというようなことがあるそうです。抜け穴はいくらでもありそうですね。

しかし、最近は世界的な食糧不足と毎日のようにニュースが流れています。「本物」というようなことを言ってられない時代がもうすぐそこに来ているのかもしれません。

ミネソタ大学:SNSに教育的価値がある

前に教育においてSNS利用で成功しているものはほとんどなく、難しいという話をしました。
少なくとも日本では教育向けSNSには社会的広がりという点が大きく欠如しているからです。アクセス制限、情報制限、参加できる職種などの属性など制限が強く、社会的広がりはあるのか?ということに強く疑問があるのです。

実際に研究発表を見ても、単純に言うと「それって、SNSじゃなくてもいいですよね。BBSやグループウェアと何が違うのでしょうか?」ということなのです。やはり"i Know"は数少ない成功例と言えます。

今回は面白い記事がありました。教育におけるSNSが持つ1つの大きな可能性について考えたいと思います。

IT Pro
「ミネソタ大学がSNSに教育的価値、米高校のデジタルデバイドが解消」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Research/20080623/309208/

MySpaceとか、Facebookは自分でデザインを作成できますね。ここはmixiとは違うところでしょうか。日本と比較し、アメリカではeラーニングでも自分の情報を公開する人が多いです。自分の顔写真も公開している人がいます。オンラインでは自己開示がしやすいという社会心理学からの知見もあります。

この調査は6ヶ月間、13の都市近郊にある高等学校で、16歳から18歳の学生に対して実施されました。SNSの利用を通じて、テクノロジースキルが身に付いたという話が多く、つづいて創造性とかコミュニケーション能力が身に付いたという主観的な評価がされています。これはまさにインフォーマル・ラーニングです。教員から教えておらうわけでもなく、何かを学習したいという学校における学習と関連した目標があるわけでもないです。友人、親から教えてもらったり、自分で学習することで自分の空間をインターネット上に持つことができ、世界の人と交流を持つことができるということでしょう。ミネソタ大学のGreenhow研究員はMySpaceなどのSNSで共有される生産物、例えば誌や映像を共有し、それを伝えあうことできるという点で、教育利用の潜在的メリットがあるとしています。

また家庭の所得に関係なくインターネットの利用率もあがり、SNSの利用が広がることで、デジタルデバイドが解消に向かうのではないか?という期待もされています。

日本では、そこまで顕在化したデジタルデバイドはないと思いますが、若年者層のほとんどが携帯電話を日常のコミュニケーションデバイスとして利用してますので、「携帯電話ならできるけど、パソコンではできない」ということが多いです。私も非常勤で情報科目を大学で教えていましたが、そういう学生が多かったのを実感としてあります。しかし、携帯電話でもパソコンと変わらないアプリケーションを使用することができるようになってきました。企業などはもちろんパソコンの利用が求められるのですが、ハイレベルのコンピューターリテラシーを身につけさせるつなぎとして携帯電話の利用は期待できるかもしれません。さらにこれをSNSの利用と結びつけるというアイデアはありだと思います(本来のSNSの利用目的とは異なりますが、偶発的、インフォーマル・ラーニングとしては大変効果がありそうです)。

あとはSNSにある悪影響ですね。ここをどうカバーするか・・・プライベートの利用については学校側、教員側は責任を持たないとしたいところですが、授業をSNSを使用してしまうと教員が責任を持たなくてはなりません。責任としてはありますが、学校を卒業すると情報管理、収集、善悪の判断は自分でしなければなりません。その判断をどうするのか、というところで、一定の責任を持ち、メリット・デメリットの説明を行い、サジェスチョンを行いつつも、個人の価値判断によるものであるとして、「判断は自分でしなさい」というのがSNSを教育利用をした場合のリスクを回避する現実的な方法かもしれません。

University of Minnesota
First-of-its-kind study at the University of Minnesota uncovers the educational benefits of social networking sites
http://www1.umn.edu/urelate/newsservice/NS_details.php?release=08619_3591&page=NS

ポスドク

Cnet Japan
サイボウズ、ポスドク積極採用の方針
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20375650,00.htm?ref=rss

博士課程に進学する学生は基本的に大学に残って研究者を目指したいものです。ここ数年の政府の方針で、科学技術が強い日本を復活させるということで、有能な研究者を出すため、博士を増やすことをやってきました。国立大学では博士課程の学費を無料とするところもあります(最近の大学は経営難ということもあるので、この方針はなくなってきましたが)。

しかし、大きな問題として、ポスドク(ポスト・ドクター)問題があります。 「博士課程を卒業した」というのは世間的に響きはいいのですが、就職は大変難しいのが現実です。これは大学名なんて関係ありません。私も企業で働いて、採用側もやったことがあるので、企業就職で大学名が効くのは確かにあると思いますが、博士課程を卒業して、大学に教員・研究者として勤務するための就職は話が違うのです。

指導教官の力もありますが、自分がやっている研究、分野も大きく関わります。あと運もあります。運をつかむまでは非常勤講師でもして、食いつないでいくしかないのです。博士という名誉の裏にはほんとに厳しい世界が待っています。さらに、最近の少子化ということもあり、大学のポスト自体が削減傾向にあることや、あったとしても時限つきの職というのが多いです。契約更新があればラッキーですが、更新なしという条件で採用というところも多いです。そういう人は数年後、就職活動をしなければなりません。

就職するためには研究をしないといけません。その時限つきのポストにいる間に、業務をしながら、自分の研究をして、論文を出していかないと次がないのです。任期なしの職に就くまで、走り続けないといけません。休む間などないのです。これが博士課程を卒業し、研究者を目指す人の現実です。私も時限つきのポジションで研究する1人です。私は自分の研究を上司から推奨されていますし、スポンサー様からも私の研究については好印象を持って頂いている(と信じていますが)と思いますので、まだ幸せな方かもしれません。なによりも時限つきであっても研究職につけたこと自体が幸運でしょう。次からが勝負でしょうね。

その中で、企業がポスドクを採用するという動きをどう考えるか?です。もちろん研究者を目指したい人は企業就職をしたくないという人も多いでしょう。でも私は違う考えを持っています。最近の大学側の採用方針は研究もほどほどにできて、教育と大学経営に貢献できる人を欲しいというのが強い傾向でしょう。これから研究費はどんどん削られるか、何かしらの条件がついてくるような気がします。そんな中で、研究一筋よりも企業で勤務した経験があるというのは強みになります。企業で、コストパフォーマンスを意識して勤務するというのは、普通の大学教員ではなかなかできません。しかもこれは国公立・私立大学問わず、求められる経験になるでしょう。

私は研究SE・開発SEとして3年間勤務しましたが、この経験は全く無駄になっていません。修士1年の頃から、通常は博士課程の学生からではないと難しい非常勤講師ができたのも、企業経験を見てくださったからでしたし、研究プロジェクトでも企業経験があるため、呼んで頂いたということもあります。非常勤の面接にいくと、面接官の先生からも企業経験については興味を持って聞いて頂いています。今の私の職があるのも企業経験があるからというのも、大きな理由の1つです。

私のこの経験から考えると、企業経験というのは無駄ということは全くなく、むしろメリットだと思います。もちろん研究歴が切れないように、どこかで非常勤でもいいので、研究ポジションを頂いておくとか、研究発表・論文投稿は継続的にしないといけませんが。

サイボウズはわかりませんが、ポスドクの現状や希望を理解してくださっていて、今後もこのようにポスドクを採用するという動きは大変喜ばしいことだと思うのです。
CNET News
カヤックと慶大大学院 会議発言を音声認識、机上で映像化・・・発想喚起オフィス
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20375699,00.htm?ref=rss

最近の学習環境デザインと聞くと、協調学習用WEBアプリケーションの設計や開発に話が向きがちだと思います。それは今やメインストリームで、まだまだ研究し尽くされていないですし、新たな情報技術が現れるたびに、それら技術の教育における応用的な利用を考えると思いますので、大変面白いです。私自身もインターネットを使用した協調教育システムの設計・開発・評価をしていますから。

しかし、インターネットで全て完結できる学習環境だけではなく、対面環境の設計というのは面白いです。教材提供や情報技術を使うという解決法だけではなく、机を固定せずにダイナミックにグループを作ることができるとか、壁全面ホワイトボードを設置することだけでも、協調学習の環境として、学習のモチベーションを上げるだけではなく、議論をしやすさ、アイデアの出し方、行動面での変化などかなり変わることが期待できます。

そこに情報技術を使うと確かにより良くなると思います。対面学習環境ではコンピューター、プロジェクター、スクリーンは重要ですね。東京大学の駒場キャンパスにあるKALSは情報技術と対面学習環境を組み合わせた面白いものだと思います。

駒場アクティブラーニングスタジオ
http://www.kals.c.u-tokyo.ac.jp/

教室4面にプロジェクターとスクリーン、グループをダイナミックに組み合わせられる勾玉机が設置されています。学生が使うコンピューターはタブレットPCを使用して、アプリケーション面でも手軽に使用できるものを授業で使用することができます。

しかし、このような授業をする教員のスキル向上が求められます。教員は今まで、学生の前に立って、教えることが主だった授業形態を採用していることが多かったため、この学習環境がたとえ良いと思っていても、教員がこのような環境に適応すること自体が難しいと思います。教員の意識改革、シラバス、授業方法に対するコンサルタントなどが今後必要になると思います。私が思うには、こういう環境は協調学習に合うのはもちろんのこと、一方的に何かを教える授業ではなく、教員としての役割ではなく、学習のファシリテイターという役割が求められるでしょう。伝統的な教育方法から脱却しないとまずいです。ホント、教員の技量が問われますね(笑)。このKALSがモデルになったMITのTEALのWEBページもありますので、ご参考にしてください。

MIT TEAL
http://icampus.mit.edu/projects/TEAL.shtml

今回の面白法人カヤックと慶応義塾大学との共同研究ですが、おもしろいのはブレインストーミングをサポートするという観点です。何かを学ばせるのはなく、発想力に注目しているのは面白いですね。どう評価するのか難しいですが。成果判定までいく長期的な評価をしないと、妥当な結果が得られてないと私は考えます。「その発想はいいのか?」、「その発想の広がりがどう成果に結びつくのか?」。気になる点はいっぱいあります。今後の評価結果、大変期待したいですね。楽しみです。

このシステム、音声を認識するエンジンが重要ですね。電灯などの色彩を変えるというのはデザイン会社ならではの発想で、おもしろいです。デザインも配慮したものも学習環境に導入できると何か変わるかもしれないですが、それが何か私は予想つきません。少なくともモチベーションは上がりそうですが。

以上の例はお金がかかった設備が多いですが、スクリーンがない場合はホワイトボードがありますし、最初にも書きました通り、情報技術がなくてもいい環境は作れます。学習を誘発させるポイントを絞って(たとえば、学習者間のアイデアやレベルのギャップを顕在化させること)、学習環境デザインをすることが大切ですね。研究者と実践の教員と組み、学習理論と現場ニーズ、教員の経験を融合させたいいものができるように思います。

論文が欲しい方へ

私の論文が欲しいというお声をいくつか頂いております。
ありがとうございます。ますます研究をがんばって進めていきたいと
思います。今後も宜しくお願い致します。

論文ですが、まだサイトで掲載する準備ができておりません。
随時行っていきたいと思います。

もう少々お待ち下さい。できましたら、本ブログでお知らせいたします。
プロフィールページの研究業績で公開致します。

どうぞ宜しくお願い致します。

教育にモバイルを使う

学びを誘発するモバイル:iPod Touch
芝浦工業大学柏高等学校
http://www.apple.com/jp/education/profiles/ka-shibaura-it/

これはおもしろいですね。面白い実践だと思います。最近、初等・中等学校にもコンピュータールームが増えてきました。これは国の政策ですし、私は良いことだと思います(でも、実際は1教室に1PCとプロジェクターが欲しいというのが現場の要望なのですが)。

iPod、特にiPod Touchはインターフェースもわかりやすいですし、ユーザービリティーもタイピング以外は大変いいと思います。理科室などで必要に応じて、パソコンをみて、実験方法を確認することは確かに非効率です。iPodのようなモバイルの利用は実験など、何か情報を参照しながら、実際の機器を触る、紙ベースの学習をするのに適していますね。今回の実践では、iTunesを使って授業資料や課題などの配布を行っているとのこと。これからはiPod touchを使うなら、無線LANを引いて、新しい授業形態を期待したいですね。

さらに今回の実践をされている先生が面白いことをおっしゃっています。授業以外ではプライベート利用を許可しているという点です。これは今でも通常の学校ではタブーとされている点です。これはiPodだから授業では利用すると目立つので、授業内で利用されることは大変少ないことを踏まえてのご発言なのかもしれません。しかし、授業内ではプライベート利用ができないくらい、iPodを使わないと授業に参加できない状況を作るというのが理想的ですが、難しいですね。今回の実践は実験なので、ほかの機材を見ておかないといけないためだと状況があるというのもあると思います。プライベートでも使用ができるとなると、いろんな機能を試し、使用方法をどんどん理解していくでしょう。そうなると、教員も他の機能を使った授業を設計することも可能になるかもしれません。

iPod Touchは、携帯電話と違い、無線LANの区域に入らない限り、インターネット通信ができません。これはどういう意味か?別に不都合なことではなく、個人学習と協調学習(または授業情報の提供)の時間があるというようにも理解できると思います。協調学習ではインターネットを介すことで、ほかの学習者と共同で作業をすることや、インターネット上の情報を収集することができます。無線LANの区域外では個人の学習をすることできます。ここをうまく設計できるといいですね。

近年、携帯電話やiPodを使用すると授業というのも増えてきました。小学生には携帯電話は持たさない方がいいという国の方針がありますので、小学校の授業における携帯電話利用は難しいと思います。しかし、iPod Touchの可能性はあります。おもしろいことができるかもしれません。

Naismith et al (2004)によると、モバイル利用において、6つの大きな特徴があるとしています。この6つの特徴を深く見ていくと、モバイル利用における背景理論がしっかりと見えていいのではないでしょうか?「学習時間が増えます」というのは、本当かどうかも怪しいですし、研究としてはイマイチだと私は思います(論文査読においては、たぶん『それって本当?』とか、本当だとしても、『それは当然ですね』と言われます)。

1:行動主義的なアプローチ:ドリル的な使用方法(最近は多いです。言語学習における単語学習はこれにあたりますが、研究の筋としては「う~ん・・・」という感じがします)

2:構造主義的なアプローチ:概念理解、既習内容と現実を結びつけること
最近、増えてきています。

3:状況に合わせたコンテンツ
文脈に錨づけされた学習をサポートする。必要な時に必要なものを提供する
これはおもしろいと思います。私が知る限り、研究においてはここに属する研究は見たことがないです。ご存じの方がいらっしゃいましたら、教えてください。大変興味深いです。

4:協調学習
オンラインディスカッションなどの協調学習支援が可能
中原ら(2004)や山口ら(2006)などを読むといいと思います。それぞれが面白い観点でモバイルの利用をしています。

5:インフォーマル・ラーニング、生涯教育での利用
イギリスでは博物館教育が活発ですので、展示物との連動という利用があります。学外の学習サポートです。他の項目とも関連しています。どこまで、本当に学習をサポートできるのか?これからですね。

6:学習・教授支援
たとえば、授業の出席を取るサポートは6番目に入ります。レポート作成支援もここに入りますね。これは、Chaisatien & Akahori (2007)や山本・赤堀(2005)を読まれると参考になると思います。

もしモバイルを教育に利用したいと思っている方がいらっしゃいましたら、この6つの観点を参考に背景理論を調べるといいと思います。

参考文献を最後に掲載します(掲載順)。

Naismith,L.,  Lonsdale, P.,  Vavoula, G & Sharples, M. (2004) Report 11 Literature Review in Mobile Technologies and Learning
http://www.futurelab.org.uk/resources/documents/lit_reviews/Mobile_Review.pdf

中原淳・八重樫文・久松慎一・山内祐平(2004) iTree : 電子掲示板における相互作用の状況を可視化する携帯電話ソフトウェアの開発と評価. 
日本教育工学雑誌. Vol.27 No.4 pp437-445 2004.04

山口悦司中原淳・西森年寿・望月俊男・中野真依・古田豊・関根聖二・大房潤一・山内祐平(2006)「おやこdeサイエンス:家庭における科学の学習環境の充実を支援する教育プログラム」 日本科学教育学会『科学教育研究』 第30巻 第3号 pp.145-158.

Chaisatien, P & Akahori, K (2007) An Application on 3G Mobile Phone and Two Dimension Barcode in Classroom Communication Support System, Proceedings of ED-MEDIA 2007, 3320-3329

山本雅之, 赤堀侃司 (2005) 携帯電話を用いた大学授業支援システムの開発と評価, 教育システム情報学会 第30回全国大会講演論文集, 343-344

動画共有サイトと学習

IT Pro
「ニコニコ動画」がSNS方英語学習サイト「iknow!」で視聴可能に
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080617/308516/

前にもここでSNSと学習の関係について書きましたが、そこで「iknow」が成功しそうな要因について触れました。この動画共有サイトとの連動というのは、大変おもしろい試みだと私も思います。

小島よしおのYou Tube動画の視聴回数が世界で5位だったという話がありましたように、日本のコンテンツでも英語を使用して、説明することで、世界の人とのつながりを持つことができ、英語でコミュニケーションできるというのは大変素晴らしいことではないかと私は思います。たとえ、そこで交わされる英語が俗語が多いものであったとしても、日常的に英語に触れる機会が少ない日本人にとっては大変貴重な機会だと思います。しかもインフォーマルな場ですので、大変オーセンティシティーが高い英語ではないでしょうか。

ニコニコ動画は字幕をユーザーがつけることができるという点で、単純な動画共有コミュニティーではなく、動画コンテンツ内の時間とユーザーが考えていることをリンクさせることができるという点で優位だと思います。学習でいうならば、それは「学習者が主張したいポイントに自分の意見、質問などをすることができる」という、教科書などの紙媒体では可能だった学習方法が動画のコンテンツでも可能になるという大きな意味があります。さらに、その動画のポイント上で議論もできるため、議論内容と動画で表示されているテーマが関連付けられ、学習における情意面だけではなく、内容理解度も、単純な電子掲示板で行うよりは学習効果が期待できると思います。

望むならば、議論や学習対象となっている動画のシーンと関連している資料や他の動画とリンクづけするなどの機能があると、より良いですね。

しかし、教育者、教育関係の研究者がこのことを考えてこなかったか?というとそれは違います。私は教育の研究者ですので、研究者の立場で書きますが、教育の研究者もYou Tubeの登場から動画共有サイトを使用して何か教育に活かせないか、研究できないかと考えてきました。今も実際に考えている研究者も世界に多くいると思います。問題なのは、こういったサイトは著作権違法コンテンツがアップロードされていることが多く、教育、教育研究において、そういったコンテンツが使用される可能性が大きいことです。もちろん運用者側はこういったコンテンツがアップロードされることを防ぎたいと考えて、精一杯対処されていると思いますが、なかなか難しいと思います。このような問題は教育・教育研究の利用には大きな壁となります。iknowの場合、この点についてはどのように考えるのでしょうか。あくまでニワンゴの管理に委任するという形を取るのでしょうか(現実として、そうせざる得ないと思いますけど)。しかし、現場では、たとえニワンゴの管理体制の不備を主張しても、著作権違反コンテンツが使用された時点で、現場の責任問題を回避することはできないでしょう。

独自に動画共有サイトを開発し、教育として運用しているものもあります。
The Diver Project(http://diver.stanford.edu/what.html)です。このプロジェクトで開発されたDiverはは360度からビデオ撮影を行い、この動画コンテンツを共有し、特定の部分を切りだすことやコメントを付与することができるシステムです。この利用例として、ベテラン教師と新米教師間で自分の授業のシーンを共有し、指導をすることができるという例があります。自分で開発するのはなかなか壁が厚いものがありますが、情報技術に長けた研究者や専門家と協力して行うという方法はあると思います。



動画共有サイトにアップロードされている動画を教育に使用することは難しいのですが、このサイトを利用して授業を公開するという方法はすでに行われています。京都大学、明治学院大学は授業をYou Tubeを使って公開しています。このようなサイトを教材配布という形で使用するのはあると思います。

テレビなどで流れる動画コンテンツは著作権問題があり、教育利用には難しい点が大いにあります。私は教育利用であれば、なんでも使用していいとは全く思っていませんが、テレビ局などと協力して、教育利用、教育研究していくことができるような枠組みができることを願っています。

私の博士学生時代の同級生、後輩と先輩が所属している講座で、このようなシステムもあります。
このようにテレビ局と研究組織、教育組織が協力できる体制は大変望ましいものだと思います。

東京大学大学総合教育研究センター マイクロソフト先端教育環境寄附研究部門(MEET)
http://www.utmeet.jp/

MEETのプロジェクト
http://www.utmeet.jp/projects/index.html

MEETビデオエクスプローラーの記事
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070215/262183/

インフォーマル・ラーニング

教育家庭新聞
Yahoo!きっず、リニューアル
http://www.kknews.co.jp/wb/archives/2008/06/post_2001.html

最近は小学生も、早ければ幼稚園生からコンピューターを触る時代になりました。コンピューターが家庭や学校に入ることで、今まで現実にできなかった授業をすることも可能になりました。コンピューターがあることで、世界中の情報を検索し、調べ学習を教室ですることが可能になりますし、日本だけではなく海外の学校と共同して授業をすることが可能になりました。中京大学の三宅なほみ教授のご著書、「インターネットの子供たち」では、世界の学校とつないで、世界各地の太陽の高さを比較してみるという実践が紹介されていて、教科書の知識を現実世界と結びつけることで、学習内容のオーセンティシティーが上がり、学習動機だけではなく、学習成果も向上するのではないかと示唆されています。

このYahoo!きっずは授業などのフォーマル・ラーニングとは違い、授業外での利用、インフォーマル・ラーニングとしての利用が想定されています。Connerによると、インフォーマル・ラーニングというのは2つのタイプがあり、意図的なものと偶発的なものがあるとされています。学校の宿題は学習目標がはっきりしていますし、学校以外で「勉強しよう」という意図がありますので、意図的なインフォーマル・ラーニングにカテゴリー化されるものになります。学校の宿題のように、しっかりと家庭学習をすることも基礎学力の育成としては重要ですし、家庭学習を自主的にすることができるよう、学校だけではなく、保護者からの教育も求められると思います(たぶん、これは「宿題をしなさい!」というのではなく、日常生活の態度面、モラルをしっかりしつけているかということに関わっていると思いますが)。

このYahoo!きっずは、偶発的なインフォーマル・ラーニングを試みようとする大きな動きだと思うのです。どこまでを「偶発的」であるというのかは難しいのですが、通常、偶発的なインフォーマル・ラーニングというのは、お母さんと一緒に料理をして、会話しながら、食材の名前を覚えることや、野菜の切り方を覚えることなどがそれにあたりますが、ここまで究極的なインフォーマル・ラーニングはYahoo!きっずでは難しいです。ですが、自分の興味があることを調べること、例えばゲーム・マンガの内容を調べることや、テレビ欄の記事を読むことを通じて、誤字があることを示すことなどの学習意識を喚起させるような仕組みを入れるというのは、「偶発的」なインフォーマル・ラーニングを支援するものだと思います。

近年、インフォーマル・ラーニングが世界的に注目されています。PISAの成績が加盟国トップになり最近、世界的に注目されている、フィンランドでは、このインフォーマル・ラーニングが日常的に行われていることが重要なポイントだと言われています。学校での学習時間は日本よりもはるかに少ないですが、なぜ世界でトップの学力がキープできるのか?と考えた場合、学校での教育がどのようになされているかというのは重要な点の1つですが、家庭学習はどのような特徴があるのかという点もポイントだと思います(学校教育も日本とは違う点も多いです)。

私は以前、海外での調査で、スロバキアに行ったのですが、その時にフィンランドの先生で、今はヘルシンキ大学の運営マネージャーをされている先生とお知り合いになりました。今年の3月にヘルシンキ大学Seppo Tella教授をお招きし、フィンランドにおけるインフォーマル・ラーニングについてご講演頂きました。フィンランドでは宿題をする時間も1日30分と世界的にも大変少なく、学校での学習時間も少ない。フィンランドでは文学的な素養を重視する傾向があり、家庭での読書の時間が日本と比べて多いんだそうです。図書館の利用率も高いということでした。家庭での会話は日本とそれほど買わなく、日本でも起こっているような問題もフィンランドでも起こっているということでした。しかし、私はここに何かあるように思います。家族での時間の過ごし方、そこで親から伝わる知識、それと学校で学ぶ内容との関連性。学校教育では1980年代から協調学習が積極的に取り入れられていて、この学習形態と家庭での知識の伝承、学校での知識との関連性。このあたりに何か謎がありそうです。

幸いに、私の妹の旦那さんはフィンランド-スウィーディッシュで、フィンランド人の親戚にこのあたりのお話を聞いてみたいと思います。

参考情報
Informal Learning by Conner
http://agelesslearner.com/intros/informal.html

Informal Learning
http://www.infed.org/biblio/inf-lrn.htm

東京大学 大学院情報学環 BEAT Seminar 2007年度成果報告会
「フィンランドと日本の対話 -未来の教育のために学校と家庭ができること-」
http://www.beatiii.jp/seminar/033.html

プロジェクトページを公開

今日は朝からミーティングでした。
朝から勤務というのは普通なのですが、私は朝が大変弱く、起きるのが苦手なのです。
大変眠いですが、がんばります。

本日プロジェクトページを公開しました。
私が修士課程の頃から関わったプロジェクトについて簡単な概要を書いています。
もしご興味がありましたら、ご一報ください。

トップページ(http://mark-lab.net/)からプロジェクトページに行くことができます。
今後ともよろしくお願い致します。

eラーニングに求められること

教育家庭新聞
インターネットでITや英語の学習-eラーニング実態調査
http://www.kknews.co.jp/wb/archives/2007/08/ite.html

これは結構前からある話で、eラーニングというものは資格系には早くから導入されていました。
企業では社内で外部の資格取得を推奨するのですが、場所を借りるだけでもお金はかかりますし、
実際に外に出なくても、社内で学習できるため、業務との両立が可能(集中はできないですが)
という意味合いがあると思います。

大学生も最近は利用してきていると書いてあります。これは最近の大学は全学的にeラーニング
を導入する動きがありますし、教員によってはeラーニング(LMSを単に利用しているだけという
のも含まれていると思われる)を授業で利用することもあるので、利用している学生はあると思い
ますが、自主的な利用ではないように感じます。

しかし、この記事で私が大変気になることは
「eラーニング経験者にたずねたところ、会社や学校などの支援なしでは積極的に利用しない、などの意見もあり、今後のeラーニングの利用拡大にはまず利用経験者を増やすことが重要であるとともに、会社などでの利用促進や支援が必要そうです。」
という文面なのです。

これはインタビュー結果(自由記述か?)とあとの示唆が乖離しているように思います。
会社からの支援というのは、環境を提供することや経済面での支援、資格取得推奨など
外部的な要因が強いように思いますし、大学生についても同様で、教員の授業内利用
において利用している状況で、積極的な利用は大変少ないように思います。

この場合、eラーニングとは何か?という定義にも関わることなのですが、利用経験者を
増やすためには、どうすればいいのか?というところが困難な点で、この点に対してどう
考えるのか?と私は不思議に思いました。

利用経験者というよりも、同じように利用する学習者が必要という、eラーニングでよく
言われている情意面でのサポートが重要という意味ではないでしょうか?
最近はメンターという、教員ではない立場の方が学習を続けるための相談や、授業の
お知らせなどをしてくれる方が就くことが増えてきましたが、eラーニングを1人でインター
ネットで、従来の認知理論に沿った学習をするツールと定義をするならば、孤立感が
増してしまい、学習は続かないでしょう。

しかし、単純に、タスクベースラーニングのような協調教育をすればいいという話でも
ないと思います。教室で学習することがそうであったように、1人で学習していたとしても
周りに誰かがいる、何か同じことをみんなでやっているというような感覚がeラーニング
にも求められていると思います。

学習は大学生・社会人にでもなれば、できると思います。しかし、人間はやはり弱い
もので、楽な方で流れるものです。ここをうまくサポートして、積極的な学習活動が
展開されるといいように思います。

この方法としては、なかなかいいアイデアはでないので難しいのですが、

1:他の人の成功体験をシェアし、学習者自身が参考にできる形をつくる
 -学習のポートフォリオを共有するのは1つのいい手かもしれません。

2:eラーニングを1つの学習コミュニティーととらえるならば、他人の存在感が
伝わるようなシステムとすること
 -単純にチャットや電子掲示板をするのではなく、Skypeのように、友人が
  オンラインになっているかどうかというのも、他人の存在感を伝える有効な
  手段と言えます

3:eラーニングでの学習と社会で行っていることを関連付けさせ、学習者に随時
学習内容の社会展開について意識させる仕組みをつくる
 -これはなかなか難しいのですが、eラーニングで学習されることがどのように
 社会で展開されているのか、それに関係したニュースや変化をeラーニング上
 で発生されることができれば、学習者は自分が学んでいることに対して、より
 強い興味を持つのではないでしょうか。自分との関連性が高い情報については
 誰でも興味を持ちます。言語教育については特にこれが言えるのではないで
 しょうか。

今、eラーニングは上記で述べられているような段階の先へ進んでいます。
主に協調学習におけるIT利用の研究が数多く進められています。これは教育工学の
主流になってきています。人間が対面の授業で問題となることや、ITや人工物のような
ツールを介することでもっと学習効果が上がることなど、人間の情意面とその学習効果
への影響を見る研究です。私もその研究をしている1人ですが、今後もeラーニングの
展開は目を離せません。


水だしコーヒー

私は美味しんぼというマンガが好きで、良く読んでいるのですが、その中で、水だしコーヒーの話があります。結構高そうなコーヒーメーカーが必要で、時間も12時間かかると書いてあったので、そこまでして抽出したコーヒーはどんな味だろう?と思っていました。美味しんぼでは「舌にきついえごみがなく、香りも穏やかな感じ」と書いてありました。私はコーヒーが好きでよく飲んでいるので、なおさら気になっていました。

mizudashi.jpg先日、奥さんと一緒に買い物に行った時に、なんと水だしコーヒーの機材が売ってました。美味しんぼに書いてあったような、高級なものではなく、単純に挽いたコーヒー豆をボトルに入れて、水を入れると終わりという大変簡易なもので、800円程度のものでした。本物は水をドリップするもののようです。それでもコーヒーの抽出に8時間かかると書いてありました。豆もお湯で抽出するよりも、1.2倍ほど必要のようです。

日曜日の夜、コーヒーの準備をして、昨日の朝、飲みました。うまい!美味しんぼの言う通りで、舌に強い刺激がなく、すっと入っていきます。香りもよかったです。確かにお湯でドリップしたものよりも香りも穏やかで、気持ちいい感じがします。安くてもいいものを買いました。ご興味がある方はFranc Francで売ってましたので、お試しあれ。(Franc Francの廻し者ではありませんので、ご安心ください)

美味しんぼ 54巻 日本酒の実力の第一話が水だしコーヒーです。




 

SNSを教育に利用する

前のブログでWeb2.0と学習システムというタイトルで、情報技術を教育に利用するには
「学習科学などに基づいた背景理論が必要です」という話をしました。

教育工学の分野では世界的にWeb2.0という言葉からSocial Softwareという呼称になり、
研究発表されるものが増えてきました。言語教育でも、今回、私が9月1日から行きます
EuroCALLでもSocial Softwareという呼び名で電子掲示板、チャット、Blogなどの効果
について研究発表があります。SNSの教育利用をサポートする背景理論はあるのですが、
実際に研究に載せるまでが難しいだろうと思います。

そのSocial Softwareで、世界的に利用者数が増えている、SNS(Social Network Service)
にも教育は着目しているようです。SNSといえば、MySpace, Facebook、日本ではMixiが
ほぼ独占状態です。

Cnet Japanニュース
「SNSの利用と現状に関する調査-年代により異なるPC・携帯電話での利用」
http://japan.cnet.com/research/column/webreport/story/0,3800075674,20375255,00.htm?ref=rss
によると、SNSの利用者数は昨年と軒並みですが、利用を止めるユーザー数は増加傾向
なんだそうです。またWeb designingによると、SNSは今後、業界・職種特化型のものが
増えていくとということらしいです。

例えば、就職活動している学生に特化したものやWebデザイナーに特化したSNSがあ
るようで、近年、利用者数が増加しています。

実際に私がSNSを使用し、上記のニュースやトレンドから、私が思うに、SNSというのは、

1:ただのBlogやコミュニティー生成の場ではなく、社会的広がりがダイナミックに起こるもの
2:社会的広がりはバックグラウンドを共有できるユーザー間で発生する
3:ユーザーが持つバックグラウンドはコミュニティー活性に不可欠である
4:24時間365日、常に「何か」動いている
(共同研究者で、「なりきりEnglish!」プロジェクト総括の中原淳先生によると、約3万人の
ユーザーがないと、ダイナミックで活発的なSNSを作ることは困難だろうということです)
5:匿名が許可される。匿名であることで、コミュニティーの活性化が活発になることが多い

ということだと思います。

このような特徴を教育の場に導入することは私は大変困難だろうと感じています。
これは私の後輩で、東京大学MEETの特任研究員、大浦君との共通認識なのです。
彼と昨年の教育工学会全国大会で、SNSとタイトルに含まれている学会発表を見た
のですが、私たちの共通認識は「SNSでうまくいっている教育研究は今のところない」
ということです。それはSNSではなくて、Blogや電子掲示板のような使い方で止まって
いて、社会的広がりがないということです。やはり、SNSである以上、ユーザーが
入る入口は閉めてはいけないと思います。

そのため、特に1つの大学、授業の場でも難しいでしょう。いくつかの大学が組んで、
授業データを共有し、SNSを組んだとしても受講者数は知れています。

しかし、教育におけるSNSの1つの成功事例になりそうなのが、言語教育でサービス
展開されている、 "I know" http://www.iknow.co.jp/intro
です。

うまいなーと思うのは
・まず、インフォーマル・ラーニングであること
これはSNSを教育に利用する最低条件だと思います。大規模なユーザー数を取り込む
には一般開放しかない(ユーザーに他のユーザーを招待する権限を与える)と思います。

・個別学習をサポートしている点
基本的に個別学習で進めていくというところです。教材も社会的文脈に沿ったものと
認知理論に沿った学習方略に沿ったものが両立しています。

・コミュニティー
自分と同じレベルの学習者や上位レベルの学習者との交流があること。これは学習者が
持つ社会的文脈の活性化と動機付けに大きく有効でしょう。

この3点は大きいです。

これらの点を大学の教員が研究として、さらには授業内で展開することは難しいか?という
と、いくつかの壁があると思いますが、できないことはないと思います。自分の授業を開放
することだと思います。これは大学事務方との話合いがあると思いますが(少なくとも自分の
講義を受けている学生は大学に学費を納めていますので)、コンテンツの利用制限などを
設けるなどの方法は可能かと思います。

または、講義で扱っている知識や技能が直結する社会との接点を作ることもSNSでは可能
かもしれません。言語教育では英語を実際に利用して仕事を行っている人と学生とのインター
フェースを設けるということになると思います。これは一般開放(受講者にユーザーを招待
する権限を与える)するか、どこかの企業との共同研究を行い、SNSを展開することができる
かもしれません。後者ですと、ユーザー数はかなり絞られてしまいますが、私は後者の方法
は実践と研究という意味で最初の段階ではうまくいきそうな予感がします。

最近、社会における大学の位置づけは変わりつつあります。社会への還元が強く求められる
ようになりました。特に国公立大学はそうなってきています。そのような時代背景を考える
とSNSの今後の可能性は様々な研究分野、私の場合は教育ですが、検討する価値が高い
と思います。今回はユーザー数を増やすという、SNSの根底になる点について検討しました
が、他にもダイナミックに変化するSNSの実現方法を検討するといいかもしれません。

Web2.0と学習システム

最近、教育工学系の学会の発表でWeb2.0的な学習システムに関するものが多くなってきた。
世界的にWeb2.0という言葉が流行り、いまや、Web3.0とか、4.0とかなにやらよくわからない
ことを言う研究者もいる。

このWeb2.0という言葉。何を意味しているのか?
単純にWikipediaやBlogを使えばWeb2.0だとは思っていないでしょうか?
私が主に研究をしてきた言語教育の分野ではそういう考え方が多いように
思います。

学習に情報技術を使用する場合は、学習に関係する理論を理解した上で、
技術を使用しないといけません。その技術を使用すると学習の何が変わるのか、
それを仮説として、効果の検証をしないといけません。たとえ、何も変わらなかった
としても。

Web2.0は何か?規格でもありません。Web2.0の提唱者の1人、オライリー
によると、Webを使った時に「Web2.0」と判断される人間の行動に関する判断
基準のようなものということです。オライリーはWeb2.0の要素は7つあります。
これを1つでも満たしていれば、そのアプリケーションはWeb2.0的と言えますし、
その利用者の行動もWeb2.0的と言えます。なので、WikiやBlogを単に使う
だけでは「Web2.0」ではないのです。Wikiを使っても、単純に電子掲示板で
よくある、議論をしているようでは「Web2.0」ではないですし、逆に電子掲示板
でも、「Web2.0」的なユーザー行動はあり得るのです。

オライリーがいう、Web2.0の要素をWeb Designingがまとめています。

1:リッチコンテンツではなく、リッチな体験に(Googleサジェストなど)
2:ユーザーによる分類:タグつけ(はてな、flickr、del.icio.us)
3:誰もが情報ボランティアに(価格.com、@Cosme)
4:80:20の法則の崩壊(Amazon、Google AdSense)
5:情報発信ではなく、情報への参加(Blog、SNS)
6:ユーザーを信頼する(Wikipedia)
7:分散化ネットワーク(BitTorrent、SETI)

学習場面に使うのならば、これらの要素がどのように学習に結びつくのかを
学習理論と照らし合わせて説明されなければならないと思います。
たとえば、情報への参加という面では、だれでも自分が好きな情報を世界へ
発信することが可能になるわけですが、この行動が学習理論上ではどのように
説明され、どのような効果があるのかを説明しなければなりません。
しかも、「それってさ、Blogじゃなくてもよくないですか?」と言われるのは結構
辛いです。「BBSでいいんじゃないですか?」と言われかねないということなのです。
そのため、単にツールを使えばいいというわけではなく、「Web2.0」的なユーザー
行動を支援することが重要になるでしょう。

ということは、単に「Web2.0」的アプリケーションを使っただけでは、学習への効果
を測ることはできず、「Web2.0」的な行動をとった学習者が、どう学習的な側面で
変容したのかを検証するというのが正当な評価方法だと思います。

Tim O'Reilly "What is Web 2.0?"
http://www.oreillynet.com/pub/a/oreilly/tim/news/2005/09/30/what-is-web-20.html

未来型デジタルペン

ITMedia +D 未来型デジタルペン「MVPen」
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0806/02/news098.html

最近、入力形式がキーボードから手書きが可能なタブレットが流行ってきている。
身近なものでいうと、先日、ソフトバンクからiPhoneが販売されることが決まりま
したが、iPod TouchやiPhoneのようなタッチパネルで入力できたり、操作できる
デバイスが挙げられます。Nintendo DSもそうですよね。ペン入力で、手軽に使う
ことができます。今や絶大な人気がありますね。教育ソフトも充実してきています
し、電車の中でもDSをやっている人がいっぱいいます。

大変身近になりつつ、これらの手書きのもの。精度もどんどんよくなっているみたいです。
タブレットはまだ日本語入力にやや力不足な点も否めませんが、日本語認識ソフトも
精度も上がっていることから、文字の認識率も上がってきています。

鉛筆(筆・ペン)と紙というアナログな文章入力からキーボードというデジタルなものへ
パソコンにより大きく変わり、デジタルな入力形式が普及しました。私たちに身近な
携帯電話もデジタルな入力形式の最たる例になります。しかし、このアナログへの
回帰とも思える(完全にアナログではないですが)入力形式が着目を浴びていること
は、何か強い意味があるように思います。

もちろんパソコン上で紙に文字を書くように精度が高く、簡単に文字入力ができること
は便利です。ただ、それだけではない何かがあるのだと思います。
最近はセキュリティー面から、アナログ形式の入力に戻る傾向もあるようですが、
それだけでもないように思います。

私の同級生で、今、中国の東北師範大学で講師をしている、李凱さんは私と同じく
言語教育向けのアプリケーション、具体的には日本語ライティングスキル向上支援
システムを開発していました。これはWEB上で日本語で書かれた文章に対して、
ペンタブレットで修正点を指摘したり、先生の修正点についての説明音声と修正して
いるペンの模様を同期してみることができる大変優れたシステムです。

彼はMicrosoft Word、紙とこのシステム"DiNCO"で学習の情意面、理解度、成績
などを比較しました。そうすると、アナログである紙やDiNCOの方が情意面、理解度
成績が向上することが示されました。さらに、DiNCOの方がコンピューターを使用する
利便性があるので、「使いやすい」、「便利」というようなところで、優位な点があること
を示しています。さらに先生の音声と修正しているペンの動きと同期してみることが
できるのがいいという機能の評価も良かったということです。彼はこの評価の根拠と
して、相手の存在を遠隔であっても感じることができたからという点を指摘しています。

オンラインラーニングだから、すべてがデジタルで済まされるということではなく、
アナログという人間の個性を感じることができるということに対して、人間は言葉に
しないでも、頭が求めているのではないかと思います。

この未来型のデジタルペン「MVPen」はペンタブレットと違い、専用のデジタルペンに
ペンの動きを取る認識部からなっています。書くものはなんと紙です。パソコン側で
文字認識させるには専用のソフトが必要のようです。おもしろいですね。この記事では
実際にマンガを書いて、精度を測っています。

私は教育分野の研究者なので、この「MVPen」を教育の場にどう活かすを考えたいです。
従来のタブレットよりもソフトウェアの作りこみは難しいと思いますが、学習の形態を大きく
変える可能性を持ったツールだと思います。価格も12,000円とパソコンと比較して、
かなり廉価ですしね。お金に余裕がある時に私も実際に買って試してみたいと思います。
もし既に使用された方がいましたら、教えてください。

ご興味がある方がいましたら、李さんの論文を紹介しますので、読んでみてください。
Li, K., Akahori, K, (2007) Development and Evaluation of an Online Handwriting
Skill with Online Handwriting Correction System, JALT CALL Journal, 3(3),

Li, K., Akahori, K, (2007) Enhancing short-term memory in learning writing:
The effect of different media-based corrections, Proceedings of ED-MEDIA 2006,
1588-1594

ペンタブレットについて

中村靖、森本荘平(2008) 文字・図形情報入力速度の面から見たタブレットPCに
おけるペンインターフェースの評価、ヒューマンインターフェース学会論文誌、
10(2), 285-293

真正性(オーセンティシティー)

私は最近、論文を書いているのですが、その中で、大変気になる用語があります。

「真正性」、英語ではAuthenticity

言語教育において「真正性」というのは、学習者の日常生活の中で見聞きするものや
経験する、真実味があることを意味します。例えば、地下鉄の駅の放送をそのまま
日本語教育の教材にすることは、地下鉄を日常的に使用する学習者にとって、「真正性」
が高いことになります。

この「真正性」というのは、言語教育の中で重要性が主張されるようになってきたのは
80年代後半に入ってからです。それまでは機械的に文法や語彙など教える学習が
主流でした。実践的なコミュニケーション能力の定義やその育成については70年代
から言われていましたが、「真正性」が必要という話が論文上で言われるようになって
来たのは80年代後半あたりからです。

90年代に入り、ビジネスシーンで英語などの外国語を使用する状況が増え、特定目的
のための英語教育であるESP(English for Specific Purposes)、特にEnglish for
Business Purposes(EBP)の必要性が高まってきました。このあたりから「真正性」と
言う言葉が論文上で急増してきます。ビジネス英語はEBPの最たるものです。

しかし、この「真正性」に関する言葉。研究者によって、定義の厳密度が違っていて、
どこまでを真正性が高いものというのか、研究者や実践家について頭を悩ますものでした。
例えば、学習教材の中に地下鉄の放送ダイアログがあるだけで、「真正性」が高いという
ものもありますし、リスニングなどで実際の放送を教材としなければならないとまで言う
研究者もいます。タスクベースの言語教育においては、インターンのように、実際の現場
まで行って、外国語を使用する業務を体験させないと、それは「真正性」が高いなんて
言えないという研究者もいます。

「真正性」の定義について厳密度が研究者の間で違うのですが、現実的な教育シーン
を考えると、学習者のニーズや日常生活における経験を分析し、教材に落とすことが
できるか。ここがポイントになると思います。

しかし、この「真正性」の効果について検証した研究は本当jに少ないです。本当に
「真正性」が高い教材は学習効果があるのか?あるならば、どういうプロセスで
学習効果が高くなるのか?

言語教育において、この点については議論がなされず、何かわからないけど、効果が
ありそうだという感じでESP、EBPが進んでいるように思います。

私がさらにポイントだと思うのが、「真正性」が高いと感じる条件です。
昨日、同僚のKさんが修士1年の学生に「(締切直前までに間に合わせるという心構えでは)
修士2年で痛い目に合うよ」と忠告したのですが、たぶんこの学生には伝わっていないと
思います。修士論文の執筆は大変つらいもので、実験計画、実験の実施、分析とこの2年間
の努力の結晶と言えるものですが、日本の学生に限った話ではないかもしれませんが、
まあ、普通、そこまで真剣に勉強する学生なんていないわけです。修士ならば学部に比べて
もっと勉強してもいいものなのですが。でも、Kさんが忠告したことはほとんどの修士2年の学生
が体験することで、通常ならば「真正性」が高いと認識されて当然のことです。

ですが、学生によってはこの「真正性」を認識されず、聞き流されるというのは、この学生に
とっては「真正性」が高いとは言えないということになります。

自分の直接的な利益が関わる「緊急性」や問題の「深刻さ」というもの、これは「真正性」に
包含されることかもしれませんが、何か「真正性」を高くする条件はあると思います。

この研究はなにか泥沼化しそうですが、評価する観点、実験デザインをしっかりすると
面白いものが見えそうですね。

もし興味がありましたら、この文献は面白かったので、読んでみてください。

HERRON, C., MORRIS, M., SECULES, T. and CURTIS, L. 1995 A Comparison Study of the Effects of Video-Based versus Text-Based Instruction in the Foreign Language Classroom, The French Review. 685: 775-795

HUTCHINSON, T. and WATERS, A. 1987 English for Specific Purposes. Cambridge University Press, Cambridge, UK

MARK-LABブログ開始

おはようございます。いつから始めようか?と思っていたブログですが、とうとう公開しました。
私は言語教育においてどのように情報技術を使えばいいか、また言語学習のパフォーマンス
を高くするシステムデザインの在り方について研究しています。

現在、東京大学 大学院情報学環の産学連携講座 ベネッセ先端教育技術学講座(BEAT)で
特任助教として、研究プロジェクトの立ち上げ関わっております。

「学習者の文脈に対応した学習支援環境の実現を目指して」

をキーワードに様々な情報技術を使用し、「こんなの欲しかった!」、「ホント役に立った!」と
言ってもらえるような学習システムや教材を開発していきます。

修士・博士を通じて、言語教育におけるシステムデザインの研究をして来ましたが、IT企業で
研究開発と開発SEとして勤務していた関係で、設計やプログラムが好きです。Cは多少触れた
くらいですが、JAVAを少々書けます。修士・博士の研究で、Flash Communication Serverと
連携したアプリケーションをAction Script、PHPを使って開発してました。
新しい情報技術も大好きです。

今もウェブページ作成中なので、徐々にコンテンツを増やしていきたいと思います。
これからも宜しくお願いします。
このサイトは金沢大学 大学教育開発・支援センター 准教授 山田政寛(やまだ まさのり)のブログです。教育工学の観点からICTを使った教育環境の構築と評価に関する研究を中心に行っています。